ロマン派の時代26-男は楽器女はピアノ
2022.04.23 11:36
19世紀前半はまさに音楽ブームであり、1842年に王立宮廷歌劇場のオーケストラとしてウィーンフィルハーモニーが誕生する。それよりも前の1828年にパリ音楽院管弦楽団が出来ていた。新興ブルジョア達は、音楽を趣味とし、ピアノを買って娘に習わせた、これは高度成長期の日本、そして今日の中国も同じである。
面白いことに、女性はピアノや歌を習い、小さなサロンコンサートの主役となったが、楽器を買ったのは男性だった。当時は職業音楽家も足らず、アマチュアの楽器演奏者がオーケストラに入っていた。そしてコンサートとなると、一族郎党を呼び寄せたのだ、これも今日でも行われている。
音楽家は今でも「根無し草」と言われる。しかし都市に楽団ができるともはや定職、定住者となる。そのための手段が定期演奏会であり、それを中心に、オーケストラを運営するための組織ができていく、これが新しい街の有力者の社会的ステイタスとなっていくわけだ。
18世紀は、演奏会とは主に作曲家の新作発表会だった。ところが定期演奏会ができると、過去の「古典」を演奏していくことになる。こうして「クラシック音楽」という名前が生まれ、古典作曲家は、どんどん持ち上げられ、その演奏を聴くこと自体がステイタスになっていくわけだ。