急性胃拡張のうさぎさん
今日は急性胃拡張のうさぎさんについて記載します。
ゆきちゃん(9歳半 女の子)
ゆきちゃんが、急に食欲がなくなったとのことで来院されました。
おなかを触ると、胃のあたりが張っている感触がありました。
本人の抵抗する力は少しありましたが、耳の血管ははっきり見えないほど血圧は低下し、体温も35度に落ちていました。(正常の体温は38度です)
レントゲンを撮ると、胃が拡張していました。
胃の中に目玉焼き状にガスが貯留しており、胃の大きさも最後肋骨よりも後方まで広がっています。
リスクをお話して、さっそく麻酔下で処置を行いました。胃の内容物を口から入れたチューブで抜き取りました。
急性胃拡張になった時点で全身状態が悪化し、亡くなる可能性があります。また、麻酔をかけての処置自体も、麻酔後に目が覚めないこともありますのでリスクを伴います。
処置後の写真です。胃の内容物を80mlほど抜き取りました。
本人も麻酔を切って10分ほどで目が覚め、処置後5時間ほどから元気に飛び回り始めました。
2日目の血液検査ではBUN、Crea(腎臓の項目)の上昇が認められ、数値のレベルとしては、これも半分以上のウサギさんが亡くなるレベルでしたが、治療が効いて、3日目の血液検査では、正常値に戻りました。最初はウンチも小さく、5個ほどしか出ませんでしたが、2日ほどで100個以上のウンチが出て、3日後に退院しました。
ゆきちゃんは、口にしこりができ、摘出手術を受けたり、膿瘍ができたり、高齢での避妊手術も頑張っていただきました。
香川県にお引越しをされる直前に急性胃拡張になり、また最後にお手伝いができて嬉しかったです。ゆきちゃんの診察はたった3年間ほどでしたが、とても楽しかったです。香川に行かれても皆さん元気でお過ごしください。ゆきちゃん、元気でね。