わからないはなし/『職業的天使の祈り』
2022.05.04 11:00
ブログです。生まれてはじめて書きます。
どんなことばから始めるといいのか?とか、
そんなことばかり悩んでいます。
髙橋幸寛、といいます。69期スタッフです。
本公演の演出補佐として、いま、
ブログを書いています。
🌻🌻(彩り)🌻🌻🌻🌻
でも、あの、「演出」って、何?
ところで、私はいったい何を
「補佐」しているのでしょうか。
🌻🌻🌻🌻(演出?)🌻🌻
それがね、実はぜんぜんわからないのです。
それどころか
演劇のことも、役者という存在のことも、
あまりよくわかっておりません。
直感的にですが、
うまれかわらぬ限り、
私が役者になるのは難しいと思うくらいに、
役者と私は縁遠い存在なんですよね。
(あ、ところで私は、
次はどんな生物にうまれかわるのでしょう?
にんげんにうまれぬかぎり
役者はやはり難しいのでしょうか。)
🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈(猫とかは?)🐈
🐈(猫。)🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈🐈
さて、そんな私ですが、けれども少し、
ことばについてのお話がすきです。
なので、今日はことばのお話をしようかな、と思っています。
🌻(以下、ことばについて。)🐈
( )って、
みなさん使いますか?
丸括弧。私も上で使ったばかりですね。
むかし、宮沢賢治という詩人がいました。
この人、( )を使うのがとても上手なんです。
宮沢賢治の「青森挽歌」という詩の冒頭を、以下にすこしだけ載せます。
こんなやみよののはらのなかをゆくときは
客車のまどはみんな水族館の窓になる
(乾いたでんしんばしらの列が
せはしく遷つてゐるらしい
きしやは銀河系の玲瓏レンズ
巨きな水素のりんごのなかをかけてゐる)
りんごのなかをはしつている
けれどもここはいつたいどこの停車場だ
宮沢賢治「青森挽歌」(『春と修羅』より)
とっても素敵で、とっても好きな詩です。
そういえば、今回の公演にとっても
「りんご」は大切なモチーフですね。
ちいさく赤くても、巨きく透明であっても、
おなじく「りんご」
という響きがしっくりくるのだから、
りんごとはまったくふしぎなことばです。
🍎🍎🍎(りんご)🍎 🍎🍎
さて、しかし、この賢治の詩に
もしも( )がなかったときを考えると、
なぜだか、ひどく物寂しい気がしませんか?
そう、
( )という単調な記号がもつ力は、
うまく言い表せないけれど、とても強烈で、
何か、ぐわぐわと揺するものがあるんです。
(と、おもいませんか?)
(ぐわぐわ。)
つまり、端的にいうならば
「( )のちからって、すげー!!!」
というのが、私の最近の発見なのでした。
でも。
演劇のことば、台詞には、( )のような記号があんまり存在しないことにも気づきました。
だって、「まるかっこ!」って口に出すわけにもいきませんからね。
え、あれ、じゃあ、
ちょっと、演劇、むずくね?
( )とか、つかえないじゃん。
とたんに、
私に演劇はますますわからなくなりました。
わからないはなし。
けれど、稽古をじーっと見ていると、
役者さんはみずからの声と身体をつかって
( )が持っていた力のような、
あるいは( )ではできなかったような、
あのぐわぐわ、と揺するような彩りを、
ことばにふーっ、と吹き込んでいるのです。
役者さんって、すごいな!!!と思いました。
このようすが私にはたいへんにふしぎで、
息を呑むようなふしぎで、
役者さんは、とにかくふしぎな存在になりました。
そして、さらに照明や音響、舞台美術、衣装などなどが掛け合わさると、
そのふしぎなぐわぐわとした彩りは、
どしーん!と巨きく重く、アトリエの空気いっぱいに広がりはじめます。
🍎🍎(とても、りんごのように。)🍎🍎🍎🍎
そうなってしまったらもう、
私は、
演劇について、
すこしもわからなくなってしまうのです。
わからない。
私は何を補佐しているのかわからないまま、アトリエの埃っぽくて冷たい、大気の中の、舞台上を眺めるばかりでおります。
演劇。
🌻🐈🍎🍎ふしぎですね。🍎🍎🍎🍎
劇団木霊2022年本公演
『職業的天使の祈り』
作・演出 | 峯川遼子
日時 | 5月26日(木)~29日(日)
5月26日 17:00-
5月27日 17:00-
5月28日 12:00-/17:00-
5月29日 12:00-/17:00-
予約|
※新型コロナウィルス感染症対策として、ご予約時に緊急連絡先のご入力をお願いします。
※上記の理由からご予約はおひとり様ずつ受け付けています。
料金 |
無料(フリーカンパ制)
公演形態 |
有観客公演@早稲田大学大隈講堂裏劇団木霊アトリエ
記録映像公開 |
5月30日(月)~6月30日(木)
※記録映像の視聴へのご予約は不要です。
※公開される映像は記録用となります。そのため劇場と見え方が大きく異なる場合がございます。
ぜひ有観客公演にご予約ください。
役者 |
大石水月 きよすけ 橘美海 富樫萌々香 春名高歩 幸
スタッフ |
演出補佐 | 鏡原すず 北川はる [劇団森] 髙橋幸寛 藤枝拓磨 ホシダマサオミ
舞台監督 | 立山亜佑
舞台監督補佐 | スミタシオン 藤枝拓磨
舞台美術 | 薄田千夏
舞台美術補佐 | 臣
音響 | 近藤侑羽
音響補佐 | 公©
音響操作 | 近藤侑羽
照明 | 麗乃
照明補佐 | 中村仁 [しらすの夕立ち] 臣
照明吊り込み | こう良 由利綾
照明操作 | 木下みのり
配信 | 峯川遼子
衣装 | 星りこ
衣装補佐 | コウシロウオヤマ [劇団森]
制作 | 樹田ひなた
制作補佐 | 園部綾香 にいづま久実
宣伝美術 | 園部綾香
宣伝美術補佐 | 大石水月 亀川ふみか
Web | 鏡原すず
Web 補佐 | 園部綾香
撮影 | 笠羽流雨 [倒藝家] 髙橋幸寛