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砕け散ったプライドを拾い集めて

横顔

2017.12.16 01:41

昼下がりの中途半端な2時半ころ……
ホテルの奥まったコーヒーハウス。
東に開いたウィンドーから冬枯れの庭が見える。
  
その明るさでちょっと逆光気味のなかを
まだ若さが十分に残っている30代らしい女性が 文庫を読んでいる。
テーブルの上には紅茶とスコーン そしてデボンシャークリーム。
そこだけが異なった風が流れている。
  
「私は美しい」と言い切った“横顔のバーバラ”のように……
ショートに纏めたヘアスタイル。
きれいに組まれた脚も、
ティーカップへ唇を持っていく仕草も、
脇の椅子に置かれた由緒正しきバッグも、
全てが彼女の謀りごと。
  
自分は美しいことを十分に知っていて、
ボクが見ているのも十分に知っていて。
  
 先ほどほんのちらっと視線をこちらへ一瞥させただけで、
 “もう二度とあなたには視線を配達しない” という決意を
横顔に張り付かせて文庫を読んでいる。
   
その文庫が『イェイツ詩集』だったら、
……どうしよう。

 (完)