#artist | KAWAMURA TAKAHIKO / 川村貴彦
FreeStrainでは"TODAY edition"のデザイナーでお馴染みの川村貴彦氏。
今回はアーティスト「川村貴彦」氏を過去の個展と作品と共にご紹介します。
川村貴彦 / KAWAMURA TAKAHIKO
1970年新潟生まれ。
ペインティングを主とした表現活動を行う他、これまでに、NEPENTHES (ネペンテス)、NUMBER (N)INE (ナンバーナイン) などのブランドへグラフィックを提供し、その作品はファッションの分野からも高い注目を集めている。彼の作品のモチーフとなっているのは、自身がリスペクトしているアーティストや時代の象徴ともいえる歴史的な人物など。
直線と円による曲線というシンプルな構成で的確に特徴を捉え、そのすべてが無表情というのが特徴。
観る者の感情によって表情が変わっていくような不思議な作品。
ファッションと現代アートの関係性は以前からあるのだが、どちらかというとファッション側が依頼して、すでに大物となったアーティストにブランドと作品イメージのコラボを図る場合が多い。
しかし、川村貴彦は当初からブランドに対して能動的に作品を提供してきた点で大きく異なる。
ファッションの流れに取り込まれることなく、アートとしての独自性を発揮していける感性はこれからの日本のアート界にひとつの流れとして始まる可能性がある。
22,NOV (2005.11) | at Cystem Gallery
”22,NOV" は、川村氏自身が強く惹かれ、また強く影響を受けている「1960年代」のアメリカをモチーフに絵画にて展開。
何故、「1960年代」のアメリカなのか?それは、実際の現場を体験した事はなくとも、本や映像などから感じる限り、2005年の現代同様「争い」、「満たされた物質」などが入り混じり混沌としていたように思う。
ただ、同じように混沌としているながらも、そこには「希望」の入り込む余白のようなものが存在し、その希望を得る為に戦っていたように感じる。ここに強く惹かれるからこそである。勿論、この年代の音楽やアート、またファッションなどの文化にも大きな魅力を感じるが、これらの文化も希望を得る為に強く戦っていたからこそ強く光り輝いたように思う.....
各々の作品は、作家の意思のもと「円と直線」、「白と黒」、「無表情」などを条件として現されています。
Text by Cystem Gallery
「246360」(2014.3) | at gallery 360°
直線と曲線によって描かれたアーティストたちのポートレート。
川村がライフワークとして取り組んでいるポートレートのシリーズ。
今展では、ギャラリーに縁のアーティストたちが選ばれています。
A W 2014 (2014.9) | at gallery 360°
アンディ・ウォーホルをテーマにした「A W 2014」
キャンバスやネオン、立体の作品を展示。
TODAY (2015.7) | at gallery 360°
アクリルの立方体とポストカードによる個展、「TODAY」シリーズ。
「今日を記録する為ではなく、今日を映す為の255x330x40mmの立方体。」
「今日を映すハガキと、今日を相対的に見る為の昨日のハガキ。」
川村 貴彦
Hello Goodbye (2016.7) | at NEPENTHES NEW YORK
NEPENTHES New Yorkでの展覧会では、円と直線のみで制作されたポートレート作品を中心に展示。
「この円と直線でできたポートレートの始まりは14年前。滞在先の知人のアパートの壁に、ビニールテープを用いて描いた線描からだ。当時抱いていた挫折感と、初めて訪れたNYでの興奮の間で夢中で描いた。自身の表現とは何か?と、より深く模索する契機となった。そして、現在も試行錯誤は続くものの、このようなポートレイトという形となり、自身の個展として披露させていただくことになった。また、新たなる始まりの地、NY、どうもありがとう。」
川村 貴彦
TEARS! (2017.3) | at gallery 360°
「TEARS!」の展示は、描かれた作品をそのまま見せるのではなく、覆うことや、切り抜くことや、積み重ねることや、アッサンブラージュによって新たな表現の可能性を探るインスタレーション。
「さよならだけが人生だ。」
「制作中リフレインした悲しくも力強い言葉。今回のタイトルは、その言葉を自分なりにパラフレーズしてみた。」
川村貴彦
Hello Good-bye Reprise (2017.9) | at gallery 360°
2016年7月、NEPENTHES NEW YORKで行われた展覧会「HELLO GOODBYE」での展示作品と新たな作品を加え、再構成したインスタレーション。
オリンピース (2016)
2020年の東京オリンピック/パラリンピックの開催が決定した時に制作されました。
平和の祭典であるオリンピックと平和のピースの文字を合体させ、エドワード・ルシャの絵画を彷彿とさせる背景にはためくオリンピースの旗。
川村の願いが込められた作品。
川村貴彦氏の作品を最初に拝見したのは個展「NOV.22」
まず眼に飛び込んできた、大きなキャンバスに描かれたジョンレノンとオノヨーコのポートレイトに魅了された。
そしてビートニクス達のポートレイトに心を失った。
この心を失うとは、息を飲むとか我を失うという感動。
私は普段、絵画など個展を観た際には眼が広がる大袈裟にいえば世界観が広がるワクワクする感動がある。
円と線で描かれたポートレイトは「無表情」とあるが、斜めから見たり座って見たり離れて見たりするとなんだか表情が変わるように私には見えた。
キュレーターの方は展示する際に照明にこだわったという話をされた。
光の明るさはもちろん光の広がりや距離まで色々試したらしい。
多くの展示でもそうするのだろうけどもこの個展で話されたということは最もこだわったのかなと私は感じた。
このキュレーターの方は川村氏の才能にヤキモチを焼いたとも言っていた。
その後、NEPENTHESやNuggeteeなどのTシャツのグラフィックで再び眼にした。
そのアイディアというかセンスに感心した。これもまた違う感動の一種。
あの時のキュレーターのヤキモチが分かった気がした。
これからも色々な「感動」を与えてくれるだろう画家 川村貴彦氏。楽しみです。
Working Class Heroes
TODAY edition のデザイナーという川村貴彦氏のもう一つの顔
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