マクラさん
小学三年のとき、よく遊んでた友人Mちゃんが「部屋に小さいおじさんが出る」と言ってきた。
誘われて見に行ったが、私が行くとでてこない。
でも何日か通った時、やっと会うことができた。
友人は小さいおじさんを「マクラさん」と呼び(由来不明)、私たちはよく三人で遊んだ。
ある日、私も自分の部屋に妖精が欲しくなり、マクラさんをスカウトしたが、
「○のうちにもいるはず。どこのうちにもいる。ただ、人間と話せる奴が少ないだけ。
長距離(といっても徒歩15分程度)移動は余り好ましくない」
と言われて断られた。
私もそんなもんかと諦めた。
ある日、Mちゃんのお誕生会をすることになった。
M母は「クラスメイトを沢山呼ぼう」と言ったが、
マクラさんに来て欲しかった私たちは「二人でいい」と言って、
Mちゃんの部屋でマクラさんを招待して、三人でパーティーをして記念撮影もした。
後日、Mちゃんが母親に写真が現像できたのかたずねたが、
「変なものが写っているのでみせられない。
家は商売(米屋)をしているし、へんな噂がたつと大変困る」
と断られた。
私たちが、
「それはマクラさんという、気心しれた友人だ。いつも仲良くしてるのだ。驚かないから見せて欲しい」
などいったが、「変なこといわないで」と取り合ってもらえなかった。
後日、またMちゃん家で遊んでいると、Mちゃんが写真袋を見つけた。
私たちがワクワクしながら写真を見ると、マクラさんのいた場所に写っていたのは、
頭が二つあるでかいゴキブリだった。
私たちはパニックになりギャーギャー暴れまわり、裏庭でメンコしていたMちゃんの弟に怒られた。
ちなみに、写真を見たMちゃん母がMちゃんの部屋でバルサンを炊きまくってから、マクラさんは行方不明らしい。
というか、呼び出すこと自体しなくなったそうだ。
わたしとMちゃんもその後、マクラさんの事ばかりつづっていた交換日記を学校の焼却炉にいれ、そのあとほどなく疎遠になった。
ゴキブリに恋愛相談したのは、私とMちゃんぐらいだろうな。
他の人も見てる小さいおじさんの正体は、ゴキブリだとおもう。
おっさんは逸見政孝さんみたいな感じで、最初に見たときは、Mちゃん父と同じような
服装だったが、服は自在にかえられるという。
私たちはよくリカちゃん人形で遊んでいたので、
「マモル?カケル?クンの服装になってー」とか頼んだりして遊んでいた。