画中画の天使
――“本当”の姿は隠されていた。
――キューピッドがそばにいた。
些かセンセーショナルなキャッチコピーで、CM等でも広報されていた絵画展。
2022年1月22日―4月3日、東京都美術館で開催していた、『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』を、最終日に駆け込みで観ることができました。
(予約購入しておらず当日券勝負でしたので、早朝6:45から門の前に並んだわけですが、ミッションクリアです(^_^;))
小雨も降り始め、気温の低い日でしたが、亡き娘 有ちゃん、亡き母、亡き親友、亡き(有ちゃんの心友)奈美さん、絵画やアート好きお天(そら)の仲間たちも増やしつつ、退屈はしませんし、脳内は相変わらずの賑やかさ。
早くから並んでいた方々は皆ガタガタ震えながら、こうした非日常のシチュエーションの中でこそ成り得るだろう会話や妙な仲間意識で、約3時間弱もの待ち時間は、絵画に纏わるコアな会話の花を咲かせていたようです。
まるで…特設コミュニケーションの場と化す美術館周辺。
私(おばさん)と、隣に並ぶ見知らぬおっさんは、学生時代のアートサークル等の思い出話で盛り上がっておりました。
寒い寒い雨も本降りになりつつ、やっと開館。
数十分ほどで当日チケット完売がツイートされたようです。
(コロナ禍で人数制限が厳しいことも理由でしょう)
待ち合わせしていた有ちゃん繋がりの仲間も、無事に館内に入れ、いよいよ、姿を現したという『天使』に会いにゆきます。
フェルメールが描き、彼の死後、何者かに消されていたキューピッド。
大規模な修復を経て、『窓辺で手紙を読む女』の“本当の姿が”が現れた―――。
(パンフレットより引用)
📷修復前の絵
(購入したポストカードより)
風俗画に転向して間もない初期の傑作。
そして、
📷大規模修復後の絵
(購入した複製ダミー画より)
修復により現れた画中画には、愛の神であるキューピッドが嘘や欺瞞を象徴する仮面を踏みつける場面が描かれており、誠実な愛の勝利を表すと考えられる。
………
と、解説にはあります。
絵画作品としての好みは別として、フェルメール本人が構想を膨らませ描いた元の原画は、この後者なのですね。
誰が消したのかは定かではないようですが、塗料の種類等から読み取る調査では、彼の死後に、時代の趣向等に合わせたという意味で塗り消したものを完成画とし、それが世に出されたのではないのか、という解説も見ました。
なにとも、作品を生み出したフェルメール本人が思いを込めたであろう『元の姿』を、生きてナマで目の前で見れたことに、私はただただ涙が流れて仕方がありませんでした。
フランダースの犬でラスト、ネロが、憧れていた教会の宗教画を眺めながら…絵画から現れ出た天使たちに導かれていくような…、大袈裟ではなくあの状態になってしまいました。
娘が天に還ってしまってからは、心の底から楽しめることなど無いだろうと、あるときからネガティブ覚悟で生きてきましたが、『以前の楽しさ』とは、またナカミが変化した『楽しさ』や『嬉しさ、感動』を、大切な人たちを伴った上で感じられるようになってきた6年目の春。
私の中ではですが、美術館や、アートワーク、アート作品に関係する『場』が、寺院や教会に通じるような、亡き人への供養に繋がる場であると、ますます感じてきています。
鑑賞後のランチ、そしてティータイムでも目頭を熱くして語り合える方々との出会いと交流の広がりにも、心から感謝し、エンジョイできた日でした。
ありがとうございました。
また。
◆ ◆ ◆
「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
・北海道展
会期:2022年4月~6月(調整中)
会場:北海道立近代美術館(北海道札幌市中央区北1条西17丁目)
・大阪展
会期:2022年7月16日(土)~9月25日(日)
会場:大阪市立美術館(大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82 天王寺公園内)
・宮城展 会場・会期共に調整中
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