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「宇田川源流」 日本人の貴重な水資源を民間に売却した宮城県と国の方針である経済安全保障

2022.04.06 22:00

「宇田川源流」 日本人の貴重な水資源を民間に売却した宮城県と国の方針である経済安全保障


 経済安全保障ということが岸田内閣によって提唱された。まあ、私個人としては岸田内閣が正しい意味で「経済安全保障」という言葉を使っているのかどうかはかなり微妙であると思っている。というよりは、実際には「本当にわかっているのか」という疑問は捨てがたいものがあるのだが、まあ、その主張している内容は、それが例え官僚が書いたものであったとしても、別段問題があるというものではない。私からすれば、もう一つの「新しい資本主義」というのは、結局何が言いたいのかよくわからないし、何を目指しているのかもあまり良くわからない。

私の取材の範囲では、財務省の官僚、それも課長クラス(もう少し下の人もいたが)昨年の9月初め位に、来年度予算や補正予算のことをしなければならないとき上司から命令されて、適当になんとなく受けの良さそうな言葉を書いたら、後になってその言葉が岸田総理の公約になっていたので驚いたというものであった。もちろんすべての公約がそうなっているわけではないが、基本的にあまり具体策があって、しっかりとした内容を書いたものではないようなのである。そのような意味で、岸田内閣の公約に関しては「絵空事」が多い。岸田内閣発足から半年勝った現在になっても、いまだに経済安全保障も新しい資本主義も全く具体的な内容が見えてこないということになるのではないか。

まあ、そのような話はやめておいて、経済安全保障とは石油危機後関心を集めている概念。政治的安全保障との類推で,一国の経済システムが安全に活動しうる条件を保障すること。日本人全体の生存に必要な最低の生活基準を維持するのに必要な物財の生産量,輸出入量の規模およびそれを保障する条件,ある特定時点の生活水準の維持に必要なそれなど,各種の水準に応じて設定することができるということをいうものである。

日本人全体の生存に必要ということになれば、まずは何よりも水、塩、食料ということになり、その後経済勝王に必要な資源というようなことになってくる。その中でも要は水であろう。

ちなみに日本人は水に関してあまり考えていないと思うが、実際に、世界の水資源はほとんどないといってよい。世界の水に対して飲める水は0.07%しかないといわれ、これは、通常の浴槽一杯の水が地球上の水とすると、飲める水はティースプーン一杯しかないということになっているのである。日本人は「水はただ」と思っているが、とんでもない話なのである。

水道運営権、宮城県が全国初の民間売却…20年間で337億円のコスト削減期待

 宮城県は1日、水道事業運営の民間委託を開始した。

 委託期間は20年間で総事業費337億円の削減を見込む。人口減による水需要の減少や老朽化施設の更新などによる水道料金の上昇を抑えられるという。水道事業運営を一括で民間に委ねるのは全国で初めてだ。

 民間委託の対象は、上水道2事業、下水道4事業、工業用水道3事業の計9事業。水処理大手「メタウォーター」(東京)など10社で構成する特別目的会社「みずむすびマネジメントみやぎ」に売却した。県が所有権を持ったまま、運営権を売却する「コンセッション方式」を導入、民間のノウハウを活用することで経費削減や運営効率化を図る。

 水道施設は高度経済成長期に整備されたものが多く、耐用年数を超えた管路の更新も必要となる。水道料金の値上げが避けられない状況で、県は7年前から民間委託を検討し、コンセッション方式を可能にする水道法改正を国に働きかけてきた。

 特別目的会社が管理するのは浄水場などの施設で、水質検査や水道管の維持管理、各家庭への配水は従来通り自治体が担う。3月16日深夜に発生し、最大震度6強を観測した地震では、県内の水道管などに被害が出た。村井嘉浩知事は3月28日の定例記者会見で、「今後の災害でも県がコントロールし、民間事業者任せにはしない」と述べ、従来通り自治体が復旧を担う姿勢を示した。

 村井知事は「事業効果は300億円以上。県民に少しでも安価な水道を供給するための施策で、日本のモデルになる」と意義を強調した。特別目的会社の酒井雅史社長は「消毒に必要な薬品や電力などを一括購入することでコストが削減できる」と説明している。

2022年4月1日 13時36分 読売新聞オンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/21931582/

 国家が経済安全保障を行うというときに、宮城県は水道を民間に売約するという。要するに「経済」で「生存の保証である水」を撃ってしまうということになる。このように書くと「契約がしっかりしているから大丈夫」などということを言うが、実際はどうであろうか。そもそも停戦条約がしっかりしていても、ロシアはウクライナに侵攻したのである。そのようなことを考えれば、契約書などという「紙切れ」がどれくらいたくさんあっても意味がない。

要するに現在の宮城県の県庁(県知事を含む)は、水の安全を撃ったのである。

村井嘉浩知事は3月28日の定例記者会見で、「今後の災害でも県がコントロールし、民間事業者任せにはしない」と述べ、従来通り自治体が復旧を担う姿勢を示した。<上記より抜粋>というようなことを言っているが、ではそのコントロールに従わない場合、宮城県はどのようにして県民を守るのであろうか。例えば水を止めてしまった、または十分に供給せずに、すべて外国に売ってしまったということになった場合、具体的にはどのようにするのであろうか。何カ月もかけて司法裁判所などに訴えても、その間水が届かなくなるのである。

元々このようなライフラインインフラの証券化や民営化というのは民主党政権の時に小沢一郎当時の幹事長が提唱したものである。この時、小沢氏は、皇居の証券化で売却などにも言及し、さすがに多くの日本人に顰蹙を買った。噂に寄れば、現在の上皇陛下、当時の天皇陛下も、プライベートの会合においてあくまでも一般論として「自分を嫌っている人を好きになるということは、一般論としてあり得ない」と民主党に対して批判を口にしたというような話も伝わっているのである。

「金に困っているから、他人(県民)の命の保証を失って構わない」というのは、一般の人々からすれば「生活費に困っているから(または会社が財政上逼迫しているから)、保険を全て契約解除にしてしまった」というのと同じである。もしも何かが起きたときに、口では「もしもの時はこうします」などといっても、そのような実効性があるのかということは非常に大きな問題なのである。そのことを「具体的に表すことができるか」、つまり、事務所の合いかぎを持っているとか、システムを県庁で別に持っているなど、何かあっても大丈夫な補償をしっかりと示すことができるのか。

そして、このようなことをしていて、何が経済安全保障なのであろうか。国はこれを止めることができないのであろうか。

何かを考えないとならないのであるが、残念ながら、そのようなことが全くできず、今後「宮城県がやったから」といって、様々な都道府県が水道などのインフラを民間に売り渡し、そして日本人の命が危険にさらされるのではないかと危惧するものである。