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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

ウィーン体制34-ジャガイモ飢饉勃発

2022.04.30 11:50

1845年、アイルランドからジャガイモの疫病が蔓延した。アイルランドはイギリスに支配され、アイルランド人の土地は14%に減っていた。しかも彼らは小作人であり、自分の畑の3分の2にはイギリス人のための小麦を植え、残りにジャガイモを植えてそれを食べていた。

このためジャガイモは「貧者のパン」と呼ばれたが、このおかげでアイルランド人口は増加した。ところがジャガイモが繁殖力の強い種類に限ったため、それを枯らす菌があっという間に広がったのである。驚くことに、彼らの畑の小麦は無事だったが、それを食べることはできなかった。

本国イギリスといえば、なんとイギリス本国の物価を気にしてまるで放置した。アイルランドは150万人の餓死、病死者を出し、そして100万人がアメリカ移民となる。彼らはカトリックであり、アメリカ東部にカトリック文化が生まれ、その後何と4人のアイルランド系大領領を出すことになる。

しかし貧者のパンは大陸ヨーロッパでも同じことで、ジャガイモ飢饉の影響は、北部を中心に広がり、貧者の食料価格が高騰した。産業革命の進行で増加した貧者の命綱が奪われ、社会が騒乱の時代となり、決定的な1848年の革命に向かって動き出してゆくのである。