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NO.610「あと4年」「思いを背負って」

2021.04.17 05:28

2021.04.17.No.610

「 あと4年 」

なな.

 最近、オーガニック七菜には若いお客様、男性のお客様が増えてきました。素晴らしいことです。食べることは生きること、食べ物を選ぶことは環境や生き方を選ぶことだからです。自分と地球の健康に目を向ける人が増えてきたということでしょう。嬉しいです。今回はそんな若者の中の一人が持ってきてくれたリーフレットを紹介します。

 先日からお伝えしているように、環境問題は先送りに出来ない状況です。このリーフレットでは今見直しが始まっている日本のエネルギー計画を、本当の意味で結果の出る本気の政策を行うよう求める署名をしませんか?と、投げかけています。 また、個々ができることとして再生可能エネルギー重視の電力会社にシフトしていきませんか? とも。

 ドイツのGERMANWATCHというシンクタンクが2018年に最も機構機器の影響を受けたのは日本だと発表したそうです。

 当事者の一人として考えてみませんか?

 



「 思いを背負って 」

高 志 

 今年の桜は徐々に北上するのではなく、一気に広範囲に広がり、東北の玄関口である白河でもすっかり散ってしまった。ならば、水の里はどうかというと、およそ1kmのトンネルを超えた川沿いの桜は満開なのに、山の陰になるからか蕾すら膨らんでいない。山の斜面にある山桜は満開なのだが、これが自然の不思議なところだ。 

 こうなると、山菜の出方も全く混迷を極めるもので、通常なら全国的に桜の開花が早かったのだから、山菜も早く芽吹くだろうと推測されて当然であり、案の定、水場のふきのとうはすっかりとうがたってしまった。 

 今、旬を迎えているのは土筆であり、葉わさびで、森のバスの周りは10cmほどの土筆が我も我もと顔を出している。水場の脇に、山から移植した葉わさびは小さな白い花を咲かせ、お水採りをしているとほのかにわさびの香りが漂ってくる。 

 土筆にしろ、葉わさびにしろ、もちろん食せるのだが、この時期最初のターゲットとなるのはこごみだ。正式名はクサソテツであるのだが、会津地方ではこごみ、またはこごめと呼ばれ、最近ではスーパーで売られるようにもなった人気の山菜だ。 

 クセがなく、天ぷらだったり、お浸しだったり、そのまま炒めたりと料理の仕方を選ばない優れものだ。我が家の子供たちも大好物で、春になるとこごみを待ちわびている。 

 ただ、このこごみ、顔を出すと一気に伸びてしまうため、隔週でしかお水採りに行けないこちらとしては、旬を逃すとその春はもう食べられないということになってしまう。 

 3月から、陽射しがあるときはTシャツ1枚でちょうど良い陽気になったり、それでいて天気の悪い日は横殴りの吹雪となったりと、冬と春がせめぎ合っている今年の水の里では、いったいこごみはどう出てくれるのか、期待と不安が入り混じりながら、こごみの名所を目指して山へと向かってみた。

  道中の山の様子を目を凝らしながら窺ってみる。ふきのとうは、やはりとうがたってしまっているが、他の山菜はまださほど目立たない。スギ林に入り、食用には向かない細く小さなこごみが目立つようになってきた。 

 昨年こごみを採取した時には、これらの細いこごみ達は出ていなかったため、正直、もう旬が過ぎてしまったのではないかと焦りが出た。 

 そして、いよいよこごみの名所へと足を踏み入れてみる。おやっ、思いのほかこごみが伸びていない。いや、伸びていないというよりも、まだ顔を出したばかりで、まだ早かったというのが実情であった。それでも、幾らかは食べごろのこごみがあるので、果物ナイフの刃先をやさしく茎に当てると、力を入れなくてもスッと切り落とせる。 

 理想を言えば、あと2、3日待てば盛りを迎えられるのだろうが、こればかりはしょうがない。食べごろのこごみだけを収穫し、山に御礼をした。

  帰宅すると、新聞にくるまれたこごみを見つけるや、うわ~、こごみだ!と汐里が歓声を上げた。続いて野球の練習から帰宅した進が、うお~、こごみだ!!天ぷら?ともう食べる気満々だ。 

 早速、あやがこごみを天ぷらにしてくれて、夕食に並ぶ。揚げたてのこごみの天ぷらを頬張りながら、『山に行きたいな~』と子供たちが声をあげ、それぞれが持つ山の思い出を語り始める。 

 さすがにこごみはもう終わりだろうが、これからはタラの芽やコシアブラ、山ウドや根まがりたけ、そしてわらびやゼンマイなど、美味な山菜が続いてくる。 

 今年は大いに山を歩いてみよう。近年、盛んに顔を出す獣たちに充分に気を付けて、みんなの思いを背負いながら・・・。