【Album Review】Taishi - Phant Solo II 【同人音楽】
前作の「Phant Solo」でトランスの完成形を作り上げた同作者は、その経験を大いに活かして、さらに強力でなおかつ非常に画期的な作品を一つ生み出すことに成功した。
ジャンルが一見すると分からないような、独創性がありながらも幻想的な音楽性で構成されたこの作品は、知名度こそあまりないように感じるものの、言わばアイディアの宝庫のようで、最初から最後まで思わず惹きつけられてしまうような内容となっている。
根底となる音楽性は恐らく一貫としているのだと思うが、その音楽性の中でも多種多様のバリエーションを楽しめる部分がこの作品の最大の魅力で、「The childhood」のような哀愁感の強い曲から、「Escaping from this World」のような非常に静謐で壮大な曲まであり、どの曲も非常に強い特徴を持っている。
特に「False God」は同作者の過去の作品(「Phant Solo」の「Imitation of Our History」など)を彷彿とさせられるような出来だが、それらと比べるとドローン音や民族的な歌唱などが相まって非常に瞑想的な内容になっており、対極的とも言える音楽性の中でも見事に調和しているように感じられる。
この作品は通俗的に言えば「Artcore」に分類されるのかもしれないが、型にはまってない複雑な音楽性からか、同ジャンルの他のどの作品と比べても一線を画しており、極めて個性が強いがゆえに「Artcore」とひとえに言うのは厳しいと思われる。
寧ろ、私自身はこの作品のジャンルについて「Artcore以後」という意味合いを込めて、「Post-Artcore」と呼びたいと思っている。そのぐらいこの作品はエポックメイキング的な作品と言える。
いずれにしても、「Artcore」というジャンルの面で見ても、同人音楽のアルバムという視野で見ても、間違いなく史上最高傑作の一つであると確信している。
1.Introduction (Bygone) - 9/10
2.Rituals - 9/10
3.The Childhood - 10/10
4.False God - 10/10
5.The Passing Years - 9/10
6.Escape from this World - 10/10
7.Distant Relatives - 10/10