『聖夜前夜②』(続•臣隆妄想劇場83)ショートバージョン
2017.11.14 19:00
隆二は元々朝に弱い方で、特に冬はなかなか布団から出れなくて、以前は遅刻することもあった。
臣と同居するようになってからは、朝もあまり苦労せず、起きれるようになった。
(面倒見なきゃっていう使命感?いや…愛の力か?)
臣は以前から仕事がある日はきっちり目が覚め、時間通りに家を出るタイプなので、あまり手を焼かない。
だが、朝はあまり機嫌が良くない。
元々寡黙なのかもしれない。
ベラベラ喋る男よりかは、こっちの方がいいと隆二は思っている。
隆二(今朝は?)
「さみ…」と言って、スウェットの上にメンプロのガウンを羽織り、ダイニングへやってきた。
顔を洗って髭も剃って、つるんとした茹で玉子のような肌をしている。
隆二の横に座り、「ん」と口を突き出す。
「遅よう」
隆二が軽くキスをする。
「遅いか?」
「遅いね、俺のタイミングが悪かった」
そう言いながら、隆二は臣の顎下をジッと見る。
「ん?なんかついてる?」
臣の顎下から出てる一本の髭を軽く引っ張り、
「剃り残しみっけ」
「うそ?また?」
「臣、常習犯だもんね」
「ちゃんとチェックしたのに…」
臣は髭を剃り残し、インスタでファンに指摘されることもしばしば。
隆二も臣のファンも、そんな臣が愛しくて仕方ない。
「抜いたろか?」
「やめて。抜いた後で俺がシューって萎んだらどーすんだよ?」
「…あ?どっかで聞いたセリフ…」
二人は朝食を済ませ、マスクとサングラスをして、帽子を被り、しっかり着込んだ。
変装と、防寒対策は万全だ。
「臣、ルンバは?」
「ん、オケ」
外出中に臣がONにしたルンバが、各部屋の掃除をしてくれる。
二人は久しぶりに電車を使って渋谷に向かうことにした。
続く