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#151.譜読みの範囲

2022.06.17 22:25

今回のお話は、少し楽器経験値が高い方や、音大生、音大を目指そうとしている方などの目線で書いていきますので、絶対にそうでなければならない、という意味で書いていません。「そういう考え方もあるんだ」と思ってもらいながら読んでいただければと思います。


譜読みの範囲

例えば吹奏楽で演奏されている方は、新しい楽譜が配られ、最初の合奏の日までにある程度演奏できるように練習すると思います。合奏ではその曲を通すことが想定されますから、全体を譜読みしておく必要があります。


一方で、個人レッスンで教則本やソロ曲を見てもらう際、譜読みを全部してこなくても誰にも迷惑がかからないからと、自分の裁量で譜読みの範囲を決めてしまうのは良くありません。


「その作品を譜読みする」というのは最初から最後までを見ておくことである、と覚えておきましょう。


もちろん、完璧に演奏できるところまで譜読みできていたら最高ですが、課題になっている作品が難しい場合や、全曲通して完璧にすることが時間的にできなかった場合もあると思います。その場合は多少楽譜に書いてある指定テンポよりも遅めになっても構わないので、とにかく「止まらずに通せる」という目標で全体をまとめておくことが大切です。


レッスンではよく「次はここ(まで)見てきてね」と課題を出されることが多いです。その時に「じゃあそこまでできるようにしておこう」と考えるのと、「その次まで見ておこう」と考えるのとでは当然成長スピードが格段に違います。前回、前々回の記事のように楽譜をじっくり読んでイメージを膨らませておくことも大切なのですが、一方で短時間である程度の完成形まで漕ぎつける技術も持ち合わせておきたいのです。


そのためには、課題など関係なく、自主的にどんどん譜読みを進めていくことが重要です。


音大生だった時の話

私が音大生だった時の古い話ですが、朝一番に大学に来て、追い出されるまで楽器を吹いていました。ですから練習時間は誰よりも多かったんです(それが結果に反映されていなかったことが非常に良くなかったのですが)。でもたくさん練習していたので、譜読み量は多く、教則本なども次のレッスンで演奏するであろう範囲を軽く超えていました。


ある日、午前中の早い時間、まだ誰もいない金管楽器専攻生の練習場所でいつものように音出しをしていたところ、師匠が突然いらっしゃいました。私以外いなかったので、ラッキーなことにレッスンを受けられたのですが、日頃から譜読みをたくさんして、いつでも、教則本の広い範囲をカバーしていたために突然のレッスンでも見ていただける内容がたくさんあったわけです。


前回、前々回の記事も含め、譜読みを確実に、そして短時間で形にしていく力を持っておけば、それだけ出会える楽譜も増えるわけです。他に使える時間が増えるとも言えます。


ちなみに、前回と前々回の記事はこちらです。よろしければご覧ください。

ダラダラと練習するのは良くない、という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。それは体力的、精神力の面も含まれますが、効率的な譜読みをして、時間を有効に使うことも考えられるようになると素晴らしいですね。


ということで、今回はここまでです!



荻原明(おぎわらあきら)

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