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【特集】制定20周年を迎える土壌汚染対策法②~脱炭素等含めた持続可能な土壌汚染対策:東京都環境局環境改善部

2022.04.12 00:38

「環境・経済・社会に配慮した持続可能な土壌汚染対策ガイドブック」の紹介

 東京都環境局環境改善部化学物質対策課土壌地下水汚染対策担当


 東京都では、東京都環境基本計画(平成28年3月)において、「環境面とともに、経済面や社会面等の視点を踏まえ、事業者による合理的な対策の選択を促すための手法を検討する」ことを掲げて検討を進めてきました。このたび、土地の改変(解体・建築・建設工事等)や開発事業、土地の売買・不動産仲介等を検討している事業者の方々に向けて、令和4年3月に「環境・経済・社会に配慮した持続可能な土壌汚染対策ガイドブック」を発行しましたので、その概要についてご紹介させていただきます。

 このガイドブックを作成した背景としましては、世界では、SDGs の取組など、脱炭素に代表される持続可能な社会システムの構築へとその歩みを加速させている中、東京都では、2050 年 CO2 排出実質ゼロに向けて、脱炭素行動の加速を後押しするマイルストーンとして 「2030 年カーボンハーフ」 を表明するとともに、「ゼロエミッション東京戦略 2020 Update & Report」 を策定し、 国内外のあらゆる主体に行動の加速を呼びかけています。


 こうした状況の中、土壌汚染対策においても、「環境面」として、土壌の運搬や処理にかかるエネルギー消費によるCO2排出の抑制や、埋戻し土壌に山砂を利用することによる自然環境への影響等への配慮が求められます。一方で、「経済面」としては、土地取引の中で掘削除去を求められること等により、対策や処理の費用がかさむことで、企業会計に影響を与えるばかりか、土地の利活用が阻害され、ブラウンフィールドの発生に繋がることも懸念されることから、個々の現場状況に応じた合理的な対応が必要となります。さらには、「社会面」として、土壌汚染対策を円滑に進めるためには、地域コミュニティー等のステークホルダーとの関係性への配慮等が求められています。


 土壌汚染対策を行うに当たっては、法令の目的である「人の健康被害を防止する」ことを大前提として、その対策を実施する際には、上記のような、「環境面・社会面・経済面」に対して、どのように対処していくかが重要となります。


 具体的には、土壌汚染対策では、一般的に掘削除去等が多く実施される傾向にあり、東京都に提出される届出書の統計では、平成20年頃には約9割、現在においても約5割弱で掘削除去等が行われています。例えば、10,000m2 × 5m を全量掘削する場合は、約2,600t のCO2 が排出されます※。都内においては、自然界に存在する物質により基準値を若干上回る程度の土壌も大量に存在していますが、このような掘削除去等が多くの現場で継続的に行われていくことは、環境面・経済面・社会面から見て持続可能とは言えない状況となっています。


 本ガイドブックでは、上記のような状況を改善し、環境面・経済面・社会面から見て持続可能な対策を促進していくためのポイントとして、各現場において土壌汚染対策工事は勿論、建設工事の際に遭遇する基準不適合土壌に対しても「土壌の3R」を意識して関係者間が良くコミュニケーションを図り、設計・施工を行っていくことを提案しています。

Reduce   : 土壌の場外搬出入量の削減

Reuse    : 土壌の資源活用(適正な管理の下での盛土利用等)

Remediation : 原位置浄化、現場内浄化等


 この「土壌の3R」を意識して計画的に進めていくためには、計画地で予定されている事業全体を見据えた対策が重要となります。そのため、事業に関わる工場主、土地所有者(売主・買主)、開発事業者、不動産仲介事業者、専門技術者・工事施工者等がコミュニケーションを取りながら、それぞれの役割を担うことが求められています。


 本ガイドブックでは、以下のような事例等を示しながら、事業者による「土壌の3R」の実践のポイントや考え方を分かり易く示しており、是非、ガイドブックの本編、事例集も読んでいただき、環境・経済・社会に配慮した持続可能な土壌汚染対策に取り組んでいただけると幸いです。


1 法令による措置が不要な土地における対応事例 7例

・土壌の搬入出をせずに解体・新築工事を実施

・土壌汚染調査の早期実施による設計見直しと効率的な施工の実施

・基準不適合土壌を集約し、維持管理の合理化

・土壌汚染のある工場跡地をマッチングにより開発し土地の利便性を向上

・自然由来基準不適合土壌を盛土材として利用 等


2 法令による措置が必要な土地における対応事例 4例

 ・操業中や土地を利活用しながら原位置浄化措置を実施後に土地を売却

  ・地域要望を踏まえて樹木を保存しながら法令による措置を実施 等


※東京都環境局ホームページ(本ガイドブックの掲載ページ)

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/03/17/34.html

※CO2排出量は以下より求めています

都評価ツールhttps://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/chemical/soil/information/grsr.html

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