世の終わりの為のの四重奏曲 解説6
東京を離れ1週間ほど自然の中に囲まれて生活しているナウなのですが、お陰で鳥の囀りなどを聴いて過ごしていると、人間に必要なものってそんなに多くは無いんじゃあないかなぁ。何て思ったり。🦌てなことで夏田昌和さんによる世の終わり解説4!
4)<間奏曲>
ドイツ・ポーランド国境付近の第8A捕虜収容所に送られたメシアン、アコカ、パスキエの3人は、そこでヴァイオリニストのジャン・ル・ブーレールと出会います。これで「世の終わりのための四重奏曲」の初演メンバー4人が揃った訳です。収容所でメシアンは、高名な作曲家だということで一般の雑役を免除され、音楽に理解のあったドイツ人将校に五線紙や筆記具を与えられて、バラックの一つにこもり作曲に専念するよう促されました。こうしてメシアンは「世の終わり」の作曲に着手するのですが、その頃は収容所にまだピアノがなかったこともあり、真っ先に書かれて練習も始められた(譜読みを始めたのは手洗い場だったそうです!)のが、ヴァイオリン、チェロ、クラリネットの三重奏で書かれた短いこの<間奏曲>であったとされています。
この楽章は、メシアンには珍しく2/4拍子を終始保ち、軽快なタッチで書かれたスケルツォ的性格の音楽です。3楽器によってユニゾンもしくはホモフォニックに奏されるのがルフラン(リフレイン主題)で、MTL2番によってはいるものの印象は殆どホ長調です。ホ音はこの「世の終わり」全体の中心音といってよく、3、4、5、6、8と実に5つもの楽章がはっきりとこのホ音上に終止しています。このルフランが計5回繰り返される間に、(1)クラリネットによる鳥の囀り、(2)長3和音の伴奏を背景に歌われるカンタービレな旋律、(3)2/4拍子に嵌め込まれた第6楽章<7つのトランペットのための狂乱の踊り>の有名な冒頭主題、という3種類のクープレ(中間楽節)が適宜挿入され、最後に簡潔なコーダが奏されてあっという間に終わります。 文章 夏田昌和