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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

フレデリック・ショパン、アースキン夫人からショパンへの多額の贈与の意味を知らなかった妹スターリング嬢…。そして謎の霊媒師とは…、ルドヴィカは来るのか…

2022.05.05 11:13

スターリング姉妹、正面が姉アースキン、

横顔は妹スターリング、写真から

ショパン写真から🎶イメージ🎶


ショパンはまだシャイヨに居た。母からの送金とオブレスコフ夫人の支援でどうにか持ち堪えていた。ショパンに面会に訪れてる人々はショパンは元気になってきている、と

言う人もあれば、ショパンはもう駄目かもしれないと、言う人があり、ショパンは身体が弱っていても気力はまだあった。

それにしても、ショパンの自前の高価な馬車はサンド親子に取り上げられてたまま、返っては来ない。

これで何度目か分からない。ショパンもそれを分かっていたが仕方がなかったのだ。その後、ショパンが、また新しい馬車を買ったという記録もないが、ショパンは出かけるには乗り合い馬車を今更使うはずがないため、シャイヨ城の馬車を使っていたのであろう。

そうした中、忘れかけていた事件を思い出したショパンだった。スターリング姉妹からの25000フランのショパンへの贈与のことだ。

あれから、既に5ヵ月も経ったのだ。

ショパンは事の真相を友人達に話さねばならないと思いグシマーワへ筆を取った。

自分が多額の支援金でシャイヨ城で実は悠々自適に暮らしていると世間から思われかねないからだ。ショパンは自分は誰かに嵌められているのではないかと危機を抱いた…

「あなたの返事と彼女 (アースキーン夫人) からの手紙の後、私は驚きのあまり手を放しました。そして私は、エティエンヌ夫人が幻覚に苦しんでいると疑うべきか、彼女の代理人または、エティエンヌ夫人が泥棒だと私は疑うべきかわかりませんでした。」

グシマーワからの書簡(現存せず)で、

ショパンはスターリング姉妹からの多額の支援金を受け取って城でいい暮らしをしているとやはり誤解されていたのだ。

ショパンは全く受け取った記憶もなく、多額どころか一円たりとも金を見てもいないのだ。ショパンは自分が病人だったため、まさか、自分の記憶違いななかと、自分を疑ってみたが思い当たらない…

「自分が記憶を失ったと考えるのか、それとも自分が精神異常者なのか、要するに私は頭がパンクしそうだったのだ。しかし、妹のスターリング嬢は私の所へやってきて白状した。スターリング嬢は何も知らなかったらしい。

そのため、私はスターリング嬢にいくつかの自分自身の事実を話さなくてなならなかったのです。

例えば、私は、誰からも(女王やミス・クーツ(英国の大富豪)を除いて)このような豪華な贈り物を受け取ることに同意できない。

などということだ。」

ショパンにお金を送ったのはスターリング嬢の姉のアースキン夫人だったのだ。

ショパンは妹のスターリング嬢がショパンのアパルトマンを訪ねて来た時に、スターリング嬢と、何か人には知られなくない生い立ちの事情をスターリング嬢に話さなくてはならなくなったのだ。

そのため、ショパンはどちらにしても、

そのように理由もない多額のお金は誰からだろうが自分は受け取るわけにはいきません、とスターリング嬢に説明したのだ。

まだ、ショパンの説明は続くのだ…

「しかも、本人達(スターリング姉妹)が知らないうちに私への多額の支援金を誰かに渡してしまい、しかもその誰かは、

エティエンヌ夫人に手紙と小包を届けたときに領収書をもらわなかった。

そして、その誰かは、霊媒師のアレクシスのところへ行った。

ここから物語が始まるのです。

霊媒師アレクシスは、3月の木曜日(8日)に私宛ての重要な書類を受け取った。が、しかし、その小包は目的地(オルレアンのショパンのアパルトマン)にまだ届いていなかった。彼は自分は小包みを受け取っていないし、自分は書簡はエティエンヌ夫人に手渡したと話した。

実は、霊媒師アレクシスはそれを、階段を2段下りたところにある小さな部屋で、ある女性に渡し、その女性は2人いて、背の高い方がそれを受け取りました。彼女は郵便配達人が届けた手紙を手に持っていて、問題の小包も郵便配達人から受け取りました。

その彼女は″すぐに(ショパンに)届けます″と言った。しかし、霊媒師アレクシスは、彼女はそれを下に持って行き、私(ショパン)に見せようともしなかったと付け加えた。」

つまり、お金の小包とアースキン夫人からの書簡は別便で届くのだ。匿名ではないようだ、書簡にはアースキン夫人からのお金のことが書いてあったのであろうか。

アースキン夫人は霊媒師アレクシスと知り合いなのだ。霊媒師アレクシスはアースキン夫人からの依頼でアパルトマンまで書簡を持って来て、アパルトマンにいた使用人の女に渡した、その女は、ちょうど来た郵便配達人から、ショパン宛てのお金の入った小包を受け取ったが、自分の部屋へ持って行き、ショパンに渡さなかった。と、いう流れだ。

ショパンはまだ説明を続けた…

「だから小包に何が起こったかわかるかと聞かれると、わからないと答えたが、小包を受け取った人の髪の毛やハンカチ、手袋を持ってくれば、わかるだろうという。アースキン夫人はアレクシスの降霊に立ち会い、昨日そのことを私に告げに来た。」

不気味な話しだが、アースキン夫人はこの霊媒師アレクシスを信仰しているのか、

ショパンが受けとるはずであったお金の入った小包はエティエンヌ夫人のところにあると、霊媒師アレクシスが言っているのだ、

霊媒師アレクシスはその金が欲しかったら、

エティエンヌ夫人の持ち物であると証拠になる物を持って来たら、お金の在り処を占ってやるとショパンを脅し?ているのだ。

「エティエンヌ夫人のものをどうしたら手に入れられるか、そして、それをアレクシスに渡せるか、とのことです。私はエティエンヌ夫人を呼び、彼女のフランス語の辞書とハンカチを取ってくるように頼みました。

エチエンヌ夫人は、サンジェルマンの霊能師(スターリング姉妹が住んでいるところ)のために私の髪を欲しがっているというのです、霊能師が病人を治すというのだ。そこで私は、エティエンヌ夫人の髪を送れば、その霊能者がその髪がどこから来たかわかるのなら、それを信じて私の髪を送ると言って追い払うふりをしました。

そこで、私の求めに応じてエティエンヌ夫人は髪を切り、包んで、それをアースキン夫人が霊媒師に持って行きました。」

霊媒師アレクシスはエティエンヌの髪の毛とショパンの髪の毛の両方を持って来いとアースキンに言った。しかし、ショパンは、まずは、エティエンヌ夫人の髪の毛を切って、

アースキン夫人に霊媒師アレクシスのところへ持って行かせた。

「今朝、アースキン夫人とその代理人が、アレクシスに会ってからここに来た。 アレクシスはその髪が、小包を渡した人物のものであると認識した。」

霊媒師アレクシスは小包を渡したエティエンヌ夫人の髪の毛だと言って、お金の入った小包のある場所を言い当てた。

「その小包は密封してベッドの近くの棚に置いてあり、まだ家にあり、紛失も配達も封印も解いていないとのことでした。

彼は、もし捜査官が正しい方法で捜査すれば、彼女はそれを渡してくれるだろうが、注意しなければならないと私に言った。

そこで、その霊媒師アレクシスは

12時にここからオルレアン広場へ直行した。」

とにかくこの事件は長かったのだ…

「エティエンヌ夫人が一人でいるのを見つけ、3月に小包を渡したことを思い出させ、とても重要なものだとエティエンヌ夫人に告げた。

彼女は霊媒師アレクシスの言っている事に気がつき、何か月も前に彼が届けた小包を、

自分の部屋の棚から出してきて手渡した。

その小包は封を切らず、中に入っていた二万五千フランもそのままでした。

アースキン夫人は彼と私の立会いのもと封印を解いた。どう思う?あの霊媒師!! ! 

長い間、忘れられていた小包が手つかずで残っているのです!!! このような異常事態に、私は頭がくらくらするのです。

いつか個人的にあなたにまだお伝えしたいことがあるのです。

あなたは今、睡眠術を信じるかもしれません。

お金が見つかりました。

神に感謝します。私はペンが私の指を燃やしているため、これ以上書くことができない。他の多くの詳細がまだあるのです。」

結局、ショパンはアースキン夫人からの

25000フラン(凡そ1750万円)は全額は受け取らず、15000フラン(1125万円)を受け取った。

10000フランは霊媒師に払ったのかもしれなかった。ショパンは母から貰ったお金からフランショームに返済したのではなかった。

アースキン夫人からの贈与15000フランから、フランショームに500フランを返済したのだった。

アースキン夫人がなぜこのような多額のお金をショパンに払ったのかは謎だが、

ショパンこのことで、スターリング嬢に

話さなくてはならないことがあったのだ。

スターリング嬢はショパンに異常に執着していた。お互いの生い立ちは内密で、と、

いうアースキン夫人の意味なのだ。スターリング嬢はショパンから自分の生い立ちを聞かされ、知らなかった、とショパンに話したのだ。スターリング嬢は、だから私たちは恋愛対象ではないのだとショパンから告げられたのだ…。ショパンに期待の眼を向けていたスターリング嬢にショパンは話したくなかったが避けられなかった。

それから、ショパンが親交があった

サピエハ姫、イザベラ、ウラジズワフ(チャルトリスキー)は、フランスのノルマンディ地域ディエップへショパンをシャイヨに残したまま、避暑へ行ってしまった。

ショパンの親友で外交官のアルブレヒトはドイツの貴族ウィルテンベルク家の家柄で、この人々はパリに残っていた。ショパンに面会に来たのであろう。そして、ショパンは

「プリヒタ夫人はおそらくワルシャワに到着したのでしょう。姉が来るかどうか心配です 。私は良くも悪くもありません。

 愛を込めて あなたに会いたいです。ショパン」プリヒタ夫人はルドヴィカを迎えに行ったのだろう。ショパンはルドヴィカが来てくれることだけを待ち望んでいた…。