映画『C'mon C'mon(カモンカモン)』今年一番泣けた理由。
気になっていた映画『カモン・カモン』鑑賞してきました。日比谷のTOHO シネマズよりも、六本木TOHOシネマズのほうがビッグスクリーンでしたので、六本木へ。
一言で言うと、「おじと甥っ子の絆のストーリー」です。おじさんの職業はラジオジャーナリストで、子供たちに未来についてインタビューをしている仕事です。なんだか、「聴く仕事+おば」ということで、私と似ている設定ではないですか!
妹の夫のメンタルが病んでしまったため、数日間子供の面倒を見てほしいと、おじのジョニーが子守を頼まれるところからはじまります。そんなおじさんは結婚をしていないので、子供の世話をすることは初めてのこと。しかもその子供は風変りで、母親も手を焼いているところがありました。ジョニーはアメリカ国内をインタビューで周る仕事の傍ら、どのように子供と向き合っていったのか?
まず映画がモノクロでした。余計な色をそぎ落としたことで、会話に集中して聴けました。モノクロの世界は非日常感があり、その上、心地の良いフュージョンっぽい、ストリングスの効いたスージーな音楽。ドビュッシーの月の光が、モノクロの二人のシーンに月光が差し込んできたかのように美しい。私の心も月光で浄化されたのか、涙が流れてきました。
あの激やせした悪のヒーロー『ジョーカー』だったホワキン・フェニックスが、子供を受け入れようと奮闘する、とてもやさしい小太りのおじさんになっていました。これがもともとのホワキンスタイルです。(笑)
海岸のシーンは、映画『Her』の続編みたいな感じもして、ちょっと異次元空間に存在しているホワキンは、なぜかしっくりきます。10年前は『容疑者ホワキン・フェニック』という、ウソのドキュメンタリー映画を作って、ハリウッドを困らせていた人とは思えません! 最近は、『Her』で共演したルーニー・マーラとの間に第一子が誕生したばかりで、映画で演じながら、父親像も模索していたのかもしれませんね。
甥を演じるのは、イギリスの天才子役ウディー・ノーマン。この映画を作るとき、監督とホワキンがまずは内容の理解を互いに深めていったそうで、もしピッタリな子役がいなければ、映画を作らないとまで言っていたそうなのです。そんなときに彗星のごとく現れたのが、ウディー君。カーリーヘアーもかわいいし、演技とは思えない自然な演技で、ずっと見ていたくなりました。憧れの俳優は、ティモシー・シャラメで、憧れの監督は、ウエス・アンダーソン監督だそうです!ティモシーも『フレンチディスパッチ』にでてましたからね。
映画はフィクションでも、リアルに感じられる要素として、ドキュメンタリーも含まれていました。リアルに子供たちにインタビューした映像が挿入されているのです。台本はありません。
「将来はどうなっていると思う?」「未来は今よりも良くなっているかな?」「正しいことをするために大人は何をするべきだった?」
などなど、深い質問です。アメリカの国民性なのか、子供たちなのにものすごくしっかりとした意見を持っていることにまず感心します。1つ1つのインタビューの言葉を、メモに残したいほど、本質的なことを子供は語るのですね。
つまり、この映画で大切なこととして扱われているのは、「対話」とか、「子供たちの声に耳を傾けること」なのではないかと思いました。そんな普通なことが、実はインスパイアされたり、哲学的に大人も考える価値のある時間だと私は感じていて、質問しなければ引き出されない答えに、ハッとすると同時に、宝物を見つけた幸せも感じます。
2年前に『セッション』メルマガを制作していたときに、姪との対話を収録したものがあります。当時姪は小2ですが、「話を聴いてくれる人とはどういう人か?」について、とても本質的なことを語っていて、子供の感性に感動したものです。私もとても好きなインタビューになっています。
そんな私の経験とも重なって感動した部分もありましたが、それだけでなく、セリフや風景や、時折挿入される本の引用の言葉などから、自分とつながりを感じさせるものに必ず触れてしまうことだったり、クライマックスが用意されている映画でなく、普通の日常の中だからこそ、誰もが自分からつながりを探してしまうようなところがあるのではないかと思います。これからも大好きな映画として、何度も観てしまいそうです。今年一番の映画になりました。(笑)
P.S. 1D1U Life Coach Blog にも感想書いています。