光と影。
芸風が変わったわけではない。適当な絵が描けなかっただけ。
4月もいくばくか過ぎ、繊維業界に新たに加わった方々はいかがお過ごしだろうか?
いろんな人たちがいて、いろんなことを仰ると思うので、言葉も大事だけど実績も併せ見て信ずるところを探られるとよろしいかと。
僕も気がつけば20年近くこの業界で生きてしまった。入りたての頃はカートコバーンと同じ27歳で死んでしまうから23歳には武道館でロックスターとしてみんなの前にいるはずだった。予定とは全くアテにならないものである。ティーンエイジャーの頃計画した死ぬ予定から10年以上が経つ。
今日も元気です。
ロックスターの目論見は随分とズレてしまったものの、繊維の世界はとても楽しく、気がつけば島に産業移植してみようかなんてライフワークまでたてるほどどっぷりのめり込んでいるように見受けられるわけだが、「山本さんって本当に繊維好きなんですね!」なんて言われてしまうと、好きとはちょっと違うよなって思いながらも「まぁ、そうですね、好きだからできるのかもしれませんね」と気の無い答えをしてしまうこともある。
繊維好きか?と問われれば、嫌いではない。好きだって言いたいけど、僕より好きでマニアックで変態(褒め言葉)は山ほどいる。上を見ればキリがない。だから僕風情が「好き」だなんて畏れ多くて言えやしない。好きというよりは、生きていくための選択肢だったという方が近い。
一方で「好き」を豪語しているわりに、キャリアは長いけどさほど知識も蓄積しておらず、なんとなく惰性で業界歴だけを積み重ねておられる御仁も、少なからずいらっしゃる。
知識の蓄積が仕事にどう影響するか、活かせるかは別次元の話である。
人生の歩み方は人それぞれなので、誰が何と言おうが、ご自身が決めた道を信じて突き進んだらいいかと思う。知識がなくトラブルも重なってアホだのボケだの言われながらも、ニコニコして納品、集金さえすれば火もまた涼し。そういう世界だってあるのだ。
業界内で生き抜いていくとなると、派手なパフォーマンスだけで乗り切れるほど甘い世界でもない。目立つことは悪いことじゃないけど、できればいい意味で目立った方がそりゃ当然精神衛生上良いわけで、えげつないやり方で周りをやり込めてのし上がっていくスタイルもありっちゃありだが、その際は刺されるかもしれないというほどの嫌悪感を浴びながら鋼の心で(または超鈍感に)やり過ごしていく必要がある。
ビジネスとして筋が通るなら、基本的に人から悪口言われる筋合いもないのだが、それでも商品という触媒を通して人と人がやりとりをするのだから、感情の摩擦は避けられない。
そして何より、そういう悪目立ちは、やってる本人が相当仕上がってない限り、楽しくない。
僕も数字に対して勘違いをしていた時はそういう時期もあったし。やっぱ楽しくなかった。
目的次第なので、何が正解とかはない。嫌なら関わらない、また立ち入らせないなどで回避しつつ、各々の繊維業界ライフを満喫していただければと思う。
僕は繊維が好きというより、繊維を通して得た知見などが、人様のお役に立てることができて、喜んでいただけるのが好き。そして楽しい。そういう世界で生きていきたいと改めて思う春の日。