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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

第1回十字軍1-四十にして惑うフィリップ1世

2017.12.06 02:48

どうもフランス王は女に弱い。1060年即位したフィリップ6世。真面目な王である、内政に力を入れ主膳長、司酒長、主馬長、官房長、尚書長の5大官職を制定。いわば内閣を組織したわけだが、実際主膳長は料理の手配もしていたようだ。ともかく官職を決めることで、王家は安定することになった。

また政略によって少しずつ領土を広げる。68年に家督争いに乗じて領土を占領、72年にも家督争いで、77年にはノルマンディーから、79年にも領土を増やし、歴代王の中でようやく領土拡張に成功した、フランスの中央集権の優位はここから始まったといっていい。

しかし40歳にして逆に惑うのである。王には19歳で結婚したちゃんと母子が居た。後世淫婦として名高いベルトラード・ド・モンフォール。どちらも不倫で、王は妻を修道院に送り、彼女は家を出奔。そんな結婚が認められるわけがない。当然破門されたが、十字軍を決めたクレルモン公会議だったから情けない。威光も破門で消し飛んだ。

結婚を撤回して1104年に赦されたが、教皇がまだハインリヒ4世と戦っていたという事情による。ベルトラードは愛人として同棲しており、2人の息子を生んで、イングランド王とノルマンディー公を兼ねるヘンリー1世に王太子を殺させようとしたとか悪い噂が絶えない。

下は破門されたフィリップ1世とベルトラード・ド・モンフォール