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マヤ

『W旦那+(プラス)』第52~53話 (アトラクション)三代目妄想劇場

2017.11.15 05:30

アトラクションの入り口まで来て、



「じゃ、入るぞ」と隣にいる隆二の目を見ると、薄っすら目に涙をためている。



臣「えっ?泣いてんの?」



隆二「泣いてなんかいねーよ…」



臣(うそ⁉︎どんだけ?こいつ…)



ぷっと吹き出す。



臣「大丈夫だって!はい、行くよ」



中へ入って行く臣と隆二。



入った瞬間から隆二は目を瞑って、臣の背中に張り付いてくる。



臣「ふ…ふざけんなよ!りゅ…いや、

隆子!」



臣「しがみついてちゃ歩きにくいだろ!」



隆二「み…見捨てないって指切ったじゃん…」



臣「マジか?…お前…」



病院の廊下で、少し先を行く剛典と理愛を見失わないようについて行く臣と隆二。



途中お化け役のアクターが驚かせようとして臣の行く手を阻むが、まったく動じず、

しっかりした足取りで前に進んでいく。



それにしても、背中に張り付く隆二が気になる。



臣「ちゃんと目を開けてんのか?」



隆二「み…見てるよ」



臣「今、何が出てきた?」



隆二「えっ?…なんかね、血がドバーッて出たやつ…」



臣(血なんか出てないわ…)



臣「見てねーだろ?」



隆二「え…バレた?」



臣「お前さぁ…普通背中の方が気持ち悪くなんない?」



隆二「せ…背中?」



臣「お前のすぐ後にサダコっぽいのが張り付いてるよ」



隆二「わぁーっ‼︎うそっ…やめてぇ‼︎」



臣「あ!バカッ!デカい声出すな‼︎聞こえるだろ!」



隆二の口を塞ごうとしたが、すかさず臣の前に回り込み、正面から抱きついてくる。



臣「おまっ…これじゃ余計歩きにくいだろ」



隆二「ムリムリムリ…もう泣きそう…

おれ…」



臣「……」



呆れた顔をして天を仰ぐ臣。



臣「リタイア出口すぐそこだけど…

出るか?」



隆二「そ…それもできない…」



臣「だろ?俺らがここに誘導しといて、がんちゃん見捨てちゃいけないよな」



隆二「う…ん」





すぐ近くに3体ほどアクターがスタンばっているが、



(なんだ、イチャつきにきたカップルか)



とでも思っているようで、それ以上は何も仕掛けてこない。



その様子を見て臣が、「大丈夫、近くにいるけど何もしてこないって…このままくっついてていいから…先行くよ」



「う…ん」



隆二は臣の胸にすりすりと顔を引っ付けて、臣のTシャツで涙を拭いている。



臣(やべっ…こいつ…)



臣(俺の方が違う意味で興奮してくるじゃねーかよ…)



しっかり抱き合ったまま、前へ進み出す。



アクター達もすっかりヤル気を無くしたように、ベッタリ寄り添う二人には仕掛けてこない。



前を行く剛典と理愛は引っ付いてはいるが、特に悲鳴を上げることもなく、順調に進んで行く。



遠くの方で何人かの泣き叫ぶ声がする。



その度に、臣の腕の中でビクッとする隆二。



手術室と書かれた部屋のドアを開け、中に入って行く剛典と理愛。



顔を指すことだけは避けたかったが、ちょうど2組の間を行く、見ず知らずのカップルも手術室に入っていったので、そのすぐ後ろからついていった。



中に入ると、薄暗い手術室で手術台に寝ていたアクターに驚かされ、先に入ったカップルが腰を抜かしている。



臣(あれ?がんちゃん達はどこ行った?)



よく目を凝らし見ると、広い手術室の隅の暗がりで、抱き合っているのが見える。



臣は隆二の耳元で、



「目、瞑ってないで部屋の隅見てみろよ」



隆二「えっ⁉︎どうかしたの?」



臣「二人…キスしてるよ」



慌てて目を開ける隆二。



このアトラクションに入ってから、ずっと目を閉じていたので、視界がボヤけてすぐに状況がわからない。



隆二「見えない」



臣「もう少し近くに行ってみよ」



剛典達から3m位離れた所に、大きめのロッカーが置いてあり、その陰まで足音を立てないで移動する。



臣「声出すなよ」



隆二「ん…」



隆二「もう血を吸われてたらどうする?」



臣「黙って…血を吸う音かよ、これ…」



理愛は剛典の首に手を回し、剛典も理愛の腰を抱いていて、音を立ててキスをしている。



「ちゅっ」と大きな音がして、一旦離れる二人。



剛典「あれからずっと会いたかったよ」



理愛「私も…」



隆二(理愛ちゃん⁉︎)



剛典「ここなら人目を気にしないですむね」



理愛「はい」



「理愛ちゃん…」と言ってまた口づけする二人。



よーく目を凝らして見ると、二人の頬の辺りが激しく動いているのがわかる。



同時に大きな音も聞こえる。



「ちゅ…ちゅっ…」と、聞いてる方が恥ずかしくなるような音を繰り返し、微かに理愛の吐息も聞こえてくる。



隆二「え?ディープキ…」



後ろから隆二の口を押さえる臣。



「お前…いちいち声出すなよ」



片手で隆二の口を押さえ、もう片方の手は隆二の胸辺りに触れている。



隆二の鼓動が異常に早い…



臣「スゲ…ドキドキしてる」



隆二「っせーな!こえーんだよ」



臣は気にもせず、隆二に触れたままで、理愛達を見ている。




End