カノッサの道12-英国王とアンセルムスの戦い
2017.12.04 09:07
この時代、イングランドでも聖職叙任権で王と戦った聖人が居る、カンタベリーの聖アンセルムスである。彼は1033年ブングルド王国のアオスタで誕生した。敬虔な母の影響で神の道を目指すが、父は許さず、一時期非行に走ったが、その後とうとう家出をする。
3年間の放浪の後、ノートルダムのル・べック修道院に入る。三年後には副院長に選出され、78年院長となり、師の影響のもとに、信仰と理性の合一をめざし、後年「スコラ学の父」といわれる、論理を研究し、彼の「神の存在証明」は大きな影響を神学に与えた。
1089年、カンタベリー大司教となっていた師ランフランクスの逝去で、英王ウィリアム2世は、カンタベリーの資産を没収し、教会を王権のもとに置いた。アンセルムスは推薦を受け、英国に赴き、大司教となったが、王と対立を繰り返し、とうとう97年、ローマ行きで英国を離れた際、追放されてしまった。
その後、彼はヴァチカンの仕事をし、著作を著し、1100年英王の崩御で、後継者ヘンリー1世に呼び戻された。が、叙任権を離さない王と再度対立して、再度追放。そして07年ついに王は屈服し、叙任権を放棄することで大司教復帰、ヴァチカンの権威は、イングランドに届くこととなった。
下はカンタベリー大聖堂の聖アンセルムス像