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マヤ

『W旦那+(プラス)』第20~21話 (剛典の実家①)三代目妄想劇場

2017.11.15 04:00

「旦那様と奥様でしたら、急なご用事で外出されました。」



帰宅早々、岩田家の家政婦がそう告げた。



「えっ⁉急用って…なにかあったの?」



「なんでも遠いご親戚筋で、急ぎのご用事があり、今日はお帰りにならないそうです」



剛典はスマホをチェックするが、父からは何も連絡は入ってない。



「余程急用だったんだね。そのうち連絡来るだろうけど…」



「では、10時になりましたので、私はこれで…」



「ああ…お疲れ様」



(両親も日勤の家政婦もいないとなると、今夜は理愛ちゃんと二人っきり?)




理愛には、来客用の部屋を提供している。



10帖ほどある洋室に、大きめのダブルベッドが置いてある。



広い庭園に囲まれた邸宅は、外を通る車の音なども届きにくく、

夜の森にいるような静けさがある。



理愛のことが気になりつつも、自分の部屋で寛いでいると、



小さく部屋のドアをノックする音がした。



ドキッとして、一瞬胸に手を当てる剛典。



「はい?」



「あの…剛典さん…」



「理愛ちゃん…鍵開いてるから、入っていいよ」



静かにドアが開き、光が形をとった様な、

美しい女性が入ってくる。



(落ち着け…剛典…自分さえ理性を失わなければいいんだから…)



理愛は大きめのシルクシャツを1枚羽織り、真っ白な素足を出している。



いつもそういうスタイルで休むという。



シルクシャツも自分で東京から持ってきた。



「どうしたの?理愛ちゃん…」



ベッドに腰掛け、剛典が優しい笑顔をみせる。



フローリングの床を足音も立てず、滑るように歩き、剛典の前に立つ理愛。



「お部屋が広くて…眠れません」



(まさか、あの二人…いつも理愛ちゃんに添い寝してるとか?)



理愛は青い瞳を潤ませている。



(知らない所に連れて来られて…心細いのかも?)



しばらく理愛の瞳を見つめていたが、そっと両手を持ち、「側についてた方が眠れる?」と聞いてみた。



「はい…できれば、そうして下さい」



触れた手の感触も、美しく響く声も、

剛典の心をざわつかせる。



(どうしよっか?ここで眠るのを見届けてから、客間まで運ぼうか?)



そんなことを考えていると、理愛の方から剛典の首に手を回し、抱きついてきた。



「あっ…理愛ちゃん…」



「寒いので…しばらくこうしていて下さい」



柔らかいシルクの固まりに包まれているような感触だ。



心を揺さぶり続ける甘い香りが、部屋中に立ち込めている。



しばらくは、理愛の背中を優しくさすっていたが、



「剛典さん…」



「なに?」



「プレゼントのお礼、受け取ってください」

と言って、理愛の方から唇を重ねてくる。



(り…理愛ちゃん…)



ピンク色の柔らかな唇に触れていると、

理性を保つ自信が崩れ始める。




End