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わかば通信

人生100歳時代~毎日をいきいきと暮らす高齢者たち

2017.12.22 07:56

人生の楽しみは、やはり日々の生活の中に喜びを見いだすことだと思います。

喜びと言っても何に喜びを感じるかは人それぞれ。

おいしいものを食べる、ゲームやテレビドラマを楽しむ、旅行する、芸術作品にふれる、何かを作り出す。

あるいは、安易な楽しさよりも、苦労して何かを成し遂げることに喜びを感じる人もいるかもしれません。

「人生は、ただ一回のマラソン競走みたいなものです。――しかしマラソン競走と考えている間は、まだ心にゆるみが出ます。人生が、五十メートルの短距離競走だと分かってくると、人間も凄味が加わってくる――」

これは、哲学者であり教育者でもある森信三氏のことば。また、

「人生にはある一点凄みがなくてはならぬ」

とも言っています。

凄みってなんだろう。と考えますと、日々の生活にアクセントをつけ、特別な非日常の空間に引き上げることでは、とも考えられます。

先日、地域の社交ダンスサークルのダンスパーティーを拝見する機会がありました。

皆さん、音楽に合わせて軽快にリズムを踏んでいて、しかも普段、ご近所でお会いするときより何倍も生き生きとして楽しそうでした。

女性は明るい色のドレスやスパンコールのついたスカートやパンツスーツなどを身にまとい、男性はベストに蝶ネクタイ、黒のシルクシャツなどで見事に決まっていました。

そしてその中にIさんもいらっしゃいました。

まもなく90歳になられる女性で、お年寄りのイメージとは違い、華やかなドレスで踊るその姿は自信にみちていました。優雅な女性そのものでした。

よく年相応にとか、年寄りの冷や水なんていう失礼な言葉もありますが、何歳になっても人生をいきいきと楽しんでいる姿は魅力的です。

年を経ても魅力的な人には、ある共通点があるようです。


11月12日、tvk(テレビ神奈川)で、「明日を見つけた高齢者たち~障害自立を目指して~」という番組がオンエアされていました。

そこでは、神奈川県住宅供給公社の介護付有料老人ホーム〝ヴィンテージ・ヴィラ〟に暮らす人々の姿が描かれていました。

開設時、入居者の平均年齢は69歳でしたが、27年を経たいま、平均年齢84歳と、高齢化が進んでいます。そんな中での、入居者の日々の暮らしを間近に取り上げていて、興味深く視聴しました。


番組によれば、「高齢社会」というのはもう過去の言葉で、すでに「100歳人生」時代が目前に迫っているそうです。そんな中、注目なのは、生涯自立ということばです。

一生寝たきりにならない、自分の足で歩き、自分の身の回りの始末は自分でする。それが人間の尊厳にとって一番大事なことのように思えます。

そしてさらに、自分の生活を輝かせる生きがいをもつことでしょうか。

番組の中で印象に残ったことを以下、レポートさせていただきます。


VV(ヴィテージ・ヴィラ)横須賀

・同じ入居者に絵を教えている女性Fさんや、エキサイティングで知的なゲームコントラクトブリッジを楽しむ101歳のUさん(男性)らを取り上げていました。

 「ストレスもないし、自分の好きなことをやっている」

絵を描いている姿も、コントラクトブリッジをする姿も本当に楽しそう。

  堂々と勝負に挑む姿がかっこよく素敵でした。


VV横浜

 ・館内には窯があり、陶芸サークルが活発に活動しています。

 メンバーはほとんどが80代~90代。陶芸歴20年のSさん(女性、76歳)が。皆さんに陶芸を教えています。

「なんでものめり込む質。のめり込むのが元気の源です」

と、Sさん。

隣でろくろを回しながらKさんも、「やりたいことがあるといいですね」と楽しそう。 

陶芸以外にも、ダンス、カラオケ、囲碁、麻雀、卓球など1週間ほとんど毎日予定が入っていて、また驚きなのが、その設備が全部館内にそろっていて、好きな時に楽しめること。

また、そんな趣味でつながった仲間が、そばにいるというのも心強いようです。

同年代の人々で生きがいを見いだし活動する姿に感動しました。


VV洋光台

95歳のSさん(女性)が絵手紙を楽しんでいます。

昨年けがをして、絵筆が持てなかったけれど、どうしても絵手紙を書きたい一心でリハビリに努め、元気になったそうです。

88歳の時に初の個展を開き、今は99歳(白寿)で2回目の個展を開くのが夢というSさん。

「大勢の方々に支えられて今の自分がいる。今がとても幸せです」

  と微笑むSさんは、とても穏やかでチャーミングな女性。

人生100歳時代と言われるいま神奈川県住宅供給公社では、全ヴィンテージ・ヴィラで「健康寿命延伸プロジェクト」というものに取り組んでいるそうです。

スポーツに実績のあるミズノ株式会社と提携し、毎日の運動量を「見える化」する「運動量計」を取り入れたり、食事では、365日メニューが作られ朝、昼、晩、旬の食材を使って、おいしくて栄養価の高い食事を工夫しています。


さらに居住者がコーラスを楽しむなど、生きがいづくりにも取り組んでいて、この秋にも、県立音楽堂で県内5つのヴィンテージ・ヴィラ居住者による、コーラス発表会が開かれました。


皆さんが、声を合わせて歌う姿に、青春の頃の姿をふと垣間見るようで本当に感動しました。

自分の好きなことに打ち込むというのは、人生を輝かせる上でとても大事なことのようです。


一人ひとりが自分で見つけた楽しいことを見つけて人生を送っていくこと。

ヴィンテージ・ヴィラの入居者の方々の、生き生きとした活動を見ていると、それが「人生100歳時代」の生き方の、一つのモデルになるような気がしました。


TV番組は、YOTUBEで配信されています。

明日を見つけた高齢者たち~生涯自立をめざして

https://youtu.be/AtY-ELkA8MQ