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マヤ

『W旦那+(プラス)』第27~28話 (隆二のマンション①)三代目妄想劇場

2017.11.15 04:20

隆二のマンション。




隆二はベッドに理愛を寝かせ、額に手を当てている。



「ほんとになにも食べたくないの?」




「はい…」




「お店で何か口にした?」




「いえ…なにも」




(外にクローズの札下げて、店でほぼ半日じっと座ってたんだろか?)




「スープでも作ってくるね」




席を立とうとする隆二。




その左手首をそっと掴み、




「隆二さん…なにも欲しくないので、側にいてください…」




「理愛ちゃん…」




「1日くらい食べなくったって平気です」




「あっ…でも、お疲れですか?」




「ううん、俺は全然元気だから」




隆二がそう言うと、理愛自ら布団をめくり、

起き上がって隆二の首に抱きついてくる。




「理愛ちゃん…」




「寒いので、抱いていてください」




キスしたり抱きしめたりしているのは、

いつも隆二の方からで、理愛から求めてくることはない。




少し戸惑いを感じながらも、しっかりと理愛を抱きしめる。




「これでいい?」




理愛は何も言わず、自分の全体重をかけて隆二を引き寄せる。




抱き合ったままベッドに横になる二人。




理愛は正面からしっかりと隆二に抱きついている。




柔らかでいい香りを放つものに全身を包まれていると、次第に隆二の鼓動も早くなる。




「…ひょっとして寂しかったの?」




「はい…」




「ゴメンね…しばらく一緒にいてあげられなくて…」




「隆二さん、帰国されてからあまり私に触れてこないんですね」




「顔色が良くなかったから、あまり負担をかけたくなくてね」




「お優しいんですね」




「1年の半分は一緒に暮らしてるんだもの。当然だよ」




「隆二さん」




「ん?」




「キスしてください」




「うん…」




軽く口づけする隆二。




(やっぱり今日は変だな?理愛ちゃんがそんなこと言うなんて…)






「ベッドでこんな風にしっかり抱き合ってチューしてたら、俺オオカミに変身するかもよ」




優しい笑顔を見せる隆二。





「今日は…ダメです」





(あれ?本気にしちゃった?)





「嘘だよ!そんな事しないから安心してね」





しばらく沈黙があり、





「私…愛されてないんですね」と理愛が言う。




「そんなことないよ…俺も臣も君のこと大切に思ってる」





「でも抱いて下さらない」





(理愛ちゃん…)





(こんな風に言ってくるの、ほんとに初めてだ…)





「あのね、理愛ちゃん」





「俺達は君の身元がわかるまで保護してる立場だから、ほんとはキスとかもしちゃいけないんだけど…」




青い目を潤ませて、隆二の目をじっと見ている。




「でもね、君がもし、俺のことを選んでくれて…」





「結婚して新しい人生を歩んでいく決心がつくんだったら」





「俺はすぐにでも理愛ちゃんを抱きたいよ」





「…それは」





「もう5年だもんね…いまだに身元がわかる情報も入ってこないし…」




「理愛ちゃんが忘れてしまった過去に執着しないで、俺を選んでくれるのなら、今夜でも…」




「今日はダメです」




ハッとして赤くなる隆二。





(き…危険な日なのかな?)





(今日は2回も断られた…)





「ごめん…なんか、がっついているようで…」





「俺、カッコ悪いね」





「そんなこと…ありません」





理愛の小さな頭を抱き寄せる。





体のほとんどが密着しているが、自分の鼓動だけがやたら大きく響く。





そもそも、その美しい体に脈など打ってるのだろうか?





「隆二さん…」





「ん?」





「隆二さんは気づいてないんですね」





「えっ⁉︎」





「隆二さんの結ばれるべき人は、私ではないことを…」





End