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L.v.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品74《ハープ》

2022.04.29 15:00

 L.v.ベートーヴェン

 弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 作品74《ハープ》

 30代前半のベートーヴェンに降りてきた創作力の爆発。

 このころの作風は壮大な規模と内容、劇的な感情表出にあります。

 しかし、数年後、それは一変し、規模は縮小し、内面性を深めていきます。

 この時期作の《ハープ》と《セリオーソ》は、先の作風の典型を有しています。


 動画はタレイア・クァルテットのリサイタル(2021年10月12日、白寿ホールにて)のもの動画がありますので、ご堪能ください。

 《ハープ》は、穏やかな情感や瞑想性を聴かせ、「大きな苦しみと悲しみを乗り越えられた。今ならそれを人に語れる。」と言わんばかりの音楽です。

 そして《運命》と《田園》交響曲の翌年作であることから、この2大作のエッセンスが取り入れられています。


 例えば、以下のようなところです。

 第2楽章の祈り、瞑想、静かな情熱は《運命》交響曲の第2楽章と通じ、このころのベートーヴェンの心中はかくありきと語っているようです。

 葛藤の嵐が吹き荒れる第3楽章はタ・タ・タ・ターン、《運命》と同じ動機によります。

 そして、高揚した感情が次第に冷却し、穏やかな最終楽章へ。ここの感動的な転回は、まさに《田園》交響曲と同じ。

 コロナ終息を待ち望む私たちの心中にピタリです。

 個人的には、《ハープ》はベートーヴェンの中期作品の中で最も好きな曲。


 私の推しは

・第1楽章の終盤、第1ヴァイオリンがアグレッシヴに踊り始め(動画の8′30″から)、その後(8′48″から)、その背後で第2ヴァイオリンとヴィオラが親愛なる語り合いを聴かせます。

 涙度100。

②第2楽章の第1ヴァイオリンによる独白(16′18″から)。

 涙度120。

③先の第3楽章から第4楽章へ感動的な移行(24′00″から)。

 ささくれた心が浄化されていくようです。

 涙度200。