漢文を読むコツなどありましたら… その①
「漢文を読むコツなどありましたら」
とある方から、こんな質問を頂いた。
自分のキャパシティを超えた問いで、これはとても難しく難解だなと思った。
漢文の意を読むのはとても難しい。
言葉を使う人の認識や、当時の状況や社会を知っているのと知らないのとでは捉え方が大きく違ってくる。
また、四書五経などに精通した当時の人と、まったく0ベースのすぐろの漢文の理解の内容も全く異なるものになるだろう。
そういう意味で、「漢文を読む」というのは、どのレベルに設定したらいいのか。
色々と考えた末にとりあえず、大学に入って最初の史料読解授業の話をしようと思った。
まず最初に言っておきたいのは、すぐろは漢文を「読めない」人だ。
「漢文を読む」=当時の状況や社会、著者の知識的な素養を含めて読解する。
「読める」という定義をこのレベルに設定してしまえば、全く読めてないと言っていいと思う。
反対にこれよりずっと下のレベルに「読める」基準を設定することが許されるのなら、
すぐろは「漢文を読める」となる。
そのレベルとは、「正誤は脇に置いておいて、漢文を形だけ訓読し、何となく日本語に直せる」レベルだ。
これを「読める」と自分は思わないが、仮にこのレベルでもいいのであれば、
自分のこれまでの経験を記すことで役立てられるかもしれないと思いブログにしてみた。
■0ベースからのスタート
まず、すぐろの高校時代の漢文の点数だが、これが頗る悪かった。
冬のセンター模試で15点を記録したのを覚えている。
50点満点中の15点なので、100点にすると30点だ。
ひどい。この一言に尽きる点数。
つまり、この状態ですぐろは東洋史専攻へと突き進んだと言っていい。
大学に入っても本は読むが、漢文の勉強はほとんどしていなかった。
本格的に始めたのは、2回生になり専門の授業を受けるようになってから。
中でも自分の読解スキルに大きく影響した授業が「『漢書』匈奴伝を読む」だ。
史料を読解して学んでいく実践型の授業。
そこで使用したテキストと辞書は下記の通り。
■各テキスト・工具書について
ここでは各テキストと工具書のお話をしてみる。
まずテキストだが、標点本のメリットとしては、句読点があり固有名詞には傍線が引いてあるため、見やすい作りになっている。
他方、初学者へのデメリットとしては、返り点や送り仮名がないので、単体でテキスト利用するにはハードルが高い。
和刻本のメリットはその反対。句読点や固有名詞への傍線はない。しかし、返り点や送り仮名が記されているので、初学者でも訓読はできる。
この二つのテキストを組み合わせることで、0ベースの人でもある程度は訓読ができる。
次に工具書。これは文中に出てくる熟語や漢字の意味を調べる上で役に立つ。
機能性と携帯性に優れた『新字源』は常に持ち歩き、サッと調べるのに適している。
また、巻末の助字解説も、句法を教えてくれるので初学者には嬉しい内容だ。
デメリットは収録されている意味や熟語に限界があること。ハンディサイズなので仕方ない所だけれども…。
これを補うのが2つめに挙げた『大漢和辞典』だった。
全十三巻(今現在は十五巻)から成る大辞書は収録語彙数も桁違いで、難しい熟語でも対応ができる。
もちろん漢字の意味も多く、『新字源』よりも圧倒的なボリュームがある。
■勉強方法
この2つのテキストで訓読した文章をノートに書く。
その中で読み方や意味が分からない漢字や熟語が出てきたら、2つの辞書で意味をひたすら調べる。
これを1年繰り返して量を沢山沢山こなし、とにかく慣れる。
授業はその予習の答え合わせの場として利用していた。
授業の頻度は週に1回だけど、訓読する時間は毎日確保していた。
0ベースなすぐろにとってはキツイ作業が続いたけど、漢文の内容にスポットを当てていたので楽しく勉強ができた。
次は何が書いてあるんだろう?
昔はこんなことあったんだ!
文法ばっかりに頭を悩ませる高校とは全く違う漢文がそこにあった。
この授業は自分にとって2つのプラスがあった。
1つめは「漢文を読む楽しさ」を教えてくれたこと。
2つめは「調べる癖」をつけてくれたこと。
「楽しい」と思えるか否か、これは大事な要素だと思う。
好きこそ物の上手なれ、ですね(*´▽`*)