「Eine Weihnachtsgeschichte oder die drei fragen」Dusan Kallay
昨日に引き続き、本日もクリスマス絵本を更新しております!これで一旦クリスマス絵本の更新は最後になるかと思います。
まだまだ良い本たくさんありますので、是非ご覧ください。
さて、本日更新した中からこちらはドゥシャン・カーライの絵本「Eine Weihnachtsgeschichte oder die drei fragen」を。
自分はドイツ語が出来ないのですが、日本語に訳すと「クリスマスのお話または3つの質問」と言う題名だそうです。
お話はトルストイが原作を書いており、トルストイの「3つの質問」と言う掌編は読んだことのある方もいるかもしれません。
ある王さまが、自分のなすべき事の、もっとも重要な時期、人物、その事柄そのものについて知りたいと思い賢者に尋ね、ある事件からその答えを知ると言うお話です。
トルストイのキリスト教的な側面が強く表れているお話で、所謂「トルストイの民話集」と括られているものの中にはそうした作品が多いですね。
(話が少し変わりますが、第一回ノーベル文学賞当時(1901年)トルストイは存命で、受賞を確実視されていたようですが、一説ではこうしたトルストイの「非暴力/絶対的平和主義」的な側面が当時の欧州の政治的な流れとあわずに受賞を逃したそうです。昨日のノーベル平和賞の受賞式での、素晴らしい演説を見つつ、今尚そこに政治の愚行があることを悲しく思います)
さて話は戻ってこの絵本なのですが、トルストイのこのお話が原作なのは間違いがないとは思うのですが、絵を見てみるとどうも違う場面が多くあるようで、再話として違う作者のクレジットもあるので、このトルストイのお話をクリスマスに寄せたお話にして、絵本に仕上げたもののようですね。
原作にはない天使やマリア様、ベツレヘムの星と思われるものも描かれており、イエスの誕生物語とトルストイの3つの質問が組み合わさった物語になっているようです。(ドイツ語が出来る方に読んで頂き、お話を教えて欲しいです…)
そして、先日も少し触れましたが現代最高のイラストレーターの一人、このドゥシャン・カーライの絵が素晴らしいのです。
色彩の美しさは勿論のこと、この絵本では人物たちの少し斜め上から見下ろすような視点で描かれる絵が多いのですが(これは神か天使の視点を意識しているのかもしれません)その見下された世界は美しく丸く歪み、まるで月から地球を見下ろすような不思議な視点で、この物語を宇宙の音楽のもとへ押し上げています。
トルストイの有名なお話のひとつ「人はなんで生きるか」の最後では天使が賛美歌を唱え天に上っていきましたが、このお話では賛美歌の鳴り響く中、神の子が天からやって来ているように見えます。
クリスマスの夜に、こんな絵本を枕もとにおいて眠るのも、きっと素敵です。
是非オンラインストアの方でもご覧ください。