Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

サトウヒロシの万年筆ラクガキ帳

<教えて万年筆ラクガキA01 サトウヒロシの回答01>

2017.12.20 19:23

みなさまこんにちは!

サトウヒロシです。前回のうなぎさんからの質問に対する回答編、いよいよスタートです。こちらが元記事です。

で、ボリュームも多いので、今回はそのうちの前半、こちらの3つの質問について回答しましょう。

ではいきます。


(質問01)かき氷の線の跡が気になります!

元記事のうなぎさんのタッチを見ていると、たぶんこんなことなんじゃないかと思うのです。

わかります?上の図が見本版で、下が「芝生にみえてしまう」描き方。
インクや紙の種類によっても同様の現象は起きてしまう可能性はあるんですけど、それはさておき、一番の原因はですね、

元々の描いている線が少ない!

ということなんです。

線の数が少なく、かつ「規則的」に線が並んでいると、とっても目立ってしまうんですね。その線の配置そのものに意味があるかのように見えてしまう。すると「芝生のように見える」ことに繋がります。

だったら線を増やせば良い。さらに、その線すら目立たなくなるくらいボカした後も重ねて滲ませてしまいましょう。するとこんな感じになります。いかがでしょうか?是非お試しあれ。


(質問02)ガラスの透明感ってどうすれば出ますか?

さすが絵描きからの質問と感じる質問で、どう答えようかとても悩みました。とりあえず、完成版はこんな感じでしょうか。

器の部分の透明感。左側が器の輪郭線をボカしただけの表現で、右側が透明感を演出した表現です。
さて、これを噛み砕いて説明しましょう。

①ガラス特有の光の反射を残す

まずはガラスがガラスらしく見えなければいけないので、キラキラと光っている部分をちゃんと意識した表現にします。

例えば器の縁の光沢。かき氷との境界の部分をちゃんと白く残します。これだけでも随分変わります。

あとは、器の側面のところですね。側面の奥行きが出るようにしたいので、ここの輪郭線は「外側にボカします」。そして、内側は白を残す。するとふんわりと器全体が光って光沢っぽい演出になります。

②色の濃い部分をハッキリ作る

金属やガラスの表現は「映り込み」や「光の屈折」があるので、濃く、暗い部分が要所要所に入ります。この器の場合は、器の軸の付け根の部分や、足の底の部分に濃い部分がハッキリと描き込まれているとそれがわかりやすく「光の屈折」の表現になります。

左が付け根の部分の濃いところ。右が足の底の部分。こうしたところに思い切ってグッと濃い色を乗せてしまうと、ガラスらしい色の締まり方が演出できます。

③中身を描く

「透明感を出す」の「透明」っていうのは「向こう側が透けて見える」ということです。だから透けた先のものが見えてないと透明に見えないわけです。当たり前のことなのに、「なんとなく難しそう」という理由でそれを本能的に避けてしまう気持ちは良くわかります(笑)でもそこは描かないと透明になりません。描きましょう。

中身のかき氷は上に乗っかっているかき氷と同様の描き方でOK。でもいくつかポイントがあって、ひとつめは、器の輪郭に近いところの白を残すこと。もう一つは、器の凹凸に合わせて光沢を残すこと。このサンプルでは左側から光りが入ってきていますので、器の左側は明るめになってます。で、真ん中の凹凸の部分も左側が少し光っています。逆に、凹凸それぞれの右側や溝になる部分は濃い色が乗せてあります。これでOK。感覚的なところもあるので、何度か自分で描いてみないとわかりにくいかもしれませんが、まずは試してみてください。


(質問03)かき氷のサクランボが氷に埋まっている表現の出し方

今回の質問の中で一番簡単に解決できそう(笑)まずは完成系はこんな感じでしょうか。

左側のサクランボはただ氷に乗っかっているように見える表現。右側は氷に埋まっている表現。この違い、わかります?

①埋まっている様に描く

と書くと「バカにしてます?」なんて怒られてしまいそうですけど、そうとしか言いようがなくてですね、こんな感じです。

埋まっているように見せるなら、まずは「埋まっている部分が見えない」ように、手前の氷で隠してしまいましょう。写真を見ながら描いてたりすると、「写真ではそうなってない」、つまり「写真上ではサクランボの手前に氷がない」場合があります。でも絵にする場合はそこは「説明的な演出としてウソをつく」必要もあるのです。それがこれ。これだけでもまずは「埋まっている」ようにみえます。

②影と陰を落とす

影と陰。「影」は光が当たって、下に落ちている暗い部分で、「陰」は光が当たっている反対側の暗い部分。ここでは「影」はかき氷に落ちている暗いところで、「陰」はサクランボの暗い部分です。

これもね、写真を参考にしていたりすると、かき氷がそもそも氷なので「影」が落ちてないように見えることがあります。だから、ここは演出としてかき氷に落ちている影はそこを濃いめの色を乗せておくとわかりやすくサクランボの存在感(かき氷に接地している印象)が出せます。また、サクランボの方も、ここは「インクを重ねてあえて接地してる部分を濃い目に描く」よう心掛けてみましょう。すると「埋まっている感じ」がずっしりと表現できます。


いかがでしたでしょうか?
まずは前半の質問に回答いたしました。また後日後半も回答いたしますね。
ご感想やご質問がありましたら、コメント欄やFacebookページ(万年筆ラクガキ部)の方でもお受けいたします。遠慮無くどうぞー!


後編はこちら!