『聖夜①』(続•臣隆妄想劇場86)ショートバージョン
2017.11.14 19:15
臣と隆二が暮らすマンションが見えてきた。
正面入り口に二人が並んで笑顔で話をしている。
セーターの袖口から少し出した手をしっかり繋いでいるのが見える。
隆二が健二郎に気づき、繋いでいた手をスッと離した。
「よっ!」っと片手を上げ、笑顔を見せる健二郎。
(慌てて手ぇ離さんでも見えてるっちゅーねん…)
隆二「健ちゃん、いらっしゃーい」
臣「時間通り…さすが健ちゃん」
健二郎「メリクリ!酒やツマミ買うてきたで!」
隆二「手ぶらで来いって言ったのに…」
臣「サンキュ!そっち持つよ」
片方の荷物を臣が受け取った。
健二郎「今日はお手柔らかに頼んます」
冗談交じりで健二郎が言う。
隆二「なんだそれ」
隆二が目を細めて笑った。
臣「ゆっくりしてってよ!健ちゃん」
健二郎「おう」
健二郎(なんか地元の友達夫婦ん家訪ねた時とそっくりや…)
(ほんまの夫婦みたいやな、こいつら…)
健二郎(嫁はん、ヒゲ生えてるけど…)
チラッと隣を歩く隆二を見る。
隆二「まぁた、おもろいこと考えてたんやろ?」
健二郎「なんやそれ?」
隆二「せやさかいな!」
臣「せやしかし」
健二郎「せやさかいって、関西の人間はあんまり使えへんで」
「せやしかしに至っては完全に創作や」
臣「健ちゃん、とっくの昔に関西捨てたんでしょ?」
健二郎「アホな!人聞きの悪いこと言いなや」
隆二が健二郎の肩をポンっと叩いて、
「エセ関西人やもんな」と言って「へへっ」と笑った。
健二郎「うわぁ!デジャブ…随分前にも同じようなことあったな」
臣「そうだっけ?」
三人で絶妙な掛け合いをしながら、健二郎は二人の愛の巣に足を踏み入れた。
続く