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マヤ

『W旦那+(プラス)』第17〜18話 (ロケ先〜名古屋駅)三代目妄想劇場

2017.11.15 03:50

ロケ当日はリーダーの直己と一緒なので、


臣と隆二も安心したのか、朝からメールが飛んでこない。


(この信頼度の違い…どんだけ?)


剛典は実家に理愛を預けてロケに行くつもりだったが、


新しい環境で心細そうにしている理愛を見て、


一緒に連れて行くことにした。


「理愛ちゃん、ロケが終わるまでスタッフと一緒に横で見ててね!」


剛典に促され、メイク担当の女性の隣にひっそりと佇(たたず)んでいる。


スタッフの中でも一際目立つので、

事前に用意したニット帽とマスクをつけている。


「あそこまでガードする必要あるの?」と直己が聞く。


「理愛ちゃん、立ってるだけでも目立つんですよね」


「預かってる責任もあるので、念には念を…」


「がんちゃんにしては、珍しい気の配りようだな」


二人で理愛の方を見る。


マスクをつけ、ニット帽を目深に被り、


普段はあまり着ない白いパーカーとジーンズを履いている。


銀髪は下ろしたままだが、

原宿にいそうなギャル風のメイクアシスタントにも見える。


剛典が軽く手を振ると、



理愛も唯一外に出ている青い瞳を輝かせて、手を振って答えた。



「がんちゃん、気に入られているようだね」



「そうかなぁ?よくわかんないけど…」



「俺はダメだ。初対面の時に、あの子に気合い入れようとして嫌われたみたいだ」



「何て言ったんですか?直己さん…」



「白い顔してぼーっと立ってたから、ちゃんと肉食ってるか?…って肩を揺さぶった」



「マジで…⁉︎」



「その後ボーカル二人に、優しく接してくれって注意されるわ、あの子は怖がって俺のこと避けるようになるわで…大変だったよ」




「あちゃ…」




「もし俺が理愛ちゃんの身内だったとしたら、迷わず直己さんに預けますよ」



「おーっ!凄い信頼度…お世辞でも嬉しいよ」



「いや、本心ですよ」



理愛に笑顔を向け、爽やかに剛典が言った。






ロケも無事に終了し、理愛を伴って名古屋駅まで直己を見送りに行った。



別れ際に「じゃ、理愛ちゃんまたね!」と直己が言うと、



剛典の後ろに隠れ「失礼します」と小さく答える理愛。



(ダメだ…こりゃ)



少し凹みそうになりながら、直己は東京へ帰っていった。



直己を乗せた新幹線が見えなくなって、



「じゃあ行こっか?理愛ちゃん」



後ろを振り向く剛典。




自分の背中にべったり張り付いている理愛を見ると、愛しくて仕方がない。




「もう直己さんいないよ」



「…はい」



「リーダーのこと苦手?大きくてあったかい人なんだけどね」



「邪心がない…真っ直ぐな人、苦手です」



過去に聞いたことのないようなセリフをはいた理愛だったが、

剛典は特に気に留めることもなく、



「それ、めっちゃ褒(ほ)めてるみたい」と笑って言う。



何も答えず少し眉を寄せ、頬を赤く染めている理愛。



その手を取って、また恋人つなぎをし、


「ご飯食べてから帰ろっか?」



と歩き出す剛典。



「理愛ちゃん、なにが食べたい?名古屋の美味しい店いっぱい知ってるよ」



笑顔で理愛を優しくエスコートする剛典だった。




End