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マヤ

『W旦那+(プラス)』第31話 (空港)三代目妄想劇場

2017.11.15 04:30


翌日、隆二は憔悴しきった顔で、臣の前に現れた。




「えっ⁉︎お前どうしたの?血の気ないし、その目の下のクマ…」




パリから中国へ移動し、上海でのイベントを終え、1日違いで帰国した臣を、空港まで迎えに行った。




空港内のカフェで向かい合わせに座る二人。




「ん…ちょっと眠れなくて…」




「なんかあった?今日理愛は一緒じゃないの?」




「うん、もう店開けたいって…昼から営業してるよ」




「…で、空港まで来るなんて、なんか急な用事?」




「よくわかるね、臣」




「何年一緒にいると思ってんの?」




「それもそうだ」と言ったきり、疲れた顔で下を向き、しばらく切り出してこない。




「隆二?」




「臣…しばらく理愛ちゃんを預かってくれないかな?」




「えっ?それって日替わりを解消したいってこと?」




「うん、一時的にね。少し考えたいこともあるし…」




「俺ちょっと疲れてるみたいで、今のままじゃ安全に、理愛ちゃんを預かる自信がない」




「何かあったの?」




「夢を…ね」




「夢?」




「ごめん…今は言いたくない」




いつも太陽のように明るい男が、疲れた顔でそう告げる。




「10日間くらいでもいい?」




「うん、十分」




「わかった」




「そのかわり、その間に理愛が俺のことを選んでくれたら、俺あいつと籍入れるけどいい?」




しばらく悲しそうな目をして黙っていたが、やっと重い口を開いて、




「理愛ちゃんがそう望んだのなら…仕方ないね」と言った。




臣はじっと隆二の顔を見ていたが、

人差し指をクイクイっと動かして、




「隆二、ちょっと顔貸して…」と言う。



「ん?なに?」




隆二は二人の間にあるテーブルの中央辺りまで、顔を突きだす。





すると、臣の大きな右手が隆二の額に触れた。




「え…と、何の真似かな?これ…」

隆二が聞く。





「熱はないけどな」と臣。




「心配してくれてんの?珍し…」



「そりゃ、大切な相方のことだもの。当たり前でしょ?」




隆二は一瞬びっくりしたような顔をしたが、すぐに照れ隠しのように口を尖らせ、




「俺のことはいいからさ。理愛ちゃんのこと、よろしくお願いね」と言った。




「この際だからはっきり言っとくけど」




「ん?」




「俺にとっちゃ理愛と同じくらい、お前のことも大事なんだからな」




「は?なにそれ?恋敵に言うセリフか?」



「だってお前…」




「ん?」




「まるで生き血を抜かれたような顔色してるからさ…」




「……」



カフェの自動ドアが開き、

冬を感じさせるような冷たい風が、

二人の間を吹き抜けていった。





End