着物でお出かけ【美術館】鏑木清方展
鏑木清方(かぶらききよかた)は
明治〜昭和に活躍した画家。
『西は上村松園、東は鏑木清方』といわれた美人画巨匠。
名前は知らなくてもいずれかの絵はどこかで見たことがあるはずです。
さて、その清方の回顧展、鏑木清方展、会期終了(〜5/8、@国立近代美術館・竹橋)が差し迫ってきたので慌てて、出掛けました。
お目当てはズバリ『築地明石町』(写真の看板の絵)からの三部作。
行方知らずだったこの幻の絵は 2018年に40数年ぶりに3つまとまりになって出できて美術界を賑わせ、2019に展覧会するもコロナの影響を免れず、今回はリベンジ開催で公開されてます。
ようやくお目にかかれます。
鏑木は美人画で有名ですが、 自身はそれより美人画を通して 一緒に描かれている季節の風景や時代の情景を表したかったという。 なるほど当時の町角の、しかも庶民が描かれている、生活に根ざしたものが多い。 迫力とか強い印象とは離れた、肩の力が抜けた温かさを感じるのはそのせいですね。
また、彼の作品は 絵全体の、特に女性の『匂い立つ』といった表現がぴったり。
肌の滑らかさ、表情、姿勢の柔らかさからなのかなあ〜と思いながら観覧しました。
勝手な考えですが、それは着物を着ているがゆえなのでは?と思っています。
自由に四方八方に手足を動かせるより、限られた範囲で動かす方が美しく優雅に見えるのは私だけでしょうか?
また、大袈裟な表情より静かな視線の方がその感情や思いを想像させます。
さて、三部作『築地明石町』『新富町』『浜町河岸』、共に1930年作。
地名にある風景と描かれた美しい女性。
目まぐるしく変わる明治時代ですが、その時代にあった風景や瞬間を残したいそんな思いが伝わります。
明治時代に思いを馳せながら、その世界に浸ることができます! 見応え十分です。
三部作の他にも、女性自身や時代の背景のほか、着物にも目を凝らして欲しい。
丁寧に描かれた色や柄に注目です。
全体的に水色の着物が多い印象がありました。 それは明治中期に流行した『新橋色』の影響だと思います。
(新橋色とは やや緑がかった水色、新橋芸者が流行元。)
さらに、半襟は色ものが多かったです。 灰色や水色もその奥に見える紅絹の色もやはり色っぽい。
春は桜、夏は波頭、秋は紅葉の柄など、季節の着物の柄がみられました。
ふぅ〜、たっぷりと堪能。
鏑木清方の描いた江戸の名残がある明治時代の風景と共に 生活の何気ない仕草の女性の姿。その美しさと共に当時の文化をのぞき見えるそんな展覧会でした。
閉会間近ですがこの週末お出かけしてみてはいかがでしょうか?