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No.599「チョコレート入荷しました」「山から得るもの」「形見予約」

2020.11.14 06:33

2020.11.14.No.599

なな.

 今年もチョコレートの季節です。お勧めは「ビター・ペルー75」 

「酵素玄米で体リセットチャレンジ」終了後、リバウンドを気にしている七菜ですが、何やら健康効果が取りざたされているカカオ含有量多めのチョコレート、これなら少し食べてもいいのではないかと思い、改めて調べてみたら、うれしい効果がたくさんでした!

肥満抑制・虫歯予防・歯周病予防・がん予防・認知症予防・抗うつ・コレステロール抑制・血圧低下・ピロリ菌撃退・抗インフルエンザ・傷が治る・整腸作用など

「緑茶、赤ワインなど、ポリフェノールが含まれた食べ物は沢山ありますが、チョコレートの材料、カカオ豆にもカカオポリフェノールがたっぷり含まれています。このポリフェノール、自然食品から摂取することが意外に難しいのですが、比較的効率よく摂取できるものが素材を丸ごと使用するカカオ豆なのです。ポリフェノールが豊富に含まれ、しかも気軽に利用しやすい食べ物、その代表がチョコレートやココアというわけです。」

 1日25gを数回に分けて食べると良いようです。

 早速いただきました(笑)

 気になる方は詳しく調べてみてくださいね~。 

 甘味の入っていないオーガニックココアもあります。こちらもどーぞ! 


「 山から得るもの 」

高 志 

 この秋、例年以上に水の里では様々な野生動物を目撃することになった。 まずは鹿。それまでカモシカは幾度となく目撃し、目の前でにらめっこをしたこともあったが、いわゆる二ホンシカを見るのは初めてであった。

 さらに現れたのがウサギ。このあと現れるキツネもそうだが、何故だかこの2匹、車道を僕の車が進む方へと脇へ逃げ込むことをせず、必死になって走ったのである。遂には疲れたのか、ようやく脇道へ飛び込んだかと思うと、僕の車が通り過ぎるのを確認すると、すぐに車道に戻ってきた。よほど、アスファルトが好きだったのだろうか? 

 次に現れたのが、タヌキにテンだ。コロナ禍で人が少なくなったからなのか、無防備ともいえる大胆さで現れるので、こちらが驚いてしまう。

 そして、しんがりであるクマだ。キノコ狩りに行った際に、山中で遭ったことは一度だけあるのだが、まさか車道に現れてくるとは!?それも白昼堂々と。このあたりに生息するクマはツキノワグマだと言われているが、その雄大な姿はヒグマかと思わせるほど大きなものだった。

 この間、村おさ・長さんから『今年はドングリがならないからか、クマがいねぇんだって、隣の村の奴が言ってたぞ!!』と聞かされていたから、目の前に現れたクマが信じられなかったのだが、大きな身体を揺らしながら笹薮を走る姿に、ただただ肝を冷やす思いだった。 

 そんな村おさ・長さんが朝早く1人でクルマを操りやって来ると、お水採りをしている僕に『ゴミ掃除に行くから、一緒に来い!?』と叫んだ。一線を退いたとは言え、さすがは村おさだ。息子のとも君が腰を痛めて動けなくなったらしいのだが、それなら俺が行くと息子夫婦が止めるのも聞かずすっ飛んで来たらしい。

 このゴミ掃除と言うのは、落ち葉の季節になると、村おさ・長さんが作り上げた釣堀である東北釣堀苑の池に水を引くためのパイプに、落ち葉が大量に詰まって水が来なくなってしまうので、その落ち葉を取り除くことなのである。

 当然、その取水口は山の中腹にある。そこまでの道中は歩道ができているとはいえ、山道には違いない。以前になかった杖が増えたとはいえ、それ以外の身のこなしや作業の仕方などは、時が経ていることを忘れさせるものだった。

 仕事を終え、山を下りる途中、村おさ・長さんから水採りに来た時には、ゴミ掃除をやってくれと頼まれた。若旦那・とも君が動けないとあっては、選択肢は無い。

 それから2週間後、今回のお水採りである。まだ山の大半には紅葉が真っ盛りであったが、夜のうちに降り出した雨は、朝までに雪になるほど冷え込み、山の8合目から上部を白く染め上げていた。予定本数を汲みおわり、約束通り山へと向かった。

 時折青空が見えるものの、すぐに雲が覆い雪まじりの雨が降る寒い日だった。それでも、何故だか沢に入ると寒さを感じない。前回、村おさ・長さんと行なった作業をやり終えると、山のてっぺんから陽射しを届けてくれた。そして、陽射しに背を向け、山を下り始めると、眼下には見事な虹が一瞬だけ橋をかけてくれていた。まるで今は亡き山のお母さんが、『阿部ちゃん、ありがとうね!!』と言ってくれているようだった。

 沢を離れて、山を下りると途端に寒気に包まれたので、慌てて帰り支度を済ませて水の里を後にした。

 1人でお水採りを行なっていると、山へ向かうのも億劫になってしまうのだが、いざ足を運べば、計り知れないギフトをいただくこともある。それに何故か、気持ちが良い。もっとその気持ちを大切にしよう。 


「 形見予約 」

上田 隆 

  30数年前だから私は30代だった。京都での《辻潤没後40周年の講演会》にさそわれた。辻潤は名前だけしか知らなかった。思いのほかの人数が集まっている。熱気を感じる。何よりもビックリしたのはみんなの明るさ。どの顔も笑っている。みんな、知り合い、友だちなのか? 

 飲み屋の広い二階畳広間に移って親睦会が始まった。主催の『虚無思想研究』の人を紹介された。

 「○○○はじめ、あだ名はハメさんです」

 「クスッ」 

 「あっ、その笑、『エロイあだ名やなぁ~』と思ったでしょう」 

 人懐っこい笑顔を向ける。

 「私のあだ名はジョーです」

 「どんなジョー?」

 「情死のジョーです」

 破顔一笑。いっぺんに友だちになった。若かった、よく飲んだ。途中から記憶がない。


 最初の軽口合戦から馬が合った。お互い、幼馴染のように感じた。ハメさんの家で飲む。相方のKさんも吞兵衛だ。何より料理、飲みアテがおいしい。うちのカミサンも吞兵衛、そして大の食いしん坊。飲みアテ作りに血道を上げる。お互いの家での飲み会は数知れず。

 ハメさんは装身具などの彫金職人だ。自分の趣味半分でペーパー・ナイフを作っており、東京で個展をやると言った。

 「東京まではちょっと遠いなぁ。こっちではやらんの?」

 「関西ではペーパー・ナイフは売れんのよ。こんどジョーの家での飲み会に持って行くよ」

 ハメさんは多数のペーパー・ナイフを持参してくれた。手近に見るのは初めてだった。銀製のペーパー・ナイフに交じって金製のものもあった。

 「試し切りさせて」

 カッター・ナイフを代用に使っていた。鋭い刃のカッター・ナイフは折り目以外にも刃が入り込んでいく。ハメさんのペーパー・ナイフはすんなりと折り目を切る。ペーパー・ナイフに鋭い刃はかえって用をなさないことをこの時知った。ちょうど手元にあったフランス綴じの冊子を引っ張り出した。

 断裁されていない天辺をペーパー・ナイフで切ってページを開く。初めての体験だった。目を輝かせていたのだろう。カミサンが 

 「わけてもらったら、プレゼントするわ」

 持ち手が平たい石をつなげた形のものを選んだ。銘は“石垣”。

 10数年も愛用しているので、おだやかな銀色を見せる。数寄者は熟成と呼ぶ。 

 ハメさんが最近、こんな事を言ってきた。

 「ジョー、銀製の万年筆を持っているだろう。ジョーが死んだら、アレを形見におくれ。オレが先に死んだら、オレの銀製万年筆を受け取って」

 楽しみな約束ができた。