せっかくなんでも挑戦できる時代なのだから。コロナがそうだったように、3年先の未来なんて誰もわからない、だったらなおさら。(太田) 花もお菓子も、人がもらってうれしいもの。(石原)
ライフイズパティシエ オーナー 太田 悠一 /日花朴果 フラワーデザイナー石原 里恵
<小さなパティスリーの中に小さな花屋が誕生。花とお菓子、どちらも「人にあげたら喜ばれるもの」という共通項がある。LIFE IS PATTISIER代表 太田さん(左)と日花朴果 フラワーデザイナー 石原さん(右)>
仕事への愛にPRを掛け合わせたら「POWER」になる。PRオフィスWORKING FOREVERが独断と偏見で、もっともっと世の中に知らせたい素敵な仕事人にフォーカスするインタビュープロジェクト「LOVE×PR=POWER」。この春、小さなパティスリーの中に小さな花屋が誕生。自由が丘の人気パティスリー「ライフイズパティシエ」オーナーパティシエ太田悠一さんと、この春よりパティスリーの中にオープンした小さなお花屋さん「日花朴果(にっかぼっか)」を切り盛りするフラワーデザイナー石原里恵さんのお二人にインタビューしてまいりました。
コロナ拡大直前の2020年1月にオープン、暗闇の中を手探りで走り続けた2年間。
― ライフイズパティシエさんはWORKING FOREVERにとって思い出深いクライアントのひとつです。
太田:どうしてですか?
<ライフイズパティシエ代表 太田 悠一さん>
― お店がオープンした2020年1月、新型コロナウイルスの話題が深刻になり始める前でした。美味しいパティスリーがオープンすれば普通にお客様でにぎわう、そんな当たり前の光景が見られた最後の時期でした。
太田:そうでしたね。1月オープンした直後は毎日いつも行列していたのが、2月コロナが本格的にやばいものだとなってから、どんどん街に人がいなくなって、そして2020年の4月に初めての緊急事態宣言発令されたら、完全にお客様は来なくなった。
― このとき、太田さんにインタビューした記事、覚えています?
太田:うわぁああ(照)。今と比べて駆け出し感すごいですね(笑)。
<フレッシュな印象の2年前、独立したての頃の太田さん>
↓ オープン当時のライフイズパティシエ取材記事
― ピュアピュアBOYですね♪♪(笑。お互い、しばらく過去の記事に見入る)
太田:笑!懐かしいですね。オープンしてすぐにコロナで世の中が完全ストップして考える時間だけはたくさんあったから、いろんなことを考えた、そんな時期でした。
― わたしもその時期のことをよく覚えています。本当に世の中が完全にストップして、「何か考えていないと怖い」、そんな気持ちでいっぱいでした。だから、仕事がぴたっと動かなくなったときに、仕事があってもなくても、自分たちの会いたい人に会いに行く、共鳴し合える人たちとつながり続けていられる何かをしたい、そんな想いからこの「LOVE×PR=POWER」のインタビュー企画を始めたのを覚えています。そしてその記念すべき第一号が太田さんだった。
太田さん:ははははははははははは!懐かしい。
― (当時の記事を見ながら)「時代の『変化』に合わせて『進化』していく。というより、そうじゃなきゃダメだと思って。」って、まさにこの後のライフイズパティシエのその後の躍進を予言してますね(笑)。
太田:ほんとだっ!!文字だけ見てるとカッコつけて見えますね(笑)。
― 笑。でも本当に、「時代の変化に合わせて進化していった」。ライフパティシエのこの2年間は、まさにそんな印象です。
太田:そうですね。店を作るときのもともとのコンセプトが『作り手とお客様がコミュニケーションできるパティスリーを目指して』でした。それがコロナとともに実質不可能な状態になって急いでECサイトでの販売強化に切り替えて。
― 判断がものすごく早かったのを覚えています。ほかのお店がテイクアウトやるかやらないか決めかねているそんな時期に、太田さんはするするするってEC強化を進めていって、結果的に緊急事態宣言下で街に人がいない状況が続いている最中、 ライフイズパティシエはコロナ前以上の売上に伸びていった。
大変なことだらけ。それでもやっぱり独立した「この道」が楽しい。
― 独立されて2年、そこにコロナというのも加わった最悪の条件の中を駆け抜けてきて、今どのように思われていますか?
太田:ほんとにいろんなことがあったなと。。。
― いいことも、悪いことも?
太田;そうですね。本当に(遠い目)。。。
― でもそれって、ライフイズパティシエががむしゃらに走り抜けてきたからこそ、ハイペースで景色が変わっていったという立派な証ですよね。今回どうしてお花屋さん「日花朴果」をやろうと思われたのですか?
太田:もともと花、とくにドライフラワーのような、シンプルで落ち着いた感じの花が好きで、ライフイズパティシエがオープンしたときから店でそういう花を飾ったりはしていたんです。そのとき装飾をお願いしていた近所の花屋に勤めていたのが、いま「日花朴果」をやっているフラワーデザイナーの石原さんだったんです。彼女の作る花束やスワッグが個人的にとてもいいなぁと思っていたのと、店の雰囲気にもとても合っていたのもあって、石原さんがそのお店を辞められると聞いたときに「それだったらライフイズパティシエと一緒にやってみたら面白いんじゃないか」とひらめいて。
― 出たっ!太田さんのひらめき!!
<石原さんにしか表現できない花の世界が、ライフイズパティシエに新しい表情をもたらしている>
花もお菓子、どちらも「人にあげると喜ばれるもの」
太田さん;はい(笑)。僕が店をオープンしてからのこの2年間は、世の中全体が大きな変化を迎えていました。その中で自分自身は独立したての時期、2年前には想像していなかった今を生きている気がします。でもそれって、ある意味僕がラッキーだったり、たまたまだったり、恵まれていた部分も大きいと思っているんです。だからこそ、自分が手にした結果というのはどこかで世の中に還元していきたい。いや、しなければいけないと思っていて。そういうのをいろいろ馬鹿にする人はいるかもしれないけれど、きれいごとを抜きに僕は本気でそう思っていて。もちろん僕自身まだまだ発展途上の段階ではあるけれど、才能ある人や商品が、もっと世の中に知ってもらえるきっかけの一つに「ライフイズパティシエ」という店がなれたらいいなと思っています。
― そして「日花朴果(にっかぼっか)」が誕生した。
太田:はい。
― それでは、ここからはその「日花朴果(にっかぼっか)」について、ぜひフラワーデザイナーの石原さんにもお話をお伺いしたいと思います。石原さんよろしくお願いします!
石原さん:よろしくお願いします。
― 石原さんのお花を初めて見たとき、お花本来の姿の美しさ、ナチュラルだけれどもアンティークな温かみ、人の手が加わりすぎていないお花の魅力に心惹かれました。
石原さん:私自身が古いものが好き、アンティークなもの、人工的でないものが大好きで。植物本来の自然な色や姿を大切にしています。
― そうした石原さんの感性はどこから生まれたのでしょう?
野山を駆け回った子供時代。でもそれこそがもっとも贅沢な花とのふれあいだったと大人になって気づいた。
石原さん:わたしは新潟の山奥、ほんっっとうに山と森しかない世界で(笑)。それこそ一年中山の中を駆け回っている子供時代で、お墓参りとかのお供えのお花も、その辺の花や草木を摘んで、両親がちゃちゃっと花束っぽくして供える、そんな感じのワイルドなお墓参りが基本のスタイルでした(笑)。
<石原さんがお花や草木を「この子」というたびに、花々への愛情が伝わってくる>
― めちゃめちゃワイルドですね(笑)。でもそれって、最高に贅沢でかっこいい花束ですよね。これはわたしの勝手な偏見ですが、フラワーデザイナーさんというと、めちゃめちゃ優雅で上品なご家庭に生まれ育って、それこそお母さまが生け花をされていたり、丁寧な暮らしというライフスタイル誌に登場するような別世界の方たちのような育ち方をされてきた方たちが多いという印象があって、なんとなく親しみにくい世界のイメージだったのですが(勝手な偏見すぎ!)、石原さんのお話を聞いていると、温かさを感じるとともに、草木の咲き誇る山々を駆け回っていらした子ども時代のお話なんかとてもほっこりする感じで素敵で、ちょっと童話の世界のようにも感じます。
石原さん:本当にね、ごくごく「自然しかない」そんな田舎で育ったんですよ。とにかく野山を駆け回って遊んでいました。でも今思うと、そういう大自然の中で触れる草木や花々の風景を当たり前として触れてきたことがとても贅沢なことだったと思いますね。
― でも、山の中で駆けずり回っていた人すべてが、石原さんのような感性のお花を作ったりはできないですよね。なんというか、石原さんならではのセンス、例えば、飾り方ひとつにしても、花瓶ひとつにしても、花の魅力を優しく、ベストにそのありのままの存在感を活かしている、そんな素敵な小物選びのセンスも石原さんのお花の魅力ですね。
<小物選びや飾り方にも独特のセンスが光る>
石原さん;うれしいです。自分としてはあまり意識しているわけではないのですが、人工的なものがあまり好きではなくて、お花が自然な姿でいることをを心がけています。
<丁寧で優しい花束がひとつひとつ、石原さんの手から紡ぎだされる>
― なるほど、私自身、お花は好きだけれど、実際にお花を買って帰っても水を腐らせてしまったり、汚くさせてしまうことが多いので、なんとなくお花を飾ることをあきらめてしまいがちで。。。。
石原さん:そういう人にこそ、もっとお花を気楽に楽しんでいただきたいと思っています。花束ではなく一輪挿しで、その時々の気分に合わせてお花を飾ったり、壁にドライフラワーをつるしたり、そうするだけでも気分転換になったりするものです。「ズボラだから苦手」と思いこんでいる人にこそ、もっと楽な気持ちでお花のある暮らしを楽しんでもらいたい、そう思っています。
― 日花朴果のようなお花屋さんが近所にあると、花を楽しむ暮らしが身近に感じられそうですね、自由が丘の人たちがうらやましいです(笑)。
石原さん:ネットでもお花を購入できるのでぜひ。大切な方への贈り物にお花をもっと気軽に、そういう方が増えていくといいなと思います。
― ありがとうございます。最後に太田さんにお伺いします。
いい感性に出会い続けながら、ライフイズパティシエはこれからも進化していく。
太田さん:僕は普段からアートを見たりするのが好きで、気に入った作品があるとよく購入したりします。何かクリエイションをしている人が好きなのかもしれない。いい感性の人たち、いい作品と出会いながら、コラボレーションしたり、刺激をもらったり、共鳴し合うことで、よりいいものを作り出していけたらいい、そう思っています。
― 大きな変化の波を、乗りこなしてきたこの2年間。これからの2年、5年、10年も、ライフイズパティシエはどんどん変化、進化していきそうですね。
太田さん;はい。大変なこともたくさんあるけれど、そうやって時代に合わせて変化していくこで、また新しい明日が開けていく、そう思っています。
<店舗情報>
店舗名:ライフイズパティシエ/日花朴果
住所:世田谷区奥沢6丁目33番14号 第一大塚ビル 1F(自由が丘駅から徒歩5分)
営業時間:金・土・日 11:00〜18:00(close:月〜木)*売り切れ次第終了
<プロフィール>
「ライフイズパティシエ/日花朴果」オーナー 太田 悠一(Ohta Yuichi)
「LIFE IS PÂTISSIER(ライフ イズ パティシエ)」という店名には、「好きを仕事に」という想いが込められています。料理人を目指していた父、父の影響から料理がとても上手だった母、そんな料理好きな家庭の中で育ったことから、子供の頃からモノづくりが大好きだった少年は、いつからかパティシエになることが夢になり、やがてその夢をかなえ、今はその可能性をもっともっと広げていきたいと考え、「LIFE IS PÂTISSIER」という名前の焼き菓子とチョコレートの専門店をオープンするに至りました。お菓子を通してたくさんのお客様に、楽しく幸せなひとときをお届けします。
Instagram life_is_pattisier
日花朴果(にっかぼっか)』フラワーデザイナー:石原 里恵(Ishihara Rie)
自然の豊かな村で生まれ野山を駆け回りながら育つ。上京後、インテリアや空間コーディネートの仕事を経て花の世界へ。フランスノルマンディー地方の美しい田舎街でトップフローリストに師事後さまざまなスタイルのフラワーショップでの経験を重ね、ウェディングやイベント装花なども担当。2021年、植物が持つ力強さしなやかさ、自然な姿を大切にした花屋「日花朴果」を立ち上げる。2022年春より自由が丘パティスリー「ライフイズパティシエ」内にて本格展開開始。
Instagram nicca_bocca
<インタビュー聞き手:鬼ヶ島蘭々/WORKING FOREVER>