【合格体験記】WSETL3 Distinction取る勉強法
普段はマスコミで働いていらっしゃる山本布美江さん。ワインが好きすぎて千葉に「ふみえワイナリー」を持っている、とてもアクティブで集中力のある素敵な女性です。試験もテイスティングも記述もDsitinctionで合格されました。超優秀な成績で合格した山本さんの必勝勉強法知りたいですよね。
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山本布美江さん(2021年12月受験 2022年3月合格)
1.はじめに
私が2019年にWEに合格した時は、毎回授業終わりでテイスティングの勉強と称してクラスメイトとワインを飲むのが楽しみだった記憶がありますが.....コロナ禍でのWSETの勉強はとても孤独な戦いでした。もちろんクラスメイトとの励まし合いや情報交換は心強くて有益でしたが、最後は自分次第。
一番の悩みは、テイスティングの勉強でいろんな種類のワインを開けられないこと^^;外飲みもなかなかできず、買って来たワインは自分の好み云々ではなく、あくまで勉強用なので…飲みかけワインが冷蔵庫のドアポケットに並び一人で消費するには何日もかかる切なさ…
そんな体験記です。
2.私はビジュアル派です!
私の場合は仕事柄のせいか、完全にビジュアル記憶のタイプなので、映像からインプットする勉強法がメインでした。
コロナ禍で開催が増えたオンラインのワイナリーツアーや生産者セミナーにはスケジュールが合う限りたくさん参加しました。
世界各国の今やなかなか訪問できなくなってしまったワイナリーとの中継。現地の映像からは、生産者の話だけではなく日差しの強さ、風の音、仕立て方や土の色や地質、貯蔵の環境などいろんな視覚的情報が得られます。
ワイン片手に参加することも多く、正直あまり細かいワイナリー情報は覚えていなかったりもしますが、「ローヌのあの畑はものすごい風で声が聞き取りづらかったな…」とかちょっとした印象だけでも記憶に残っていれば万万歳!!
ローヌ=風というインプットが自然とできたので、記述問題で問われても映像さえ浮かべばそれを文字にするだけ、「何を書けばいいのか?」と慌てずに済みます。
また試験直前で勉強に飽きた時には、「チリのなんちゃらヴァレーとかイマイチ違いが頭に入ってこない!!」と思い立っては、Google Mapを使ってプチ・ワイナリーツアーを敢行していました。自分の苦手な国や地域を中心に検索し、そのエリアのワイナリーを見つけ、旅行者や公式サイトの写真にアクセス。ここでもブドウの樹の仕立て方、灌漑設備、奥にある雄大な山脈、土の色や乾燥具合、主力としているワインの品種、など一瞬にして情報が得られ、映像として焼き付きました。
どこの国もワイナリーの近くにはゴルフ場が多いな....とか無駄な発見もあったり、いつか行ってみたいなぁと思えるワイナリーが見つかったり、意外とオススメです!
3.やっぱりLevel2が大事です!
これは先生もずっと仰ってくれていましたが、練習問題を解くうちに、「結局は品種の個性を理解していないと解けない」問題にぶち当たります。
どういう気候帯で育つのか?果皮の厚さ、酸の高さ、アロマティックかそうでないのか?そういった個性や特徴が醸造や熟成のスタイルに紐づいていくので、そこが理解できていないといけないし、逆に言えば、そこさえ攻略できればWSETの求めているもの、答えさせたいものがわかってきます。
私は本腰を入れたのが試験1カ月前を切っていたのですが、その段階で品種の個性と生産地域をまとめるノートを作成しました。
ちょっと遠回りになるかと思われますが、これがテイスティングにも役立つので、「急がば回れ!」と心に決めてひたすらまとめました。
4.“これだけ見れば良い”ノートを作成!
私はゆっくりクラスで受講期間が長期にわたったこともあり、ダラダラと資料の整理や授業の復習やまとめができていない状況でした。
部屋も散らかる一方…復習したくても一発で欲しい資料にたどり着けないのが悩み。そこで本腰を入れた1カ月弱前から、品種まとめノートと別に、もう1冊“これを見れば全てわかるノート”の作成に着手しました。
記述試験をイメージして、出そうな問題に対しての答えを一つのノートにまとめていきました。
先生が宿題にしてくれた問題、過去に出題されていそうな問題、国ごとに改めて授業内容とポイントをまとめて1冊のノートにして、ほかの資料を見なくてもいいような1冊を作りました。
これさえあれば、いつでもどこでも思い立って復習ができて便利でしたが…
とりかかるのがあまりに遅すぎました(;^_^A
とはいえ、試験日が近い段階で手を動かすことは、まとめと記憶の作業を同時にできたのでよかったのかもしれません。
↑↑ 品種まとめノートと“これだけ見れば良い”ノート
5.問題集の活用法
『Thirty Fifty』も『The Unofficial WSET EXAM GUIDE』も受験仲間と和訳プロジェクトを組んで一通り解きましたが、『Thirty Fifty』に関しては印刷して日本語で解くより、翻訳サイトでコピペしながらでも『Thirty Fifty』のサイトにログインしながら解くのをオススメします。
なぜなら解いた日付と正答率が記録されるので、自分がどの分野を苦手としているのか?どこを潰せばいいのか?が一目瞭然になるからです。
最初は知識なしで解いてみて、どれくらいできるかチャレンジしてみたり、ある程度勉強してからもう一度解いてみたり…苦手分野を把握して勉強時間の配分を決めるのにも役立ちました。
6.苦しかったテイスティング対策
早い段階でドライテイスティングを毎日赤白1種ずつ始めたのですが、試験まで半年ぐらいあったので、もはやお題となるワインもなくなるくらいの勢いになってしまったので…一時中断。
また、どうしても自分が普段飲まないワインはイメージができないので、Specificationに【必須】と書いてあるワインを優先して購入し、コメントを考えながらひたすら飲む日々でした。
試験直前は、赤白それぞれプレミアムなワインとシンプルなワインの品種を絞って、回答のパターンを叩き込みました。
7.なんだかんだワインメーカーの目線で考える!
WSETは消費者目線ではなく、生産者の目線が大事です。
自分がこの国、地域で畑を作るならどんな場所でどんな品種選びや設備が必要か?リスクは何か?
この品種を育てたら、どんな醸造の選択肢があり、貯蔵をする必要があるのか?
ブドウのポテンシャルをどうやったら引き出せるか?
を問われる試験だと思います。
実際の試験では、意味不明な面を食らった記述問題が出ましたが…落ち着いて、ブドウ品種の個性とその土地の気候や環境を思い出し、想像力を働かせて、あとは手を動かして思いつくことを試験時間いっぱいまで使って書きまくった!という感じでした。
8.最後に…
試験が終わった日、開放感とともに回答に悩んだ問題が悔しすぎて、醸造家さんと飲みながら「どう答えるのが正しかったのか?」を質問攻めしていました。
まだまだ勉強が足りなかったか。。。と反省もしましたが、無事合格できてホッとしました。
あき先生には、たくさんの受験生を抱えながら長期にわたりサポートしていただき、またわからないことをたくさん質問させていただきました。
本当に感謝しております。
受験を控えた皆様は、試験日が迫ってもなかなか思うように勉強時間が取れず焦りもあるかとは思いますが、楽しくワインと向き合い試験日を迎えられることを陰ながら応援しています!
貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。
↑↑ 試験1カ月前を切ったところで気合を入れて沖縄で合宿
↑↑ 参考になった本 (結局ビジュアル系!)
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講師から一言
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とは孫氏の兵法です。布美江さんの勉強法はまさにそうです。試験では「生産者の視点が大切」、自分に足りないものは「品種まとめノート、これだけ見ればよいノート」、自分が得意なのは「ビジュアル」と戦略を立てながら勉強されていますね。
何よりも、布美江さんが試験直前に「満点取りに行くつもりで勉強する」と言っていたのが印象的でした。その強い気持ちこそが合格をつかみ取るコツなのでしょう。わたしもお手本にしてみたいことがたくさん。本当にありがとうございました。