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ゆとりらYOGA

「コーダ あいのうた」(映画感想)

2022.04.07 15:31

第94回アカデミー賞で、助演男優賞(トロイ・コッツァー)と、脚色賞を受賞した作品。

コーダ(CODA)とは、「Children of Deaf Adults=耳の聴こえない両親に育てられた子ども」のことだそうです。

両親と兄が聴覚障碍者の為、手話で通訳をすることが役目になっている高校生のルビーが主人公。

この両親がとにかく開けっぴろげでお喋りなので、しんみり観てられない…どころか、むちゃくちゃ面白い!

後半、家族全員が感情をぶつけ合うシーンがあり、その後、お母さんがルビーに「あなたが生まれた時、耳が聴こえると分かった時はショックだった。分かり合えないと思ったから。母として何もしてやれないと思ったから。」というシーンがあります。

彼等にとっては聴こえないことが当たり前で、その後、兄と妹が2人で言い合う場面でも、兄は「お前が来るまでは家族は平和だったんだ」と言います。

聴こえないことが当たり前の世界で、その中だけで生きていく方法だってあったのだ、と。

だけど、今の家族は、耳が聴こえる彼女に全面的に頼るしかなくて、兄はそんな現実と、自分の矜持と妹の解放の狭間でしんどい思いをしている。

そのしんどさは、両親も、そして勿論、ルビーもそれぞれに抱えていて…

決して裕福ではないし、ハンディキャップに苦しむことも多いけど、この家族がとても深い愛情で繋がっていることが分かるし(お母さんは自己中心的だし父と兄貴は粗野なんだけどww)、頼り、頼られる、両者の成長譚としてのストーリーが素敵でした。

ルビーの家族3人は、皆、本当の聴覚障碍者だそうで、この3人と耳の聴こえるルビーの家族の会話が素晴らしかったです!お母さん役は、「愛は静けさの中に」のマーリー・マトリンで、すっごく綺麗だけど全然気づかなかった。30年以上前の作品だし。

ルビーの歌声を聴けないから、彼女に本当に才能があるのかどうか家族には分からない…そのもどかしさや哀しみが、びっくりするような演出で描かれていて、鳥肌立ちました。

元ネタはフランス映画の「エール!」だそうで、これは未見。こっちも評判良いので観たい。

ところで、邦題の「コーダ あいのうた」を見て、Charaの「Swallowtail Butterfly あいのうた」を懐かしく思い出しました…。