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第47回定演「タレイア・クァルテット」①

2022.04.22 15:00

 今回の演奏会は思わぬ縁に恵まれてのことで、それを皆様にお伝えさせてください。


 一昨年、2020年11月23日のことです。

 コロナ禍で1年と3カ月中断していた室内楽定期演奏会が再開できることになりました。

 誰もが喜んでくれたことでしょう。

 出演は表看板のクァルテット・エクセルシオでしたから、なおさらです。


 コロナ対策を講じての初めての開催、スタッフ会員はいつもより忙しく、いつもより慎重に開場準備を進めていました。

 休憩時間中に、私に会見したいという方が…。

 「タレイア・クァルテットの二村裕美の母です。」とご挨拶をいただき、私は驚きました。


 タレイア・クァルテット、進境著しい若手の四重奏団です。

 ちょうど2カ月前に、弦楽四重奏を積極的に取り上げている第一生命ホール主催でクァルテット・エクセルシオと共演したばかり。

 そのメンバーに、八幡東区出身の方がいたなんて。

 私は歓喜しました。


 二村さんのお母さんは、一月ほど前に、ご知り合いの絵画が直方谷尾美術館で展示された際に来館。

 そして、美術館に掲示されていた室内楽定期演奏会のポスターを見られ、クァルテット・エクセルシオの演奏会が直方で10数回を重ねていることに驚かれたのです。


 二村さんのお母さんは、深々と頭を下げられ、こう続けられたのです。

 「タレイア・クァルテットも(この室内楽定期演奏会で)宜しくお願いします。」と。 

 ある音楽家の言葉が頭を過りました。

 「この演奏会は、真摯な音楽家とオーディエンスを引き寄せる磁石のような演奏会です。」

 二村さんのお母さんは、終演後、エクセルシオのメンバーにもご挨拶をされ、当夜の打ち上げでも話題となりました。


 「渡辺さん、嬉しい仕事が一つ増えたね。」とエクセルシオのメンバー。

 そして、この演奏会から、僅か3週間ばかり後、タレイア・クァルテットとの繋がりを加速する次なる出来事が待ち受けていたのです。


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 2020年の師走10日の夜のことです。

 ひんやりとした気持ちの良い空気の中、私は北九州市八幡西区の黒崎ひびしんホールへと急ぎました。

 作曲家の中村滋延先生が新作初演するというので、定期寄稿している日経新聞の取材を申し出たのです。


 前日リハーサルから拝聴させていただき、中村先生の指示やコメントを伺い、曲に馴染んできたかったのです。

 楽曲タイトルは『ドン・キホーテ哀歌。「喜劇ではなく悲劇だ!」』。

 楽曲については、簡単ではありますが、下記拙稿をご参照ください。

 ストーリー・テーラーのように音楽を牽引するヴァイオリン奏者にまず惹かれました。

 休憩時間に、中村先生が私と室内楽定期演奏会を演奏メンバーに紹介してくださいました。


 すると、ヴァイオリン奏者の方は、なんとタレイア・クァルテットの二村裕美さんだったのです。


 私は気が遠くなりそうになりました。

 直方でのエクセルシオの公演で、二村さんのお母さんとの会見から3週間足らずなのに、今度は裕美さんと…。


 まるでベートーヴェンの掌で踊らされているようでした。

 \(゜ロ\)(/ロ゜)/

 翌日の終演後、二村さんのお母さんと再会。

 私の来場に驚かれ、喜んでくださった様子でした。


 打ち上げで、二村裕美さんに、近い将来に年間4つの演奏会を4つの四重奏団による全て弦楽四重奏の企画を設けたい、その時はご出演をお願いしたいと告げたのです。

 快諾をいただきました。

 (≧▽≦)


 タレイア・クァルテットとの縁。

 二村裕美さんのお母さんと中村滋延先生のお蔭です。

 m(__)m


 ところで、私は、その前後の年度と合わせての計6回でベートーヴェンの弦楽四重奏曲、全曲演奏会をできればと考えていたのでした。

 創設25周年を越えて熟成に域に入ったクァルテット・エクセルシオ、福岡発弦楽四重奏団の育成、若い気鋭のタレイア・クァルテット。

 もう一つの団体は、頭には描いていたのですが…。

 (-_-;)


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 数年先の企画を見据える…、と言いますより、数年先を妄想している感じで、4つの弦楽四重奏団による、年間オール・クァルテットの企画は、5年くらい前から構想を練っていました。

 実施は2025年かな?と。

 鬼から大笑いされましょう!


 しかし、20年末に、タレイア・クァルテットとの思わぬ縁をいただき、登り坂を駆け上がっているタレイアQを、皆さまに聴いていただくには、4年先はとても待ち長い…。

 一方で、前年度=21年度は新規&延期企画で計7回、その中の5演奏会を5月からわずか3カ月間で開催したため、夏の終わりにはとても疲弊していました。


 ある会員さんが、演奏会の度に私の顔色が悪くなっていると心配してくださったほど。

私だけでなく、サポートしてくださる会員さんもそうだったはずです。


 22年度はゆっくりしたい。

 そう思い、通常の年間4回、新規3つ&延期一つで進めていました。

  クァルテット・エクセルシオ

  福岡発弦楽四重奏団

  寺神戸亮さん、バッハ無伴奏ヴァオリン作品チクルス第2夜

  山本亜希子さん&田島高宏さんDuo(延期公演)

 これだけでも、オーディエンスにはとても充実した1年となるはずです。


 しかし、物事にはタイミングというものがあります。

 これらにタレイアが加われば、オーディエンスの心にさらにいい風が吹き抜けるのは違いありません。

 そう思い、今年度=22年度のご出演をお願いした次第です。

 それは、昨年の10月13日のこと。

 何と何と、タレイアQの東京、白寿ホールでのリサイタル(自主公演)の翌日です。

 大切な公演が終わってからと配慮したつもりでしたが、お疲れのところ、ごめんなさい。

 ところが、快諾のご返事と日程候補をいただたのは、わずか2時間後。

 弦楽四重奏団ですから、メンバー間の連絡と調整は大変なはず。

 ありがとうございます。


 私は、曲目について、こうお願いしました。

 タレイアQの皆さんが聴いてほしい曲を、そして、弦楽四重奏の核であるベートーヴェンを必ず1曲をと。


 いただいたのが、このオール・ベートーヴェン・プログラムです。

 この演奏会のオーディエンスは、クァルテット・エクセルシオを10数回聴いており、ベートーヴェンの後期四重奏曲や20世紀以降の作品に反応を還すほど成長しています。  

 それに応えてくださったことに感謝です。