はとバスの歴代の輸入車⑦ バンホール・アストロメガ
1996年に、はとバスはドレクメーラー以来のダブルデッカーとして初の国産ダブルデッカー三菱ふそうのエアロキングを導入しました。1台のみの導入でしたが、この車両は評価され、翌1997年の春にも三菱ふそうのダブルデッカーが2台増備されました。しかし、同年の夏には再びダブルデッカーの輸入車が2台登場しました。新たに輸入されたのが今回ご紹介するバンホールTD824アストロメガでした。はとバスにとっては初のベルギー製のバスでしたが、実はこのモデル、1980年代に名古屋観光自動車や岐阜乗合自動車などで既に導入されていました。TD824はボクシーなボディデザインを採用し、4灯火された丸いヘッドライトとあいまって、日本市場では久しぶりの登場であったにもかかわらず、まったく古さを感じさせない上品な雰囲気を醸し出していました。日本に導入されたそれまでのTD824はダイムラーのエンジンを搭載していましたが、はとバスの車両は同じドイツのMANのエンジンを搭載していました。MANは世界的に有名なメーカーですが、日本では比較的採用例は少なく、当時は約10年振りの登場でした。実は、このバスは前年に三菱ふそうのエアロキングと同時に導入する計画でしたが、TD824は以前に日本への導入実績があったものの、久しぶりの日本市場向けであり、かつ初めてのはとバス仕様ということで開発に時間を要し、結果的に1997年の導入になったといういきさつがありました。はとバスのTD824の導入はこの2台に留まってしまいましたが、後にはキティバスやオープントップバスとして最前線で活躍をしました。2016年には、Scaniaシャーシを採用した新型アストロメガがはとバスに登場しますが、1997年にこの2台を導入していたことも、多少なりとも良い意味で影響があったと推測されます。
写真解説
バンホールTD824アストロメガ(写真①)と三菱ふそうエアロキング(写真②)。同時期に導入されましたが、大分印象は異なります。