vol.10 大多和基さん(26)【好きを仕事に!一年の半分を海の上で過ごす航海士】
静岡市出身。幼い頃からサッカー選手や政治家になることを夢見て努力を重ねる。
同志社大学在学中に参加したカナダ留学にて、自分の知らない景色・文化・価値観に触れ、世界はとことん広いということに気づく。
留学後もカウチサーフィンなどのサービスを利用し、京都にやってくる外国人観光客との交流を楽しんだり、15か国もの未だ見ぬ土地を自分の足で訪れた経験を持つ。
大学卒業後は、好きを仕事に、世界中の海を渡る航海士として、活躍されている。
*大多和さんのこれまで
◇サッカーに打ち込んだ幼少期
—小さいころはどのようなお子さんだったのですか?
兄の影響で始めたサッカーに没頭し、実は小学生の時はずっとサッカー選手になりたくて、静岡市の選抜チームにも入っていたんです。小6まで本気で練習をしていて、友達と会う時間も惜しくて遊ばずに練習をしてました。
ストイックに練習していた甲斐もあって、学年の中ではかなり上手い方でした。
—なるほど。中学生になっても続けていたのですか?
続けていました。ただ、中学の時に所属していたサッカークラブが思った以上に
練習がきつくて。チームに合わせることを強要されて、プレー以上にマナーや礼儀にうるさいこともあって、自分のしたいプレーができないその時にサッカー選手になるのは諦めようと思ったんです。
—そうなんですね!高校生の時は他の部活に?
いえ(笑)
高校になると強豪校ではないものの、サッカーはまだ続けていました。キャプテンとして、花形10番のポジションをもらい、自分のしたいプレーができたので
高校生の時は楽しくサッカーは続けられていましたね。
◇夢は、政治家になって 誰もが幸せに生きる社会を作ること
—他にはどんなことに興味があったのですか?
高校生になると、政治家になるという大きな夢を持つようになっていました。
きっかけは、高校進学に伴い新しく始まった現代社会の授業です。
現代社会を担当していた先生がすごく魅力的な方で。ただ教科書通りに講義をするのではなく、話題のニュースや実際の事例をもとにわかりやすく解説してくれていたんです。
その先生に出会ってから、社会には自分の知らない問題がたくさんあることを知り、一気に政治に興味が生まれ勉強がすごく楽しくなりました。
—どのような社会にしたいなどの理想はありましたか?
先生は、楽しく社会について教えてくれるだけでなく、彼自身も社会福祉に興味があり、
特に、貧富の格差を是正したいという熱い想いを持った方で、すごく尊敬していました。
自分自身もその考え方にはすごく影響を受けて、幼いながらも、誰もが幸せに生きる社会を作りたいという想いが強まって行ったんです。
授業を受けるたびに、日本の社会の問題点や課題を知り、誰かが日本を変えなければいけない、という想いが自分の心を支配して行って。
それなら、「自分が政治家になって変えたい」と思うようになりました。
立候補できる歳になったらすぐにでも手を挙げようと思っていましたね。
—大学生の時も同じ夢を持ち続けていたのですか?
そうです。大学では政治を本格的に学ぶために、政策学部に入り政治について詳しく学び始めました。
中学生の時、修学旅行で京都に行って以来あの雰囲気が大好きになって、大学も京都にある同志社大学を選びました(笑)
—実際に政治を学び始めてどうでしたか?
学校の講義はとても楽しかったですね。
政治の世界をもっと身近に知りたいと思って、大学一年生の夏休みに議員インターンシップに参加したんです。
実際に事務所にお邪魔して、政治家として活躍している方の近くで、政治の世界を垣間見ることができました。
◇政治家の夢が途絶え、悩んだ大学一年間
—大学1年生から意識を高く持って行動していらっしゃったんですね。実際に参加されてみてどうでしたか?
実はこのインターンシップに参加したことがきっかけで政治家の道は諦めることにしたんです。
というのも、目にしたのは、思い描いていた理想とまるで違う世界で。
自分は日本を、社会を変えたいという理由で政治家を目指そうと思ったけれど
実際にそこにあったのは、政治家が社会のためではなく、
票を集めるために活動をしている姿。有権者に媚びへつらう様子を目にしてしまって。
「社会変えるのは政治じゃない、このままでは政治家になっても社会を変えられない。」
そう思ったんです。
—例えば政治以外にどのような選択肢を考えていたのですか?
ちょうどこの時期に、スティーブジョブズがiPhoneを出したりと
政治家でない人間が、世界を変え革命を起こしている様子をリアルタイムで見ることができて、衝撃を受けました。
自分にも、政治家以外の関わり方ができるかもしれないと。物やサービスで社会に影響を与えられるかも!と考えるようになりました。
でも政治家への夢が閉ざされてしまったことで、そこからしばらく何もできなかったです。高校の時から政治の勉強をしていたのに
やりたいことがなくなってしまい、向かうべき方向性がわからなくなってしまったので。
◇世界はとことん広いと知った留学生活
—なるほど。その後はどんなことをしていたのですか?
2年の夏に、夢ややりたいことを探すためにとりあえずカナダに4ヶ月間留学をしました。
大学に英語を勉強するコースがありそこで学んでいて。
今までは大学内の限られたコミュニティの中でしか活動をしていなかったので、世界各国いろんな国の人と出会うことができたこの留学期間はすごく刺激的で、
とことん世界は広いなと気づかされました。
—留学先で出会って、印象的だった方はいますか?
ホームステイ先に一緒に住んでいた中国人の学生です。国籍の違う人と住む経験こそ初めてだったものの、暮らしてみると日本の学生となんら変わらずに仲良くすることができて、すごく嬉しかったです。
また、ホストマザーがすごく優しくしてくれて印象に残っていますね。
見ず知らずの自分を温かく受け入れてくれた経験はのちに自分の行動にもつながっています。
—というのは?
留学から帰ってきてカウチサーフィンを始めて。
ホストマザーに優しく受け入れてもらった経験があったからこそ、自分もそのような環境を作りたいという思いが生まれたんです。
他にも、英語をもっと勉強したいという気持ちや、自分の見えている世界は狭いことに気付いたからもっといろんな人にあって話がしたい。
こんな思いが生まれていました。
京都の自宅をカウチサーフィンに登録して、就活前までに約50人の人を泊めました。(笑)
—50人!素敵な出会いがたくさんありましたか?
もちろんありました。
本当に沢山の方とお会いできて、自宅近くの京都をガイドしているうちに自分も日本のことが大好きになりました。
また、旅行にも沢山出かけるようになりました。
大学生のうちにアメリカやカナダ、アフリカからアジアまで、国外15か国ほどを訪れて、
ゲストハウスに泊まるなど、積極的に世界から集まってくる人と会える環境に身を置き続けました。
—印象的な方はいましたか?
欧米人の方で、一年休職をして夫婦で旅行に来ている人がいて、すごく衝撃でした。
また、高校から大学に上がる前の一年間を使って=gap year、海外旅行や留学に来ている人もいて、いろいろな生き方があるということに気づき、すごく視野を広げてくれましたね。
自分も、社会人になる前に自分の好きなことを知って、やりたい事を見つけようと思いましたね。
◇ 大きく舵取り、方向転換。目指した航海士
—就職活動はどのような軸で企業を見ていたのですか?
留学や旅行、カウチサーフィンをして世界の事だけじゃなくて日本のことも大好きになって。
日本のものづくりを世界に広げる、という軸でメーカーを第一志望にして就活を始めました。
でも、説明会に行くたびに、いくら世界に日本のモノを広める仕事だとしても、自分自身は国内の企業で働くことになるということや、
大好きな旅行にも今ほど行けなくなってしまうことに違和感やモヤモヤを感じていて。
そんな時、たまたま行った海運の企業説明会で、船乗りになれるコースもあるというお知らせが流れたんです。
そこには「船乗り募集」「専門学校卒業しなくても目指せる」の文字が。
心にビビッとくるものを感じ、船乗りを目指す人だけに行っていた説明会に行くことにしました。
—実際に説明を聞いてみてどうでしたか?
自分のやりたい事を凝縮した、夢のような仕事内容でしたね。
現役の航海士の方が紹介してくれた写真の中には、船の中から見えた星空の写真や海外の綺麗な景色が沢山あって。
半年間船の上で仕事をして三ヶ月丸々休みも取れるということで大好きな旅行にも沢山行ける。
これだ!!と思いました。
—素敵です…!その後は海運会社に入られたのですか?
はい。その後大手海運会社に入社しました。ただ、専門学校に行っていたわけではないので、航海士になる前に専門学校に通って、船や気象、法律、専門知識を座学で半年間学びました。
その後は一年間の実践で船を操縦、その後やっと航海士の試験を受け、実務が始まりました。試験はかなり難しく、数学が高校時代から苦手だっため、苦労しましたね。(笑)
*大多和さんの今
—航海士のお仕事内容を詳しくお聞きしたいです!
まず、なんと一年の半分は海の上にいます!
海の上では、自動車船、LNG船、原油船などの操縦を行っています。(1日8時間三人で交代制。)
他には、海の上だから船のいろんなところが錆びたり、故障したりするので、それを直す作業、
入港するための書類を書いたりしています。
—船の上でも忙しくお仕事されているんですね。オフの日が3ヶ月あるということですが、どんなことをしているのですか?
旅行に行きますね。もちろん観光地に行って景色を楽しむのも好きだけど、そこで出会えった人たちとの関わりがやはり一番楽しいです。
他にはユーチューブを見ながら家でゴロゴロするなど、スイッチオフの時間も大事にしています。揺れないベッドで眠れる幸せをかみしめながら。(笑)
*大多和さんのこれから
—今の夢を教えてください!
最終的には地元静岡で、市長になりたいです!
誰もが幸せな社会を作りたいという高校生のときに抱いた想いは忘れていません。
旅行や航海士として働く中で魅力的な街をたくさん見てきました。大好きな静岡のために良い街づくりをしたいなと思います。
例えば、バルセロナ、サンフランシスコ、ノルウェーの街が好きなのですが、全部海に囲まれた港町なんです。
のんびりしていて開放的、セコセコしてなくて自分のペースで幸せに生きている人々が魅力的で。
生まれ育った大好きな静岡市を開かれた街、ユニークな街にしたいと思いますね。
*大多和さんの好きなもの
—好きな映画
“About time”
「今」が一番幸せだということを教えてくれる映画です。今を大事に生きようと思えます。
他にも、『マイインターン』『タイタニック』が好きですね。
—好きな言葉
スティーブジョブズの
「あなたの時間は限られている。だから他人の人生を生きたりして無駄に過ごしてはいけない。(Your time is limited,so don’t waste it living someone else’s life. )」
という言葉が好きです。
—人生を100点とすると?
70点くらいかなあ。自分のやりたいことをできていると思います。
どれだけ年を重ねても、100点にはならないと思います。
市長になっても、またやりたいことが常に出てくると思うので。常に70点かもしれないです(笑)
—20歳の方へむけてメッセージをお願いします!
自分の生きてる環境を当たり前だと思わないでほしいです。
旅行などで自分の暮らす環境から一歩外に出てみて、いろんな景色を見て、様々な価値観に触れてほしいなと思います。
さらに、1カ国だけでなく、多くの国を訪れることで国同士の比較もできるようになります。
「自分の生きているところだけが世界じゃない」
このことを念頭に置いて、興味あることにたくさんチャレンジしてほしいなと思います。
次の仕事では、世界最大級のコンテナ船に乗ります。
中国、シンガポール、中東、スエズ運河を通って、ヨーロッパ数カ国を周り、日本に帰ってくるのはまた半年後。
それまで陸上での生活を楽しみたいと思います(笑)
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大多和さんには、TimeTicketを使ってお会いできます!(^^)
航海士の仕事についてはもちろん、就職活動で候補に入れておられた「世界で活躍できる様々な業界」のお話を聞くことができます。
好きを仕事にしたい!旅行がとにかく大好き!日々冒険をするように生きていきたい!
海の上から綺麗な星空が見たい!
一つでも当てはまる方は是非大多和さんにお会いしてみてください^^
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