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オムツと涙とハーバード

必然的「ワンオペ」、M字カーブの罠と「働き方改革」。

2017.12.15 12:52

旦那は子供好きである。


人は、子供と自然に一緒に遊べるタイプの人と、可愛いと思ってもどう接したものやら、、と戸惑うタイプの人に分かれると思う。

(きっと育った環境や甥っ子姪っ子経験などにもよるのだろう。。)


自分の子供ができて、かろうじてボソボソ自分の子供に話しかけられるようになってきた私は、どちらかというと後者のタイプであるが、

主人は、私が出会ったときから前者のタイプだ。


積極的かつボーダレスに子供達と遊ぶ。


そんな旦那は家にいるとき、惜しみなく我が子と触れ合い、オムツを替え、

出かけるときは自分が抱っこ紐をつけたがる。

なんと申し分のない、そして有難い子煩悩ぶりだろう!


それでも、我が家は基本的に所謂「ワンオペ」である。


なぜか。


それは、単純に旦那の仕事が忙しいからだ。


平日は仕事と飲み会でまず夜中まで帰ってくることは無い。

週末も仕事から離れることはあまり無い。


自分も子供ができるまでは全く同じような生活をしていたので、

旦那の仕事や生活パタンが非常に理解できるし、共感できる。


働き盛りの中堅社員世代。

ここぞというプロジェクトで、自分のできる限りの力を投入して、やりきる。

適法であって体力・精神力が許す限りにおいて、最良のパフォーマンスを出すために、

仕事にコミットして持てる時間を全力投球したいと思うのは当然だ。

(尚、ワークライフバランスを否定する意図ではない。)


問題は、このモデルの「持てる時間」の前提が、

多くの場合、独り暮らしである、乃至、専業主婦が家のことをやってくれる、

もっといえば、誰かが子供の面倒を見てくれているから実現できるものだということだ。


わが家の場合も、必然的にワンオペとなった。


ということは、今後私が復帰して働くためには、

どちらか、乃至、両方が今までの働き方を変えるしかない。


両方が働き方を変えるには、

冷静に考えて、精神面・物理面で乗り越えるハードルが非常に大きい

と、今更ながらに実感する。


な、なるほど、こ、これがM字カーブの罠・・・


***


まず、精神面。


共働きにおける精神課題では、


① 旦那が所謂「イクメン」に変身しなくてはならない

② 上司や同僚・周囲のパパママ等、周りが働きやすい環境を作らなければならない


が容易に思い浮かぶわけだが、


実は、M字カーブの罠における精神面のゼロ地点は、

「旦那にイクメンに変身してもらうことをためらってしまう嫁の精神面の克服」

がまずあるのではないだろうか。


子供は大好きだけど、仕事を頑張っているから帰りが遅い旦那に、

育児のために、例えば仕事を7割に効率化してもらう・・・

なんと、私にとはっては、これがとても心苦しいことのように感じるのだ。


本来、子育ては、母親だけでなくて両親二人で取り組むものであって、

自分の復帰を機に彼に育児のため生活スタイルを変えてもらうことは、

冷静に考えれば「イーブン」のはずなのだ。


なんてったって、自分は既に子供のために、

妊娠・出産・育児・・と生活スタイルを180度変えているのだ。


しかし、「旦那に生活を変えてもらうことへの申し訳なさ」は容赦ない。

多分この精神構造は:

 ① 「母親なのに」子供に一番の時間を使わないことに罪悪感。

   所謂、クラッシックな「三歳児神話」シンドローム。。

 ② 既に自分が休んでいて、現在100%育児につぎ込んでいる、

   というスタート時点のデマケ。

に起因していると思う。


子供ができるまで旦那と全く同じ給与体系の中で全く同じように働いていたとしても、

私が産休・育休で仕事を休んでいる限りにおいて

旦那は仕事のスタイルを基本的に変える必要もないし、実際、粗変わっていない。

(できる限り赤ちゃんと触れ合いたいという「早く帰りたいドライバー」は一つ増えているかもしれないが。)


自分はすでに変えているのに、相手が変わることを申し訳なく感じるなんて・・・なんて都合がよいんだ!!!


でも、女性であって、そして、今、既に物理的に休んでいる私にとっては、

「彼に生活を変えてもらう」のが、大きな負担を強いているように感じてしまう。


シェリルのLean Inに出てきそうなマイナス思考だが、

それが精神面の最初に乗り越えるべきハードルだと知った。


****



そして、物理面。


こちらは言わずもがな。

保育園とかプリミティブな条件が整うことは当然なのだが、


M字カーブを削減して持続可能な共働きを実現するためには、

残業時間の上限、とか、形式的な制度の充実よりも、

あらゆる生活パタンで対応可能な「柔軟性の高い働き方」を

目指す必要があるように思う。


一口に復帰といっても、


◎ 旦那が専業主夫で奥さんがフル、

◎ 両方キャリアで同等負担、

◎ 母親が軽めに働いて、子供のプライマリーケアギバーになる、

◎ 小さい間は奥さんが専業主婦で手が離れてから復帰、、、と


夫婦の考え方で色々な形がありえるし、

色々な形があってしかるべきだと思う。


例えば、時短にしてもテレワークにしても、

全社適用の統一ルールありきでは、様々なスタイルに適用できない。

ある人はガンガン残業も出張も厭わず120%働くかもしれないし、

ある人は家庭を優先するかもしれない。


それは置かれた環境やその人の選択によるものであって、

「あの人ができるんだから」とどこかにスタンダードな線を引くのではなく、

自分のコミット度合いを予め人事や上長と交渉・合意した上で、

それを前提とした「パフォーマンス」のみを最終指標として

自由度を持って時間やツールを使える形が理想だ。


カナダで働いていた時、

家庭を持ちながら弁護士・投資実務に従事していた同僚のバリバリのキャリア女性達が沢山いた。彼女らの話を聞いて、「いいなー」と思った働き方は:


① 基本的に夜は18:00-21:00くらいまで家族の時間として早めに退社。

  子供の送り迎えや食事・寝かしつけをして、

  21:00以降に自宅でメールやテレコンで仕事をする。

  (よくテレコン中に犬の鳴き声とか聞こえたもんです。。。)

② オフィスの飲み会は殆どなく、クライアント等の会食は殆どランチか朝食。

  年末のディナーなど会社のオフィシャルイベントは夫婦同伴。

③ 週末の仕事ゴルフはしない。

  (噂によると週末に仕事ゴルフをしていると離婚訴訟で負けるらしい。。)

④ 帰れないとき、夫婦の時間を作る時、、、

  あらゆる理由でベビーシッターを依頼することに罪悪感を持たない。


お昼にチャイムが鳴ったり、一定の時間に強制消灯したり、という

学校型・共同生活型の日本企業スタイルをもう少し変えないと

人々の選択に寄り添った柔軟性のある働き方は実現できないように感じる。


人づくり革命と生産性革命の陰に隠れて

「働き方改革」という言葉は若干影を潜めつつあるが、

形式にこだわらない、パフォーマンス起点の働き方こそが生産性に直結するものだと思う。


***


働くも働かないも、子供の育て方にしても、

人それぞれであってしかるべきで、

その選択はあらゆる理想や環境や状況を加味して、

当事者の夫婦が納得していれば良いことだ。


果たしてわが家は、、、と抱っこをしながら社会復帰のイメトレをするのでした。


とにかく、わかったことは、


「当然働くよね」と思っていた自分が、実際に子育てを開始して、

M字カーブの罠を実感しつつ、子供がいて働くってこんなに大変なことなのね!!という実感を持てたので、


既に復帰している先輩ママ・一緒に頑張っているパパ達に敬意を表す、、、

という話なのでした。