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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

フレデリック・ショパン、姉ルドヴィカへ「5年前のように、どうかパリに来て私のハンカチと靴下に私のイニシャルを刺繍してください」、フレデリックの家族への最後の望み…

2022.05.01 00:53

姉ルドヴィカとフレデリック♫イメージ♫

グシマーワに藪医者ばかりで困っているとショパンは伝えた、しかも、パリにコレラの特効薬を輸入するように医師にショパンが助言したというのだ。そのためかパリのコレラは終息に向かっていた。落ちついてきていたパリにグシマーワに来て欲しい意を伝え、その1週間後にシャイヨ城からワルシャワの姉ルドヴィカに夫妻でパリに来て欲しいと、

病床のショパンはルドヴィカを説得するかのように書簡を書いて送った。

ショパンは今までも死にそうになったことは幾度もあったが、家族からの書簡やルドヴィカの励ましで奇跡的に元気を取り戻してきた。ショパンは病気だと言いながらも、ハードなスケジュールをこなし生き延びて来た。

それほどショパンにとっては薬よりも家族の愛情が一番の特効薬だったし、ショパン自身もそれを信じていたのだ。しかし、今度の危機はショパンは自分の命が危ういことを悟っていたため、どうしても家族と再会したかったのだ。母ユスティナには、

パスポートが発行されなかったことをショパンは母からの書簡で知っていた。

それにはショパンは気落ちしていた。

どうにか、姉夫妻にだけでも会いたいフレデリックだった。

「あなたと、そしてカラサンテが来ることができるなら、そうしてください。

私は病気で、あなたほど良い医者はいないですから。

お金が足りない場合は、借りてください。

私が良くなったとき、私は簡単にお金を稼ぎ、あなたに必ず返済します。」

フレデリックは姉ルドヴィカに会えば自分は

良くなると信じていた。

まだ働いて借金も返済できると信じていたようだ。

そして、ルドヴィカの二人の子供も一緒に来ても滞在する部屋はあると説得するフレデリック…

「現時点では、私はあなたに何も送るのが大変です。ここシャイヨの私の場所は、2人の子供がいる場合でも、両方を連れて来るのに十分な大きさです。…」

しかし、これは無理な説得だった、実際にはルドヴィカは一人の娘しか連れて来れなかった。

「カラサンテは一日中たくさんのことを見つけることができますよ。園芸の展示会が近くにあります。

実際、私は弱っています。でも、あなたと一緒に家にいるので、私は前回[1844年]よりもあなたと自由な時間を過ごすことができます。」ショパンは5年前にルドヴィカがノアンに来てくれた時のことを昨日のことのように

思っていた。

「…私の友人は、あなたの到着が私にとって最高の薬であると考えています。」

そう信じているのはフレデリック自身なのだが、友人たちもルドヴィカがパリに来ることを願っていると、ルドヴィカを説得するフレデリックだ。

「…オブレスコフ夫人からパスポートを取得してください…

北からの人と南からの人が、ルイーズを個人的に知らなくても、それは私の健康だけでなく彼女の健康にも良いだろうと私に言いました。一緒に来てください、マザールイーズとドータールイーズさん。あなたの指ぬきと針を持ってきてください、そして私はあなたには私のイニシャルをあなたが刺繡するハンカチカーチフと靴下をあげますよ。

そして、あなたはここであなたの弟と叔父と一緒に新鮮な空気の中で数ヶ月を過ごすでしょう。」フレデリックのスリッパに刺繍をしてくれた5年前の優しい姉を懐かしく思うフレデリック、自分を見捨てなでほしいとワルシャワの姉ルドヴィカに縋った…。

パリは空気が悪いがシャイヨは田舎で空気が良いから、来てくださいと、

頼むフレデリック…。

ルドヴィカにノアンでスリッパに刺繍してもらった甘い思い出が忘れられないフレデリック…。

更に説得は続いた、

「その上、旅行は今では簡単です。たくさんの荷物は必要ありません。

私はここにできるだけ安く住むつもりです。ボードと宿泊施設が提供されます。そして、カラサンティがシャイヨがシャンゼリゼ通りから街の奥深くにいることに気付いたとしても、彼は広場にある私のドルレアン広場のアパルトマンに滞在することもできますよ。乗り合い場所はドルレアン広場からシャイヨの門に直接繋がっています。…」

病人が家族にこれほど細かなことまで説明して説得しなくてはならなかったのか…それは、ショパンとの家族関係が本当の家族だったのかが伺えるのだ。ルドヴィカの夫には本当は来てほしくないショパンは、カラサンテにはドルレアンのアパルトマンを貸すからと

それとなく書いた。

ワルシャワからパリに来ることは政治的に難しい時代だった、情報も手にとるようにワルシャワの家族が解るわけはなく、ショパンはどうにかして、安心してルドヴィカを呼び寄せたかっのだ。

時にはフレデリック特有のジョークを交えて長い長い説得は続いたのだ…しかし、姉夫妻はフレデリックが望んだように直ぐには来れなかった…。