漢字の書きをおぼえるには 1
先にご紹介した音訓ソングでは、漢字の読み方は覚えられますが、書き方は暗記できません。
子ども達を見ていると、読み方は文脈などから想像して思い出せたり、少し考えて割と気付いたりできても、書き方は、あと一歩のところで思い出せないケースも多く、「なんとなくこんな形だったような気がするけど...」「ここはぐちゃぐちゃとしていっぱいあったからわからない」という発言が出ます。
一年生は、画数が少ない漢字が多いので、一字ずつを覚えることもそう難しいわけではなく、悩むことも少ないのですが、だんだんと画数の多い字が増え、漢字やカタカナの一部分を組み合わせた形の漢字が増えてきます。
漠然と新出漢字を覚えているだけでは、だんだん手に負えなくなってくる頃です。
漢字を覚える要領の良い子どもは自然にやっていることが多いと思うのですが、漢字の書き方を何かに意味づけて覚えると、思い出す時に役に立ちます。
例えば、「親」という漢字は、「立」「木」「見」という漢字が組み合わさっているので、
「立つ木見る親」か「立って木を見る親」と呪文のように覚えれば、思い出しやすくなります。
頭を空っぽにして意味もわからず何回も同じ漢字を書くよりは、効果的ではないかと感じています。
下の2点の教材は、書き順を唱えて覚えることを提唱しているタイプのものです。
まず、下村式は有名ですので、ご存じの方も多いでしょう。
この漢字練習ノート1年生は、マス目が大きく一年生でも書きやすい点もおすすめです。
最初のうちは、漢字を小さく書くよりも大きくはっきりと形を意識して書く方が良いと感じていますので、市販の書き込み式の漢字練習ドリルの中では使いやすいサイズのマス目です。
ただ、国語教科書の新出順になっていませんので、教科書のとおりに学習する場合は、ページが前後して少々使い勝手は悪いです。1年生なら、親が漢字のページを探して目印をつけておくなどの準備が必要です。
ドラえもんの国語おもしろ攻略は、書き込み式教材ではなく、ほぼ漢字辞典ですが、漢字の書き順を歌って覚えられるように語呂の良い文章が書いてあります。国語教科書や漢字ドリルと一緒に、これを見ながら唱えて書いて覚えるようにします。
どのような方法にせよ、漢字は覚えるものと自覚して、唱える歌うなどして、次に思い出せるきっかけを同時に使いながら練習することは大切です。
子どもの性格によっては、声に出さなくても黙って心の中で書き方を復唱するのでもよいです。
今日の漢字を書けば終わり、マス目を埋めれば終わりというような、単なる手を動かすだけの作業にしないことをまず心がけてみてください。
覚えられるのであれば、何十回と書く必要はないのです。
漢字練習は写経ではありませんので、見て書くだけでは習得したことになりません。
容易に思い出すことができ、文脈にあった漢字を適切に書き分けられるようになるための練習です。
そのためには、思い出せるようになる手段をいくつか試し、その子に合った方法を見つけることが大切です。
一度で簡単に漢字を覚えられる子どもはなかなかいませんし、そういう方法もありません。
子どもが漢字練習に無力感を感じないことを第一に考え、挫けずに続けられる練習方法をできるだけ早いうちに見つけて、少しずつでもコツコツ勉強する習慣をつけておくと、3年生、4年生以降の漢字習得はぐっと楽になります。