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IBUSUKI SAYURI

【特別視察】ウドの伝統栽培の観察と収穫体験を

2022.04.19 08:35

こんにちは、レシピ制作専門スタジオ、菜々食クッキングクラス事務局でございます。

桜は花吹雪から葉桜となり、あたたかくて過ごしやすい季節になりました。

さて、先日はウドの伝統栽培の視察を収穫に参加しました。

兵庫県三田市の特産品として知られている「ウド」。

皆さんは「ウド」をご存知でしょうか?

ウドは、数少ないわが国原産の野菜の一つで、古代から自生のものが利用されてきました。ウコギ科タラノキ属の多年草で、シャキシャキとした食感が特徴です。

ウドは漢字で「独活」と書きますが、これはウドの様子が、風が吹いて動いていないにも関わらず、ウドがまるで動くように見えることが由来だと言われています。

春の香りと苦味を楽しめる山菜なので、ウドの収穫期には贈答用などでも親しまれています。一見するとどのように食するのかわからないという方もいるかもしれませんが、若葉は天ぷらにしたり、さっとソテーしたり、それだけでも美味しいです。

茎は厚めに皮をむけば生食もできるので、和え物や酢の物はもちろん、醤油漬けや煮物にすることができます。むいた皮も食べることが出来るので、きんぴらにすれば、立派なおかずになります。収穫から時間が経ったもの、スーパーなどで購入する場合、皮を剥いて酢水につけてあく抜きをしてから調理に使います。

そんなウドは、100年近い栽培の歴史があり、かつて三田市でもいくつもの農家が各所で栽培し、木材とわらで建てた小屋を保有していました。「藁葺のうど小屋」と言えば、三田市の冬の風物詩とも言われていたほどです。

近年ではビニールハウス栽培が主流となり、木材と藁で栽培する伝統的な方法がなくなりつつあります。東京では太陽に当てずに育てた白い軟白ウド(東京ウド)のことを思い浮かべる方もいるかもしれません。


そんなウドの伝統的な育て方を広く知ってもらうため、県立有馬富士公園で始まったのが、わら小屋を建ててウドを栽培するというプロジェクト。発起人は県立人と自然の博物館の福本研究員。三田市で小屋での栽培を続ける前中夫妻協力の元、公園での栽培が始まりました。

ビニール栽培とは違い、小屋はイチから手作り。竹や藁、木材と言ったエコロジカルな素材で巧みに組み立てます。

小屋の中には、芽が付いた株を敷き詰め、上から土をかけてわらをかぶせ、最後に水をかけておきます。わらの下で熱がこもり、10~15度ほどにまで温度が上昇することで、柔らかい茎に育つと言われています。

ウドは気温が25度以上、もしくは15度以下の環境になると生育が良くないと言われています。耐乾性にも弱いため、乾燥しすぎる環境も好ましくないのです。複雑な条件下を要する山菜ではありますが、この条件を長年の経験により、伝統的な栽培方法が確立されたのだと思います。

数か月前、ここまで大きく成長するとは想像もできないほど、収穫時期には大きく育っていました。収穫体験では、何本ものウドを丁寧に収穫しました。

収穫の実感として、刃物の入れ方が非常に難しかったです。熟練の作業者は収穫後の長期保存も考え、どうすれば、収穫後も鮮度を長く保つことができるのかどうか、その先も見据えて刃物を入れます。

切断面によって鮮度に差が出るため、1本1本、丁寧かつ迅速に収穫していきます。スーパーマーケットなどに並んでいる食材とは違い、実際に収穫することで、収穫の処理によって鮮度がどのように保持されていくのかどうか、その鮮度は収穫後からどのようなスピードで変化していくのかを知ることができました。

収穫後は小屋を解体するのですが、これも人の手で。立派に組み立てた小屋を解体するのは勿体ないような気もしますが、熟練者たちは慣れた手つきで解体していきます。解体と言っても、重機を使ったり、藪から棒に破壊したりすることはありません。骨組みの構築を理解しておく必要があり、屋根から骨組みに至るまで、決められた順序で、一気に崩壊しないように解体を進めていきます。

子どもと大人が手を合わせ、組み立てたものをゼロに戻していきます。無から有へ、有から無へと。収穫体験も大切ですが、やはり、自分たちの食している食材が、どのようなプロセスを経て栽培されているのか、1つの食材が口元に届くまでに、どのような人たちが関わっているのか。インスタント食品、冷凍食品、半調理品、時短や簡単、近年の食スタイルとは一線を画すものというのは、こうした機会を設けなければ、なかなか体験しにくい時代なのかもしれません。

収穫が終わり、小屋も解体し、収穫体験も終わりを迎えていました。すでに午前中から午後まで時間をかけて収穫をしたので、そろそろ終焉かと思いきや、終わりではありませんでした。収穫後の株は、次の栽培に活用するため、廃棄しないで利活用します。再生栽培というのがありますが、ウドの株も収穫してから土に埋めることで、来期の収穫へとつながるのです。畑を備中鍬(びっちゅうぐわ)で耕し、等間隔で収穫後の株を埋めておきます。

収穫と株を植える作業を終え、ウドの実食に移りました。

実食だけではなく、レシピ制作専門スタジオでは、どのような料理に活用できるかどうか、研究が始まりました。

ウドを保存する際、陽にあたらないように新聞紙などで包んでおきます。冷暗所で保存すると鮮度を保つことができますが、なるべく早く食べた方が美味しくいただけます。収穫後、鮮度抜群のウドを生食しましたが、シャキシャキとした食感と独特の香りは、まるで春の訪れを告げる桜のように、花吹雪から葉桜へと変わっていくように、鼻を抜ける爽やかな香りと苦味が、何とも言えない美味しさでありました。


収穫したウドを使い、「うどとオアサのナムル」、「うどとエッグの粒マスタードサラダ」、「うどと大葉のバターソース」、「うどの醤油漬け」、「うどの肉巻き」、「うどの皮と春野菜のかき揚げ」、「うどの皮と春野菜のかき揚げうどん」などを作りました。

◆参照記事「100年超の歴史、特産品の「ウド」わら小屋使う伝統農法で栽培 三田・有馬富士公園でプロジェクト」

◆参照記事「ウド小屋の風景残そう 伝統農法のウド収穫 三田」

-----------------------▼記事に登場する先生方やスタジオのご紹介▼-----------------------

◆レシピ制作専門スタジオ/菜々食クッキングクラスについて

2002年より神戸の新しいお料理教室として、オーガニックの要素を取り入れオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案。レシピ制作専門スタジオでは、企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、料理動画コンテンツ、飲食店のメニュー開発などを提供中。

◆指宿さゆり先生のプロフィール

神戸出身。アメリカなどでパーティ料理やオーガニックを学び、2002年に「菜々食CookingClass」を主宰。神戸スタイルの新しいお料理教室として、オーガニックやマクロビオティック、ヴィーガンの要素を取り入れオリジナルの料理やパーティ・おもてなし料理を提案。これまでに多くの卒業生を輩出し、卒業生による料理教室は神奈川県、京都府、鳥取県、長崎県など、東日本から西日本まで、幅広いエリアで開業。カフェ店舗開業では兵庫県明石市・西脇市で開業し、教室で学んだレシピがメニューに。レシピ制作専門スタジオでは料理研究家代表として企業向けのオリジナルレシピ開発、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、飲食店のメニュー開発などに従事。また、大の蕎麦好き、スパイス通でもあり、蕎麦やスパイス料理をテーマとしたグループも運営している。

◆ヴィーガン料理の実績

2002年より20年近い経験、各ジャンルの料理をベースにしたヴィーガン料理を提供。

これまでに和食、洋食、中華、イタリアン、フレンチ、エスニック、地中海とジャンルを横断した1200品をこえるヴィーガン料理を制作、監修、料理撮影の実績有。

◆指宿シンイチロウ先生のプロフィール

兵庫県出身。ネットベンチャー、広告会社でクリエイティブディレクター・コピーライターとして経験を積み、フリーランス活動を開始。フリーのWEBクリエイターとして、WEBライティングを中心に所属メンバーと協働し、コピーライティングやフォトグラファー、映像制作、飲食店プロデュース、研修講師として活動。グルメや食ジャンルを中心にファッションや音楽、アートやエンタメ、企業経営やマーケティングなど幅広いジャンルのメディアサイトに記事を執筆。レシピ制作や料理動画を制作するスタジオを主宰し、ウェブサイトや販促用のレシピ動画の撮影や編集も手掛け、グルメ雑誌や飲食店のメニュー開発にも従事。WEBライティングや働き方に関する知見を活かし、就職支援の講座、クラウドソーシングを通した働き方セミナーにもパネラーとして登壇。コープ委員会、コープこうべ第四地区総代、コープサークル「パンダ三田」など、地域や子供に関する活動も。

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