どこまでも進んでいけ、 The Southern Cross
Southern Crossサザンクロス = 南十字星
「南半球できれいに見ることのできる、南十字星」。全天の星座88個の中で最も小さい星座で、かつ南天星座の中で最も美しい星座とも言われている。日本では沖縄県や小笠原で観測できるが、ほとんどの場所で見ることができない。南十字星はオーストラリアとニュージーランド、パプアニューギニアの国旗に使われている。南半球であることを示す、一種のアイデンティティだ。
ー---以前オーストラリアに行ったときに南十字星をよく探していたことがある。日中と比べてぐんと気温が下がる夜に、空を見上げる。すると、光り輝く5つの星がぱっと目に入ってくる。毎回見つけるたびにちょっとした嬉しさを感じた。それに加えて愛着がわき、オーストラリアにいる実感がより一層感じられた。
Advance Australia Fair
オーストラリアと南十字星とのつながりは国旗だけではない。オーストラリアの国家「Advance Australia Fair」の2番の歌詞冒頭にSouthern Crossが入っている。
2.
Beneath our radiant Southern Cross, 眩いばかりの 南十字星のもと
We'll toil with hearts and hands; 我ら 全身全霊を捧げ 働く
To make this Commonwealth of ours 我らが連邦国家をば 取り分け
Renowned of all the lands; 名だたる国と するために
For those who've come across the seas 我ら 海を渡ってきた人々と
We've boundless plains to share; 限りない平原を 分かち持つ
With courage let us all combine 勇気を持って 団結しよう
To advance Australia fair. 美しのオーストラリアへ進むため
In joyful strains then let us sing 美しい調べで さあ 歌おう
"Advance Australia fair!" 「進め 美しのオーストラリア!
(アドヴァンス・オーストラリア・フェア!)」
Weblio 辞書より引用
国旗、そして国歌に盛り込まれるほどにオーストラリアは南十字星を自国の象徴の一つとしている。加えて、日が暮れて夜になれば再会できる、オージー(Aussie)にとって身近な存在なのだ。
1928年に太平洋を空路で横断した”Southern Cross"
オーストラリアのパイロットであるチャールズ・キングスフォード・スミスとチャールズ・ウルムは1928年に世界で初めて太平洋を空路で横断した。その偉業を成し遂げた航空機の名前は「Southern Cross」だった。
写真を見て分かるように、我々が旅行で乗る飛行機と比べると非常に軽装備である。つまり、決して安全は保障されない命がかかった挑戦であったのだ。
実際に、「Southern Cross」にはシートベルトもトイレもついていなかった。より多くの燃料を積むためにも機体の軽量化が必要不可欠であったのだ。また、気温が低い高度で寒さに耐えなければいけなかった。他にも嵐や乱気流に見舞われた。様々な困難に立ち向かい、乗り越えてカリフォルニアからハワイ、ハワイからフィジー、フィジーからブリスベンの道のりを成功させた。周りから無謀と言われてしまうような計画であったが、世界で初めて空路で太平洋を横断したのだった。その距離11,585km。83時間38分かかった。
命名の考察
「Southern Cross」にまつわる話を調べてみたが、やはり太平洋を横断した航空機が一番印象的だった。命名の理由は、ただ単に”全天の星座88個の中で最も小さい星座、かつ南天星座の中で最も美しい星座”だから、ではないと感じる。嵐も乱気流も切り抜けてきた航空機「Southern Cross」の存在が影響したのではないだろうか。
ぜひ早稲田大学漕艇部で"The Southern Cross"に乗る人は、雨にも負けず、風にも負けず、航空機「Southern Cross」のように突き進んでほしい。
そして、総距離11,585kmまたは83時間38分以上の乗艇をして、戸田で輝く一等星となるように願っている。