Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「宇田川源流」【GW特別編集 第三次世界大戦突入か?】 ロシア経済制裁による東西新冷戦の始まり

2022.05.05 22:00

「宇田川源流」【GW特別編集 第三次世界大戦突入か?】 ロシア経済制裁による東西新冷戦の始まり


 前回はロシアのウクライナ侵攻に関して、停戦交渉がどのようになっているのかということを関上げてみました。特に、その中で民間人の虐殺という「国際法違反」をしたロシアの立場について、その内容を解説しながら、そのことが明らかであると、なかなかロシアは停戦に踏み切れないし、ウクライナもそれを受けることができなくなってしまうということを見てきました。

 さて、では、プーチン大統領はそのことをどこまで知っているのでしょうか。

 プーチン大統領はあくまでも大統領であり、そのことを知っていようとしていなかろうと、実質的に全軍の指揮権を持っていることになっていますし、またウクライナ侵攻を行った後も軍の上層部や情報担当の上層部人員を更迭するなど人事権を行使しているのですから、その意味において、プーチン大統領が実質的な軍事または戦争(侵攻)の指揮権や決定権を持っているということになります。つまり最高責任者はプーチン大統領なので、戦争犯罪の責任も、最終的な「監督責任」はプーチン大統領に降りかかるということになるでしょう。

 戦前の日本の場合、憲法上(大日本帝国憲法を指しますが)日本の軍の統帥権はすべて天皇に帰するということになっています。しかし、実際に天皇が天皇の自由意思によって決定し軍隊を動かしていたかといううとそうではなく、元老院や軍部といわれる人々があり、その人々の内容を憲法の制度に従って追認していたということになっています。それでも敗戦後マッカーサーの前で責任を負うと昭和天皇は発言しているのです。プーチン大統領が、戦争の責任について、よい方に関しても悪い方に関わらず、どのような認識をしているかは全くわかりませんが、どうも昭和天皇とおかれている立場や実質的権限の有無ということに関しては全く異なるようです。

 しかし、では、プーチン大統領はすべての事象を知っているかということになると、これはなかなか難しい判断になるでしょう。少なくとも現場で行われた細かいことまですべてが報告書になって上がってきているとは思えませんし、また、もしも報告書になっていても、すべてに目を通して判断できるだけのことはないと考えられます。国際棄権がロシアの戦争犯罪は現時点で6600件あると発表していますが、その内容全てにおいて詳細な情報がプーチン大統領個人の支持であるとは思えませんし、またすべてがプーチン大統領の責任であるとも考えられません。軍隊に規律があっても、それを破ってしまう兵士がいることまでプーチン大統領の責任になっては問題が出てきてしまうということになります。そのような意味で、プーチン大統領の責任は、6600もの戦争犯罪があるにしてもその中の一部であるというような感覚になるでしょう。

 いずれにせよ、プーチン大統領は責任を負わなければならない立場にあり、その戦争犯罪の責任を排除するためには、戦い続けなければならないということになるのではないでしょうか。そのことから、「民間人の虐殺」と「民間人の死に対して戦争責任を求める声」は、停戦を遅らせるということになりかねないということになります。

 さて、では戦争はどのようにして終わるのでしょうか。戦争といってしまっていますが、今回はウクライナ侵攻ということになります。

 さて、戦争に関して終わるということは、当然に「勝敗」または「終戦の条約が締結される」ということを意味しいます。プーチン大統領は当初ゼレンスキー大統領を殺し、またはその政権を打倒し、傀儡の政権を作り、そのうえで終戦条約をロシアに有利な条件で作るということを画策しており、またそのことを事前に察知していた西側諸国はゼレンスキー大統領に一時国外退避をして亡命政府をつくるように勧めたいきさつがあります。しかし、そのようなプーチン大統領の思惑は外れ、そのうえで、プーチン大統領は戦略を練り直さなければならないほどウクライナは頑強に抵抗していますし、NATO加盟国やそれ以外の国の支援は的を得ていたということになるのではないでしょうか。

 さて、そうではない、つまりプーチン大統領が思い描いた内容ではない終戦の方法というのは二つあります。一つは終戦競技を行ってそのうえで終戦条約を結ぶということ、もう一つはロシア側が敗北をするという内容になります。この中で多くの皆さんはロシア側が敗北をすることはあり得ない、と思っているかもしれませんが、実際はどうでしょうか。

 あえて申し上げますが、ウクライナとの戦争においてロシアが「負けてウクライナに占領される」ということはあり得ないでしょう。しかし、「ロシア」という単語を「プーチン大統領の政権」と変換して読んだ場合、実は「プーチン大統領の死または失脚」ということは十分にありうるということになるのです。

 さて一つは「プーチン大統領の死」ということを考えてみましょう。これには三つのパターンがあります。一つは「病気」一つは「事故死」そしてもう一つは「暗殺」ということになります。現在のところプーチン大統領は「パーキンソン病」と「ガン」という二つの病名が言われております。いずれも軽度またはステージが早いといわれていますが、その情報自体が正しいのかどうかは不明です。よって、ある意味では病死ということは十分にあり得る内容ですし、また、人間はストレスがかかって、病気が悪化することもありますから、何とも言えないところではないでしょうか。

 そしてもう一つは「暗殺」です。暗殺については、このように書くと映画に毒された人が「CIAのスパイが殺す」というようなことをすぐに想像するのですが、実際には、それ以上に確率が高いのが、ロシア国民による革命または暗殺ではないかと思われます。それを誘発するのが、「ロシアに対する経済制裁」ということになるのです。

 さて、「経済制裁には戦争の抑止力はない」ということは徐々に知れ渡ってきています。実際に、経済制裁によって戦争継続力が無くなるのは、世界全体を敵に回して孤立化した場合しかありえません。経済制裁は、そのことによって経済が疲弊しますが、しかし、戦争であるということは、そもそも敵国に対して国内の矛盾が排外されているということを意味しているのですから、当然に、その矛盾が大きくなっただけのことでしかないということになります。つまり、経済制裁をして国民生活が悪化してもそのことによって政府はあまり大きな問題にはしませんし、また、そのことは戦争を始めるときに織り込み済みということになります。経済制裁によって戦争をやめるのであれば初めから戦争などの手段を取らないでしょうし、また、経済制裁で戦争継続力が無くなれば、当然に政権が崩壊してしまうので、自ら死を選ぶのと同じになってしまいます。そのように考えれば、経済制裁そのものが、戦争を抑止するということにはならないのです。

 ではなぜ経済制裁を行うのでしょうか。一般論として当然に、経済制裁によって国家の民衆の生活が成立しなくなってしまい、そのことから、国民そのものが当該戦争を始めた政権を忌避するようになるということを狙っているということになります。逆に言えば、政権はそのように戦争を反対し経済を復興させるような起業家や国民に対して、監視を強め何か不穏な動きがあれば予備的に逮捕拘束して国内の意見をまとめるということになります。要するに情報の統制と国民への規制ということが行われることになり、戦争反対派と政権派の対立がより大きなものになってゆくということになるのです。そしてこれが大きくなった場合には、当然に「内戦」「革命」というようになるのではないでしょうか。そこまでいかなくても過激思想を持ったものが政権の中心人物を暗殺するということは十分にありうるということになるのです。

 つまり、今回のプーチン大統領の場合、アメリカなどが情報部を使って殺すよりも、その条坊部などはロシア国内に革命を起こしたり、あるいは暗殺するように仕向けるという方が現実的であるということになります。

 経済制裁というのはそのような意味を持つということになりますから、なかなか大変です。アメリカはすでにトランプ政権の時に中国に対して経済制裁を行っていましたが、今回バイデン政権になって、ロシアに対して行っています。当然い、アメリカから経済制裁受けた国二つは連携することになるということになるでしょう。もともと「反米」で共通項があった二つの国が、経済制裁ということで共通的な被害者同盟を結ぶことが可能になったということになるのです。

 つまり「経済制裁」は「制裁をされている者同士の同盟」を作り出してしまうということになります。今回は「ロシア・中国・イラン・イエメン(フーシ派)・シリア・ベネズエラ・キューバ」というところが一塊になるということになるのではないでしょうか。

 このように、戦争(ウクライナ侵攻)から始まった経済制裁が、同じ経済制裁を持つ国々との間で、同盟を結び、その同盟を使って反米組織を作り出すということになります。実は、第二次世界大戦の時も同じで、植民地戦争を行っていた、欧米とドイツ・日本は、米英より経済制裁を受け、そのうえ国際連盟でその内容を非難する決議を取られたことから、日本の国際連盟脱退、そして日独伊三国同盟へと進むのです。これと今回の内容は、国連からの脱退はない物の、ほぼ同じ構図を取っていることに気づくのではないでしょうか。日本は、戦前に「石油・鉄の禁輸」などを行われ、そのことによって同盟へと踏み切ることになるのです。もう一度昭和の前半の国際関係史をよく学んでみるとよいでしょう。

 要するに経済制裁ということを行うことによって、国が色分けされ、そして「新たな敵対構造」ができてくるということになるのです。

 ただし、このことは、様々な意味で「戦争」、つまり「武力行使」が行われるものではありません。戦前の日本も、満州事変から真珠湾攻撃まで10年を擁しています。それまでは、様々な意味で「冷戦」状態が続きその中には戦争を回避する動きも出てきます。つまり、今回も米中・米ロというような「冷戦構造」ができ、そのうえで、戦争を回避する動きと、一方で今回の戦争責任を追及し、ロシアやウクライナ(カウンターという意味)などの政権を交代させるというような動きも出てくるのではないでしょうか。これこそ、まさに、東西新冷戦の始まりなのではないかと考えられるのです。ただし戦後の冷戦のように長く冷戦だけで終わるか、それとも戦前の冷戦構造のように、世界大戦に結びつくのかは、これだけでは決まらないということになるのです。