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キノムラヤドリムネボソアリ

2017.12.13 13:07

フタフシアリ亜科

ムネボソアリ属

日本には16種が知られており、岐阜県では8種確認されています。


キノムラヤドリムネボソアリ( Temnothorax kinomurai ):岐阜県内では岐阜市、関市、美濃加茂市で生息が確認されています。岐阜県外では愛知県と三重県で生息を確認しています。このアリには働きアリとオスアリが存在せず、女王アリがハヤシムネボソアリの巣に社会寄生します。また、女王アリには有翅と無翅の2タイプが出現し、無翅女王は歩いて、有翅女王は飛行により周囲に分散していきます。体長:2.5~3mm。


写真①:中央に羽化後間もない有翅の女王。キノムラヤドリムネボソアリは羽化後しばらく美しいオレンジ色だが、しだいに赤褐色に変化する。黒い個体はハヤシムネボソアリの働きアリ。岐阜市 VI.2016

写真②:左に羽化後間もない無翅の女王(職蟻型女王)。後腹柄節(矢印)がハヤシムネボソアリ(黒い個体)に比べ大きく頑丈。岐阜市 VI.2016

写真③:羽化直後の無翅の女王(職蟻型女王)。側方から見て腹柄節の前方(矢印)も分厚く頑丈。岐阜市 VI.2016

写真④:ハヤシムネボソアリの巣内で羽化した有翅の女王アリ。岐阜市 VI.2015

写真⑤-1:6月の終わりから7月にかけて新女王アリは自分が羽化した巣を飛び立ち、別のハヤシムネボソアリの巣に侵入を試みる。美濃加茂市VII.2013

写真⑤-2:侵入時、ハヤシムネボソアリの反応は様々で、頭部や触角に噛みついたり、ほとんど無関心など個体差がみられる。複数いるハヤシムネボソアリの女王アリは無反応。美濃加茂市 VII.2013

写真⑤-3:頭部に噛みつき排除しようとしている働きアリ。美濃加茂市 VII.2013

写真⑤-4:ハヤシムネボソアリの中には激しく抵抗し、巣外に運び出そうとする個体もいる。美濃加茂市 VII.2013

写真⑤-5:キノムラヤドリムネボソアリは激しく抵抗するハヤシムネボソアリに対し、最終的には毒針を相手の大顎間の柔らかい部分に突き刺す。刺された働きアリは数分後に痙攣し死に至る。その後、抵抗する個体がいなくなると、次に巣内にいるハヤシムネボソアリの女王を一頭ずつ殺して完全に巣を乗っ取る。美濃加茂市 VII.2013

写真⑥-1:職型女王も同様の方法で巣を乗っ取っていく。美濃加茂市 VII.2015

写真⑥-2:侵入の際には触角を激しく動かしてハヤシムネボソアリの抵抗を少しでも和らげようとする。美濃加茂市 VII.2013

写真⑥-3:職型女王は自分が羽化した巣から歩いて周囲のハヤシムネボソアリの巣を乗っ取っていく。そのためキノムラヤドリムネボソアリが寄生した巣はまとまって採集されることがある。美濃加茂市 VII.2013

写真⑦:乗っ取りに成功した脱翅女王。美濃加茂市 6.IX.2016

写真⑧:乗っ取りに成功した職型女王。巣の乗っ取りに成功したキノムラヤドリムネボソアリはハヤシムネボソアリの卵や幼虫などを食べながら産卵をします。産まれた卵は未授精のまま発生し、越冬した幼虫から次の世代(オスアリではなくメス)が発生してきます。美濃加茂市 16.III.2016

写真⑨:初夏に幼虫は脱糞し蛹の前段階である前蛹になる。美濃加茂市 V.2016

写真⑩:蛹化(職型女王)直後。美濃加茂市 V.2016

写真⑪:複眼や単眼などが色づく。美濃加茂市 VI.2016

写真⑫:体全体が色づき羽化が近い。美濃加茂市 VI.2016

写真⑬:6月中下旬に一斉に羽化が始まる。中央左の女王アリ(矢印)が前年寄生に成功した女王。美濃加茂市 VI.2016

写真⑭:ハヤシムネボソアリの助けを借りて新女王が誕生。その後、新たなハヤシムネボソアリの巣を求めて旅立つ。美濃加茂市 VI.2016