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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

近代アジアの動乱1-アヘン戦争勃発

2022.04.05 09:37

ヴィクトリア女王は次のピール首相とそりが合わず、またもやメルバーン子爵が再登板となった。女王は後年反省して、今ならもっと違ったことができた、と言っている。しかしこのとき、アジアオリエントで、重大な外交問題が起きる。何よりも阿片戦争の勃発である。

この問題は18世紀まで遡る。イギリスは清からお茶を大量に輸入していた。しかし清は貿易に消極的で、何よりイギリスの綿製品は、もうとうに中国では国産で間に合っていた。そこで東インド会社は、インド植民地のベンガルで育てたアヘンを中国に密輸入した。

乾隆帝以後、清は停滞し、人口増で貧民があふれていた。その鬱屈した気分を紛らわすのにアヘンを吸った。清の道光帝は、厳しい措置に転換し、林則徐を取締りにあたらせた。1839年、林則徐は、英国商館を包囲して、1400トンのアヘンを供出させ処分した。イギリス商人はこの措置にマカオに退去する。

清国貿易監督官チャールズ・エリオットは、11月3日、清国兵船に艦砲砲撃を行う。外相だったパートマン子爵は強硬派で、軍事的に清国の門戸を開こうとして、本国より軍艦の派遣を要望した。1840年2月、この派遣は9票差で庶民院で可決した。このときグラッドストンは「不正で永続的に不名誉な戦争」と反対している。