「宇田川源流」 ロシアのウクライナ侵攻注なのにアメリカ議員団が台湾と会話し共産党との対立を示す「二正面」
「宇田川源流」 ロシアのウクライナ侵攻注なのにアメリカ議員団が台湾と会話し共産党との対立を示す「二正面」
ロシアがウクライナに侵攻しているときに、アメリカは何をしているのか。これは大きな疑問であり、多くの国々が「アメリカは何もしてくれない」というように思ってしまうようになり、アメリカへの期待感はかなり薄くなった。この事から、国連総会におけるロシアへの非難決議は140を超える国が、ロシアを非難していたのに、人権委員会からの除名ということになると90弱の国しかなくなったのです。50を超える国が棄権に回り、反対も増えたということになるので、それだけ時間がたてば、アメリカは何もしないから、ロシアの方が自分たちにとって味方になってくれるように思ってしまうのである。
ウクライナの将校が、2月の侵攻当初に言っていた言葉が印象的である。「これは民主主義陣営が、全体主義陣営に挑戦されている。現在NATOに参加していないから助けることができないということを言えば、当然に、NATOは守ってくれないという印象になってしまい、今後NATOや民主主義陣営に頼る国が無くなる。この件で、ウクライナに介入せず、ウクライナが惨敗した場合、当然に民主主義陣営を頼る国が無くなり、そのことからロシアや中国に頼る国が増えてしまい、総合的に民主主義陣営の敗北となるだろう」という言葉だ。非常に印象深い。
今回のウクライナ侵攻は、ウクライナだけの問題ではない。実際にロシアでは4月に入ってから「ウクライナ侵攻」とか「ドンバス地方の独立(または自衛)戦争」という言い方が無くなり、「第三次世界大戦」というような言い方になっている。ウクライナが敵ではなく、NATOやアメリカ、イギリスが敵であるというようなことをロシアは認識しており、中国などがその味方になっている。そして、国連の決議を見ればわかるように、徐々に多数派工作が行われることになってくるのではないか。
さて、この間にイギリスは特殊部隊をウクライナ国内に入れて、ウクライナを支援している。もちろん、NATOではなく「義勇軍」という形であるが、その形式によって戦線を維持しているということになるのではないか。しかし、アメリカは「湾岸戦争の時は日本に対してShow tha flag」といったにもかかわらず、今回は武器の供与のみで何もしていないのではないか。
米議員団が訪台し蔡英文総統と会談、中国側は台湾周辺の海空域で大規模軍事演習
米国上下院の超党派議員団6人が15日、台湾台北市内の総統府内で、蔡英文総統と会談した。中国は米議員などのの訪台を強く非難し続けていた。中国人民解放軍は同日、台湾周囲の海と空で駆逐艦や護衛艦、爆撃機、戦闘機を投入する軍事演習を実施した。
当初はペロシ下院議長の訪台が予定されていた。しかしペロシ議長は新型コロナウイルスの感染検査で陽性反応が出たために訪台を断念した。その影響で、ロバート・メネンデス上院外交委員会委員長をはじめとする米国上下院の超党派議員団6人が訪台した。到着した台湾・松山空港には台湾の呉●燮外相(●はかねへんに「?」)が足を運んで米議員一行を出迎えた。
蔡総統は総統府で、米国議員団に対して「あなた方は台湾の真の友だ。あなた方と共に両国関係の強化の努力をすることに、期待している」などと述べた。
会談終了後の記者会見では、「中国が台湾を攻撃したら、米国は台湾を助けるために派兵するか」との質問が出た。リンゼイ・グラム米上院議員は、「われわれが20世紀に得た教訓とは、善人が悪人に屈服すれば、悪人は付け上がるということだ。米国が台湾を放棄すれば、全世界に対する本質的な悪い変化が発生する。将来、誰が米国の同盟国になりたいと思うだろうか」などと回答した。
蔡総統は新型ロナウイルス感染者と濃厚接触したとして、前日14日まで隔離措置の対象となり自宅で過ごしていた。総統府の張敦涵報道官は14日、蔡総統は同日に実施した迅速抗原検査でもPCR検査でも陰性反応が出たとして、15日午前0時に隔離を解除されると発表していた。
中国はペロシ下院議長の訪台が予定されていた時期から、政府報道官が米国と台湾の政界関係者が接触することを批判していた。中国の呉謙国防部長(国防相)も15日、「米国は台湾独立を支持しないと約束する一方で、台湾独立の分裂勢力に重大な誤ったシグナルを送っている。甚だしい虚偽であり、信義のかけらもない」と米議員団の訪台を非難した。
中国人民解放軍東部戦区の報道官は15日、東シナ海と台湾周辺の海空域で駆逐艦や護衛艦、爆撃機、戦闘機を動員して海上突撃の演習を行ったと発表した。報道官は演習を行った理由について、「米国が台湾問題で誤ったシグナルを発し続けていることを受けて演習を組織した」と明言し、「米国の悪質な行為と手口は全くの徒労であり、非常に危険だ。火遊びをする者は必ず自らを焼き殺す。東部戦区の部隊は常に高度な警戒態勢を維持しており、国の主権と安全や地域の平和と安定を断固として守る」と述べた。(翻訳・編集/如月隼人)
2022年04月16日 17時30分 RecordChina
https://news.nifty.com/article/world/china/12181-1582155/
さてそのアメリカがやっているのが「台湾の保護」である。アメリカは当初から「ロシアがウクライナに侵攻した時は、中国がそれに呼応して台湾に侵攻する」ということを想定していた。実際にロシアにとっては「元旧ソ連で同胞の国に対する軍事進攻」ということでしかなく、戦争というよりは「旧ソ連国内における治安維持軍の派遣」くらいにしか思っていないということになろう。それに対して、中国の場合は、既に国際的にも「一つの中国」ということで認められている(ここはかなり微妙で、アメリカのトランプ政権などは、「一つの中国」を認めているのではなく「中国共産党が台湾を含めるための一つの中国という論理を使っているということを認識している」ということにとどまる)のであるから、台湾進攻をしたとしても、それは「同じ一つの中国における国家分離を目指す独立派に対する治安維持出動」でしかなく「内政問題」というように主張しているということになる。
さて、中国の要人と話をしたとき、ちょうど、中国がPM2.5や黄砂で北京に住めなくなるほどの空気の悪化で、なおかつ健康被害が出るのではないかといわれ、新鮮な「空気の缶詰」が売られて、話題になったころの話である。その頃に、「そんなに北京の空気が悪いのであれば、台北に首都を移してはいかがか。廻りが海で空気は良いが」と言ってみた。中国高官の顔は、みるみる困った顔になるので、追い打ちのように「一つの中国なんだろ」と念を押したら「あれは政治上の問題で実質とは異なるから無理だ」という。「では、何故無理なことを主張するのか」ということを言うと「それが政治なんだ」と返してきた。
いずれにせよ「一つの中国」と主張しながら一つの中国ではないということを最も強く思っているのが中国共産党の人々であることは明らかだ。
実質的に無理ならば独立すればよい。独立を認めればよいということになる。
さて、今回ロシアはウクライナ東部のドンバス地方の二つの共和国の独立を認め、その保護と自衛ということで軍隊を派遣している。もちろんそこでとどまれば、国際法上侵略とは認められなかったと思うが、それでキエフまで攻め込んでは、当然の国際法違反であり、当然にロシアはその責めを負うべきであろう。
ロシアの事は別にして、そのようなロシアを中国は支持している。つまり「独立を認めたうえで、その独立した国を保護するための軍の派遣は、問題がないという立場をとっている」ということになる。地理をウクライナから移して、台湾が独立を宣言し、アメリカがその独立を承認しそのうえでアメリカ軍が台湾に軍を派遣した場合、そのうえで他の地域に軍を派遣しなかった(キエフ侵攻のようにしなかった)場合は、当然に中国は同じことであるという評価になるのであるから、中国はそれを止められないということになる。
中国は、ロシアへの支援などを行えば、ロシアと同じ論理で、欧米各国が台湾に上陸し軍を派遣することを止められなくなるのである。
中国の呉謙国防部長(国防相)も15日、「米国は台湾独立を支持しないと約束する一方で、台湾独立の分裂勢力に重大な誤ったシグナルを送っている。甚だしい虚偽であり、信義のかけらもない」と米議員団の訪台を非難した。<上記より抜粋>
中国はこのように「アメリカが過去に約束した」ということを中心に論理を立てざるを得なくなっているということになる。逆に言えば、約束していない国、例えばイギリスやフランス、日本などは軍隊や自衛隊を台湾に上陸させて支援することを中国は否定できないということになるのである。
その意味で、アメリカは何となくロシアの事でお中国が逃げられない間に、手を打ってきている。このようにして、徐々に二つの陣営になるのではないか。ロシアの軍艦の沈没や民間人の虐殺、マリウポリという独立共和国に含まれない年の占領ということで、和平の道が遠くなっている。そのことから、徐々に様々な問題が生じてくるのではないか。