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マヤ

『聖夜⑥』(続•臣隆妄想劇場91)ショートバージョン

2017.11.14 19:40

翌朝、健二郎が目を覚ますと、枕元に赤い靴下が二つ並んでいた。




「あいつら…」




健二郎は照れ臭そうに笑顔を浮かべ、

そっと中を見ると、見覚えのあるルアーとスニーカーが入っている。




「………」







「かぶっとるがな‼️」




両手にルアーとスニーカーを持ち、キッチンを覗くと、




臣と隆二があたふたと、慣れない様子で何かを焼いている。




コンロに乗せた網の上から、モクモクと煙が立ち上っている。




隆二「あ!健ちゃん、おはよーっ!」




臣「よく眠れた?」




健二郎「なに焼いてんの?」




隆二「え?魚だよ」




隆二「あっちっち💦…臣!この煙なんとかなんないの?」




臣「え?俺わかんねーし…あっ!網にひっついた‼️」




健二郎「ク…クリスマスの朝に焼き魚って…」




隆二「健ちゃん好きでしょ?食べさせてやろうと思って、高級干物買っといたんだ…ケホケホ」




臣「隆二!うちわで扇げば?

ケホッ…」




近くに置いてあったうちわを、臣が差し出した。




隆二「余計に煙出るんじゃね?」




健二郎「ケホ…それよか、これ…

かぶっとるがな‼️」




健二郎が両手に持ったプレゼントを高く掲げた。




隆二「えっ⁉︎そうなの?健ちゃん持ってんの?」




健二郎「ルアーもスニーカーも同じ型の、しかも同色でな!ケ…ケホッ」




隆二「いーじゃん、ある意味消耗品だし…ゲホ」




臣「ゴホッ…やっぱりな…もしかしたら健ちゃん持ってるかもって言ってたんだよな」




隆二「そう…散々迷ったね」





健二郎「……」






健二郎(…そっか…二人して一生懸命選んでくれたんやな…)




隆二「臣、皿とって!」




臣「ほい」




いい焼き色をした肉厚の焼き魚が皿に盛られた。




すると隆二が焼きたての魚の身を箸で取り、




「はい!健ちゃん味みてみ」




「アーン」と言いながら、健二郎の口に入れた。




健二郎「熱っ!…ってか、うまっ❤️」




隆二「だろ〜?高級だぜ~」




臣「健ちゃん、早く顔洗っておいでよ」




隆二「健ちゃんのタオル置いてるからね」




健二郎「…おっしゃ‼️腹減ったな」




洗面所に行きかけて、健二郎が振り向き、




「あ…これ、リビングに置いてても

えーか?」




もう一度、両手に持ったプレゼントを高く掲げた。




隆二「うん!いーよ」




リビングへ行こうとした健二郎を呼び止め、臣と隆二が声を合わせて、




「健ちゃん、メリクリ♫」




笑顔で言った。




「ん…おおきに」




照れ臭そうに健二郎が答えた。









ダイニングから三人の賑やかな声がする。




リビングのテーブルの上には、ルアーとスニーカーと、完成したばかりのラジコンが並んでいる。






朝日を浴びて、

クリスマスツリーが一層輝いた。