おうちで耳掃除をしてみよう
愛犬の耳が汚れやすい、臭いが気になるなど、耳のお手入れに悩んでいる飼い主さんは大勢いらっしゃると思います。
お家で上手に耳の掃除をしてあげれば、今まで気になっていた汚れや臭いも解消でき、愛犬も快適に生活が送れるようになります。
今回は、愛犬の耳掃除の仕方や、放っておくと怖い耳の病気についてお話します。
耳の汚れやすい犬種は?
長毛で耳の垂れ下がった犬種は、耳が汚れやすいといえます。耳が垂れ下がっていることで通気性が悪くなり、耳の中で湿気がたまり蒸れてしまったり、細菌が繁殖しやすい状態になってしまうためです。
また、長毛種は耳の中にも毛が密生して生えているため、さらに蒸れやすいといえます。
犬種でいえば、シー・ズーやアメリカン(イングリッシュ)・コッカー・スパニエル、キャバリア、ゴールデン・レトリーバー、プードルなどがあげられます。
犬の耳の構造
犬の耳は、外耳・外耳道・鼓膜・中耳・内耳に分けることができます。
人間の構造とは少し違うのは、外耳道です。人間の外耳道は水平にまっすぐ鼓膜に向かっており、耳の中へ光を当てると、鼓膜まで見ることができます。一方、犬の外耳道はL字型に曲がっています。そのため、中を覗き込んでみてもL字に曲がるまでの部分、垂直耳道までしか確認できず、その奥を確認することはできません。
イヤー・クリーナーを使ったお手入れ方法
トリミングサロンや病院でも耳掃除をしてくれますが、おうちでも耳掃除をすることができます。イヤー・クリーナー(耳洗浄液)を使った耳掃除の仕方を紹介します。
1. まず犬の耳の中に犬用のイヤー・クリーナーを適量注入します。
2. 次に耳の付け根を親指と人差し指で軽く挟み、クチュクチュとマッサージするように液を馴染ませます。
3. 2~3分経ったらそっと手を離し、犬にブルブルと首を振らせましょう。
(手を離してもブルブルとしない場合は、犬の耳に軽く息を吹きかけてあげると首を振りやすくなります)
4. 耳の汚れが中から出てくるので、液と一緒に汚れをやわらかいコットンで拭き取ります。
汚れの頻度に応じて、定期的に耳掃除してあげると効果的です。
注意点は、洗浄液の使用後に耳が赤くなることがあれば使用を避けることと、最後に汚れをふき取るときに、洗浄液が残ってないかチェックすることです。イヤー・クリーナー(洗浄液)は、さまざまな種類のものが市販されていますが、動物病院で買い求めたほうが使用方法も教えてもらえるのでお勧めです。
また、耳掃除に綿棒を使うことはやめましょう。
犬の耳はとてもデリケートで、綿棒では硬すぎるために耳の粘膜を傷つけてしまい、かえって外耳道炎を引き起こしてしまう可能性があるためです。また、綿棒で汚れをかえって奥に押し込んでしまうことがあります。
お手入れの頻度は?
お耳のお手入れは、健康な子であれば週に1回程度で十分です。犬の耳は、本来奥に溜まった汚れは自然にはがれて、犬が頭を振ると外に出る仕組みになっています。
毎日ゴシゴシこすっていたら外耳炎の引き金になるため、過剰な耳掃除は逆効果です。
ただし、耳の汚れやすい垂れ耳の犬は、週に2回は定期的に掃除してあげるとよいでしょう。
お利口に耳掃除する方法は?
耳は敏感な部分なため、耳掃除を嫌がる犬はたくさんいますが、耳掃除をせずに耳垢が溜まったままになってしまうと、外耳炎などの病気になってしまいます。
小さいときから習慣付けるとよいですが、大人になってからでも根気強く続けることで習慣づけることができます。まずは体にさわることに慣れさせ、焦らず、ゆっくり時間をかけることが大切です。
また、耳掃除が終わった後は思い切り褒めてあげることで、耳掃除後には嬉しいことが待っているんだ、と思わせるような工夫もしてあげましょう。
耳にはどんな病気がある?
耳の病気でもっとも多いのは、外耳炎です。外耳炎は犬の病気の中でもトップクラスに多い病気といわれ、飼い主さんがもっとも目にしやすい病気の1つといえます。
垂れ耳の犬種や、アレルギー体質の子がかかりやすいといわれています。
外耳炎の症状は、ひどいかゆみと臭いの発生(異臭・悪臭)が特徴です。初期症状としてはしきりに耳を掻いたり、頭を振ったり床にこすりつけたりします。ひどくなってしまうと、掻きすぎにより痛みを伴うようになり、耳をさわられるのを嫌がったり、耳垢(じこう)が変質して悪臭が発生します。この状態が続いてしまうと、皮膚が外耳道を塞いでしまうほど腫れてしまうこともあります。
また、慢性化することが多いため、場合によっては手術になることもあります。
原因は、細菌感染や耳ダニ、アレルギー、またはシャンプー後の乾かし残しなどが考えられます。もし耳ダニが原因だった場合は、一緒に飼っているすべての犬や猫に感染してしまう可能性がありますので、注意しましょう。
一番の治療方法はやはり耳掃除です。このような状態になるのを防ぐには、飼い主さんの日頃のケアが大切になってきます。
細菌や耳ダニが原因と考えられる場合は、抗生物質など投薬が必要になるため、動物病院へ行きましょう。
健康な耳かどうかチェックしてみよう
【耳垢】
耳垢がドロッとしていたり、ベトべトしたものが大量に付いていたり、耳垢に膿や血が混じっていないかを確認します。
【耳の内側】
耳の内側を観察し、耳の穴やまわりが汚れていないか、赤くなっていないか、かさぶたができていないかなどをチェックします。また、耳の穴の周囲が腫れて穴が狭くなってしまっている場合は注意が必要です。
【匂い】
犬の耳に鼻を近づけて、嫌な匂いがしないか確認します。
【痛みなど】
犬の様子を全体的に見ます。耳をさわると痛がったり嫌がったり、耳を痒がっていないか、首を傾けていないかなどをチェックします。
【聞こえ方】
耳の外見はまったく問題なさそうに見える場合でも、名前を呼んでも気が付かない・反応が鈍いなど、音が聞こえていないような感じがしたら、動物病院へ行きましょう。
まとめ
耳を含め、飼い主さんが愛犬の健康チェックしてあげることはとても大切なことです。日頃からの積み重ねで定期的に耳掃除をしていると、病気を予防できるとともに、早期発見・治療につながります。
愛犬との良いコミュニケーションにもなるので、ぜひ定期的な耳掃除を習慣にしてみてくださいね。